
今年50歳を迎える、シンガーソングライターの奇妙礼太郎さんにインタビュー。6枚目のアルバム『1976』をリリースし、7月には自身初となる日本武道館公演を目前に控えた今、奇妙さんが思うこととは。
ライブハウスで出会った人たちのおかげで、今の僕がいる
奇妙礼太郎さんのニューアルバム『1976』は、今年50歳を迎える節目に制作された記念すべき一枚。長年ライブで歌い続けてきた「オー・シャンゼリゼ」をはじめ、サザンオールスターズ「いとしのエリー」のカバー、2017年に発表された「わたしの歌」のセルフカバー、そして新曲などバラエティに富んだ内容になっている。なかでもドラマ『終のひと』の主題歌として書き下ろされた「愛がすべてのこと」は、新たな挑戦を感じる一曲だ。
「初めてドラマ主題歌を担当しました。プロデューサーさんから『スケベなSONG』のテイストや、ソウルミュージック的な要望をもらって、それに合う曲を中込(陽大)さんと作っていきました。歌詞は原作を読んだ上で、思ったことを感覚で書きました。後半のフレーズ『そばに居たり そばを食べたり』はダジャレですけど、そういうのが好きなんですよね」
夏をイメージした「陽炎」やCM応援歌として起用されている「元気でやってるか」など、奇妙さんの音楽は聴き手それぞれの日常と結合する不思議な力がある。
「20年以上前、友達と淀川の花火を眺めているとき、パッと横を見たら泣いてる人がいて、それがめっちゃ良かったんです。花火自体は誰かを泣かせようとはしてないじゃないですか。それと同じで、音楽も人によって物語の受け取り方が違う。解釈に絶対ってないよなと思う。作品とそれを聴く人がいることで、一人一つずつの正解がある。それがいいことやなって思います」
杉咲花さん、菅田将暉さん、ヒコロヒーさんなど、奇妙さんの歌声を称賛する人は多い。この唯一無二の声をご自身はどう捉えているのか。
「人が最も敏感に反応する音って、サイレンと赤ちゃんの鳴き声らしいですね。人に認識してもらわないといけないので、高い音が出ていると。逆に、すごく低い声に魅力を感じるのは、包み込まれるような安心感があるから。その2つの要素が、自分の歌声にはあるのかもしれないですし、そうだといいなと思います」
7月3日には自身初、史上最大規模となる日本武道館で単独公演を開催。ファンはもちろん、地元のバンド仲間から「すごいやん!」と温かい声をもらえたことが、何より嬉しかったという。
「僕は20代後半からライブハウスに行き始めて、そこで大好きな人もたくさんできたし、外で初めて友達と呼べる人もできた。“自分の人生は始まってると思っていたけど、始まってなかったんだ”と知りました。ライブハウスで出会った人たちのおかげで、今の僕がいる。武道館公演はすごいことですけど、自分がどうこうじゃなくて。素晴らしい仲間・友達との出会い、そうした連なりの一つとして今回の機会がある。だから“俺ってすごいやろ”って気持ちは一切なくて。それよりも“自分の周りにいる、みんなが最高やな”って。それを再確認するつもりで、武道館に立ちます」
Profile
奇妙礼太郎
きみょう・れいたろう 1976年9月12日生まれ、大阪府出身。年間150本以上のライブに出演し、ボーカリストとして多数のCM歌唱を担当する。50歳の節目を迎える今年、7月3日に日本武道館での単独公演を開催。
information

『1976』
6thアルバム。ドラマ『終のひと』主題歌「愛がすべてのこと」、カバヤ食品「塩分チャージ」Web-CM応援歌「元気でやってるか」を含む全12曲。【通常盤(CD)】 ¥3,520(ビクターエンタテインメント)
anan 2498号(2026年6月3日発売)より






























