お父さんは猫さまじゃなくムササビ? …飼い主大好きな双子猫さまの愛すべき行動とは

取材、文・Manabu Matsunaga — 2024.3.9
フランス在住のカメラマン、松永学さんによる、フランスの猫さま紹介! 第215回目はヨーロピアンショートヘア赤トラのジェリー(Jerry)さまとヨーロピアンショートヘアサバ猫のペッパー(Pepper)さまの登場です。

双子の猫さまたちの物語

【フレンチ猫さま】vol.215
猫さまの話をもっと聞かせて!
ジェリーさまは男性、ペッパーさまは女性。ふたりとも生後6か月の双子猫さまです。


ヨーロピアンショートヘアの猫2匹


<ジェリーさまとペッパーさまが語ります>
私たちはドイツとの国境に近いMetzという街にある1930年代に建てられた古いタウンハウスを改装した家に住んでいます。裏庭には数本の木とたくさんの鳥がいます。


ヨーロピアンショートヘアの猫

毎朝、飼い主が午前6時頃に起きますが、私たちはすでにその少し前に起きて家の様子を伺っています。それから30分間追いかけっこ遊びが始まります。


ヨーロピアンショートヘアの猫

それが終われば朝食です。『Ziggy』ブランドのカリカリとウエットフードを食べます。ウエットフードが7割、カリカリが3割です。どちらかといえば、ふたりともウエットフードが好みですね。飼い主は私たちの食事に気を遣っていて、いつも時間通りに食べられるようになっています。今のところ、人間の食べ物はもらえません。ハムや魚の小片がお皿に入っていることがありますが、それはごくまれです。おやつは歯応えのある干し肉です。


ヨーロピアンショートヘアの猫2匹

私たちはキャットツリーの上やトンネルの中でボールで遊んだり、家具に登って追いかけ合ったりして、多くの時間を過ごします。朝遅く、午後半ば、そして夕方に電池が切れてウトウトして眠ります。家の中のお気に入りの場所はキャビネットの上。ジェリーのお気に入りのおもちゃは羽根ばたきで、ペッパーはボールです。私たちはとっても仲良しな兄妹なんですよ。


<飼い主から見たジェリーさまとペッパーさまとは>
私はジェリーとペッパーの前にロミオという猫を飼っていたことがありました。
ジェリーとペッパーのお母さんの名前はピパといい、6匹の子猫を出産しました。しかし、飼い主が引っ越しすることになり、ピパは赤ちゃんたちと一緒に野良猫を保護する『Les Bitcher’Katz』と呼ばれる協会に保護されました。
ヨーロピアンショートヘアの子猫

ピパはシャム猫で、ジェリーとペッパーの父親が誰なのかは分かりません。子猫のうち2匹はシャムで、2匹はミディアムロングの毛、残りの2匹はトラ猫でした。私が選んだのはその2匹のトラ猫です。彼らは生後4か月までは里親と暮らし、その後私と一緒に暮らす事になったのです。ジェリーとペッパーはコンビで養子に出されましたが、必ずしも一緒に引き取る必要はありませんでした。なので、もしかしたら私がお世話をするのは別の猫だったのかもしれません。実は、同協会が提案したコンビは、ジェリーとウェンディと呼ばれるもうひとりの姉妹だったのです。ウェンディはとても美しく、青い目をした人気者のシャム猫で、多くの養子縁組の希望者がいました。そこで私は、ウェンディは簡単に家族が見つかると思い、ペッパーをジェリーと一緒に養子として迎えることにしました。私は協会の女性と一緒に彼らの里親家族に会いに行き、養子縁組の申し込みが受理されると、すぐに彼らを家に迎えました。


ヨーロピアンショートヘア

ジェリーはとても優しくて、かわいいです。彼は少し独占欲が強く、私が仕事に行くと不機嫌になります。彼は抱っこを求めて私のところにスリスリしに来ます。時にとても貪欲で、私が料理をするときはいつも近くにいます。少しおしゃべりで、自分のことを理解してもらう方法を知っています。彼はゴミ箱などの箱の中で遊ぶのが大好きです。観葉植物に牙で穴を開け、そこに横たわるのが好きです。妹のペッパーを頻繁に掃除(毛繕い)し、彼女のいたずらをすべて追いかけます。


ヨーロピアンショートヘア

ペッパーも抱っこを求めてやって来ます。どこにでも登ったり、ジャンプしたりして、高いところに登ることを好みます。彼女はテレビでよく見る綱渡りをする人のように歩き、ドアやキャビネットの上に飛び乗り、さらには階段の手すりの上を滑ります。
「ペッパーのお父さんはムササビだったはず、騙された!(笑)」
ペッパーはボールを口にくわえて歩き回るのも好きです。私がどこに隠しても、彼女は毛糸玉を見つけ出します。彼女は冷蔵庫に磁石で貼り付けられた写真も盗みます。たとえ愚かなことをしていても、ふたりともとても優しくて、見ていてとても面白いです。


じゃれ合うヨーロピアンショートヘアの猫2匹

ジェリーは、私が鍋を持って立っていると、やっているすべてのことを放棄してしまうため、食べ物に執着しているとよく言われます。ペッパーの専門は配管工事です。蛇口から水が流れる音を聞くと、排水口の蓋を盗んですぐに走り去ります。


ヨーロピアンショートヘアの猫2匹

私にとって、ジェリーとペッパーは私の子どものようなものです。私は彼らが猫であることは知っていますが、子どもがいないので、私が注意を払い、愛している子どものような存在なのです。かわいいと思うのは、表情で言いたいことを伝えることができるところ。純血種ではありませんが、好奇心と知性、そして愛情が感じられる美しい容姿を持っています。猫を飼ったことで、私も彼らのようにソファーでくつろいだり、寄り添ったりするのが大好きになった気がします。


仲良く眠るヨーロピアンショートヘアの猫2匹

私も彼らと同じようにたくさんのエネルギーをもっているつもりですが、キャビネットを飛び越えることはありません(笑)。彼らは私を、食べ物を与え、撫で、ブラッシングし、飛びすぎたときに捕まえてくれる母親として見ていると思います。彼らは私を別の種類の猫、保護者だと思っているに違いありません。


ヨーロピアンショートヘアの猫2匹

彼らのおかげで毎日が楽しいです。同じ日はふたつとありません。ふたりとも成長中なので、少しずつ個性が見えてきました。猫は私の家に魂を与えてくれると信じています。私の人生において、彼らは正真正銘の仲間です。私は自分のためよりも彼らのために多くのことをしています(笑)。彼らは偽りのない本物の存在で、彼らの愛は真実であり、時には迷惑でもあります。また、走ることをやめて窓の外の鳥を眺める方法や、忍耐と解放、そして人生の真の価値がどこにあるのかも教えてくれます。残念ながら、いつかふたりとも私の元から離れる日が来ます。ロミオに別れを告げたように、利己的になることなく、彼らのために最善を尽くして、別れを告げるつもりです。彼らが私に与えてくれたすべてに感謝し、何千回もハグとキスをして、いつかまた会えるまで見守ってほしいとお願いするでしょう。


ーージェリーさまとペッパーさまのツーショット写真を見ていると、これ以上のベストな兄妹は存在しないのかもと思えます。2匹同時飼いの幸せな状況で、飼い主の表情が想像できますね。 Instagram:@jerry_et_pepper
著者情報松永学
猫さま好きフォトグラファー。雑誌、webなど多くの媒体で活躍。猫歴、実家に通っていた野良を含めると10匹以上、パリには2匹の猫さまを連れて移住、現在は保護猫3匹と暮らす。どこへ行っても通りで見かけた猫さまに挨拶は忘れません!