お腹かきかきおねだりからの…飼い主のハートを撃ち抜いた元保護猫さま

取材、文・Manabu Matsunaga — 2023.12.2
フランス在住のカメラマン、松永学さんによる、フランスの猫さま紹介! 第187回目はトラ猫のティグラ(Tigra)さま。

飼い主と一緒に寝るのが大好きな猫さまの物語

【フレンチ猫さま】vol.187
猫さまの話をもっと聞かせて!
ティグラさまは7歳半の女性猫さま。


トラ猫


<ティグラさまが語ります>
私の飼い主は皮膚科医で、製薬研究所のメディカルマネージャーもやっています。普段は一緒にパリ中心部のアパートに住んでいます。
トラ猫

そんな私は朝が弱く、ねぼすけなんです。食事の場所には常にふたつのボウルが置いてあります。ひとつはカリカリ用、もうひとつはパテ用です。午前と午後の終わりの1日2回パテを食べますが、カリカリは無制限です。ご馳走は、たまにひき肉をいただくこともありますし、エビの時もあります。特別な日の食事はスティック状になった液体おやつです。旅行するときはいつもおやつが準備されていてウキウキです。いまは飼い主の仕事で一緒にアメリカにいます。今日も好物のスティックを買ってもらいました!
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家の中では、毛皮の上が大好きです。肘掛け椅子や椅子に敷く羊皮と毛皮のクッションの間、場所を変えながら一日中家の中を動き回っています。おもちゃも毛皮で覆われたネズミと魚が大好きです。
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私はとても社交的で、とてもおしゃべりです。表現力豊かで、好奇心も旺盛です。優しい性格で、誰も攻撃したことがありません。新しい人に初めて会ったときは距離を置きますが、すぐにその人の隣に座り、さらに膝に登ることもあります。私は寂しがり屋でひとりでいるのが好きではないからです。


<飼い主から見たティグラさまとは>
彼女は捨て猫です。2008年に捨てられた動物を保護する団体『アニマル クリスマス』の取り組みのおかげで私は彼女に会いました。その時彼女はすでに1歳半でした。それ以来、私たちは離れられない関係にあり、彼女はフランスで暮らす私の唯一の家族です。
トラ猫

私はこれまでずっと猫を飼ってきましたが、ティグラは他の猫よりも特別です。彼女は私の人生において非常に重要な存在になっています。残念ながら、彼女は家から出るのがまったく好きではありません。また捨てられるのが怖いのだと思います。予防接種のために獣医に連れて行くと、私がドアを閉め待合室で待っている間中吠え続け、私が戻るまで止みません。
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ティグラは私より遅く起きます。確かに、彼女はすでにちょっとしたおばさんなのかもです。私は家で仕事をすることが多いので、彼女はアシスタントとして私の隣のクッションに座っていることが多いです。夜はふたりでソファで本を読んだり映画を観たりしている間、抱きしめられたり、愛撫したりされるのが大好きで、私の腕の中で眠ってしまう事もあります。私がベッドに入るとすぐにぐっすり眠ってくれます。本当に彼女は私の隣で眠るのが好きなのです。それから彼女は大きなボウルから水を飲むのが好きです。彼女はよく私に、水道水を飲ませてほしいと頼みにきます。
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おやつが欲しいとき、彼女は小さなテーブルに登って唄を歌い始めます。私が家を出るときは不機嫌になり、帰宅すると喜んで床を転がり回ります。時に彼女は小さなフクロウのようにも見えます。彼女はとても愛らしく、忠実です。いつも可愛くて優しい良い性格をしています。私にとっては彼女のすべてが魅力的です。私たちはふたりとも愛情深く、気さくで、遊び好きな共通点もあるのです。私のことは無条件に愛する人と思っているはずですが、時々、ティグラは私のことを食品の流通業者としてしか見ていないのではないかと思うことがあります。同時に、私がいないと彼女が私を恋しく思っていることもわかります。私が家にいるとき、彼女の生活はより穏やかだと思います。
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すべてが楽しい毎日です。彼女は決して私を失望させません。たぶん最も思い出に残る嬉しかった記憶は、ティグラが私のベッドに寝に来て、私にもたれかかり、お腹をかいてほしいと頼み、そのまま眠りについたときです。ティグラは私が急いで家に帰らなければならない理由になりました。自分を待っていて、いつも自分を愛してくれる人がいるということは、本当にとても貴重なことです。
ーークリスマス近くになると保護された動物を集め各地で多くの保護団体が里親探しをします。この時期に合わせて、見捨てられたペットを多くの人々が引き取れるシステムはとてもいいことだと思います。すでに大きくなってしまってもティグラさまの飼い主のようにたっぷり愛情を注いでくれる人がいるのです。クリスマスの贈り物は心が暖かくなりますね。
著者情報

松永学
猫さま好きフォトグラファー。雑誌、webなど多くの媒体で活躍。猫歴、実家に通っていた野良を含めると10匹以上、パリには2匹の猫さまを連れて移住、現在は保護猫3匹と暮らす。どこへ行っても通りで見かけた猫さまに挨拶は忘れません!