ハグを存分に楽しむことで、お互いの欲求が満たされる。
「パートナーとのセックスの満足度」については、満足している女性の合計が昨年は62%で、今年も62%と横バイ状態。
「ここはもっと上がってほしい。オーガズムに達することができるかには個人差や体調差がありますが、自分が何を求めているのかを相手に伝えるコミュニケーションが鍵になりそう」(石巻専修大学准教授・高橋幸さん)
「射精=セックスではなく、男性が女性のオーガズムにも、もっと意識を向けられるといいのかなと思います」(「パレットーク」編集長・合田文さん)
お互いに満たされるために…。「パートナーとのスキンシップで、もっとも満たされること」の結果を踏まえ、高橋さんはこう解釈。
「挿入と答えた男性の多さと、女性の少なさの対比が象徴的。女性の最多は、ハグや抱き合うことです。そう考えると、ハグの気持ちよさを存分に感じられれば、男性は挿入ができるし、女性の満足度も上がる。理想のセックスに近づけるのではないでしょうか」
Q、現在、セックスのパートナーがいる、または過去にいた女性200人に聞きました。パートナーとのセックスに満足していますか?
とても満足している…15.5%、そこそこ満足している…46.5%、あまり満足していない…21.5%、全く満足していない…5%、どちらともいえない…11.5%
「満足している」人の一番の理由は、「心が満たされているから」。「セックスの価値観が一致、性欲以外でも満たされているなど、自分と相手の思いがシェアできると心の満足に繋がる気がします」(合田さん)
Q、パートナーとのセックスに「あまり満足していない」「全く満足していない」「どちらともいえない」と答えた人に聞きました。満足していない、その理由は? (複数回答)
性的快感やオーガズムを得られていないから(気持ちよくないから)…27%、そもそも性欲が弱いので…18人、頻度が少ない…17人、セックスがマンネリ気味だから(倦怠感がある)…15人、パートナーが下手だから…11人、セックスの相性(体の相性)がいまいちだから…10人、セックスの価値観(頻度や内容も含む)が合っていないから…6人
満足度を上げるためには、何が必要か? 満足していない理由からはその糸口が窺える。「オーガズムに関しては、男性の努力はもちろん、女性も自分の体をもっとよく知ることが重要だと思います」(高橋さん)
Q、現在、セックスのパートナーがいる、または過去にいた女性200人、男性60人に聞きました。パートナーとのスキンシップ、あなたがもっとも満たされるのは?
【女性】
手を繋ぐ…8.5%、ハグ、抱き合う…39%、キス…16.5%、ボディタッチ、お互いに色々な部位に触れる…9%、オーラルセックス…3%、挿入…9%、添い寝…6%、会うだけでいい…9%
【男性】
手を繋ぐ…13%、ハグ、抱き合う…15%、キス…17%、ボディタッチ、お互いに色々な部位に触れる…15%、オーラルセックス…4%、挿入…28%、添い寝…3%、会うだけでいい…5%
女性300人に聞きました。パートナーとの関係を続けるうえでセックスは必要だと思いますか?
とても必要だと思う…23%、まあまあ必要だと思う…40%、あまり思わない…12%、思わない…6%、どちらともいえない…19%
Q、必要だと思う、その理由は?
「心も体も満たされるから」「コミュニケーションの一環として」「ルーティン」「二人だけの秘密の時間が必要だから」
Q、必要だと思わない、その理由は?
「必要かどうかは、その時どきで考えが変わるから」「しなくても仲良しだから」「苦手だから」「性欲があまりないから」
“対話”が満足度を上げるための第一歩
昨年と同様に、今年も女性は自分の満足度を上げることにもっと意識的になったほうがいいと、高橋さん。
「相手にされて嫌なことは、言えるようになってきていると思います。そこからさらに、『自分はこういう体位が好き』など前向きな意見をパートナーと共有することが、満足度を上げるには必要です。その蓄積により、長期的な関係になるほど満足度が上がるという、相乗効果が得られるといいのではないでしょうか」
合田さんも、自分の欲求を言葉で伝えることの大切さを力説。
「お互いに心地いい関係を築いていくためには、やはり正直な対話が必要だと思います。パートナーともっと気軽に、性について素直に話す一つのきっかけとして、この調査を眺めてみるのはいかがでしょうか」
高橋 幸さん 石巻専修大学人間学部准教授。専門はジェンダー理論、社会学理論。著書に『フェミニズムはもういらない、と彼女は言うけれど』(晃洋書房)がある。
合田 文さん 多様性について漫画で発信する「パレットーク」編集長。DE&I(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)に関する企業の課題解決を支援する「TIEWA」代表。
※アンケートは2024年7月、インターネット上にて日本全国の25~39歳の働く女性300人、男性100人を対象に行いました。
※『anan』2024年8月14日‐21日合併号より。写真・天日恵美子 スタイリスト・野崎未奈美 ヘア&メイク・浜田あゆみ モデル・MINAMO 大空太陽 取材、文・保手濱奈美
(by anan編集部)