テレビ局員、漫画家・真船佳奈のお金哲学「完璧主義より、仕組み作りを」

お金はあるだけ使う。ある意味、潔いほどお金を使い続けてきた、テレビ局員で漫画家の真船佳奈さん。夫婦2人暮らしの頃まではよかったけれど、子どもが生まれて「このままで大丈夫!?」とお金のことが急に不安に。FPさんに相談すると、「将来的に1億3000万円の負債を抱える」と言われ…!課題山積の家計をどのように立て直したのか、伺いました。


Profile

真船佳奈

まふね・かな 1989年生まれ、福島県出身。2012年、テレビ東京に入社。バラエティ番組のADなどを務める。'17年、漫画家デビュー。近著は『さよなら!行き当たりばったり人生!お金管理も家事も全部ニガテな主婦の生まれ変わり奮闘記』(KADOKAWA)。

Money History

18歳  人生初のクレジットカードで大散財

23歳  テレビ東京に入社、その後ADとして過酷な日々を送る

28歳 書籍の出版が決まり、漫画家デビュー

31歳  結婚式で約500万円の見積もりに驚愕

33歳 妊娠し、検診・出産で約80万円の出費

34歳 家計の立て直しを決意し、FPさんに相談

35歳 ペアローンでマンション購入

完璧主義より、仕組み作りを

── 真船さんの、お金との付き合い方の原体験を教えてください。

私の家は、お小遣い制ではなく、買いたいものがあったら親にお金をもらう方式でした。お金が足りなくて困るということはありませんでしたが、毎回親に申請しなければいけないので、使い道に自由度がなく、無駄遣いしようにも限界がある。「大人になったら欲しいものを思う存分買うぞ!」と思いながら生きていました。

── 実現したのは、いつですか?

大学生の頃です。18歳になるとクレジットカードが作れましたし、アルバイトを始めて自分でお金を稼ぐようにもなりました。多くの学生が陥るように、私もクレジットカードを打ち出の小槌のように思ってしまって、バイトの給料で払いきれない額のお金を使い込み、分割にしたり、親に謝り倒してお金を借りたり。存在しないお金まで使うという荒業を、クレカで覚えました(笑)。

── 何に使っていたのでしょう?

洋服や、友だちと遊ぶお金、海外旅行も。あとはモノをよく失くすので、普通の人は1個で済むところを私は何個も買っていました。

── そのお金の使い方は、社会人になってからも変わらず?

はい。テレビ局に入社してADになると、収入は増えましたが、忙しさでそのぶん支出も増加。毎日外食、遅刻しそうになってタクシーに乗る、探し物が見つからなくてコンビニで買う。生活の乱れが、浪費に直結しました。同世代の子よりもいっぱい働いているはずなのにお金がなくて、みんなブランドものを買い始めるなか、私の持ち物はボロボロで…。漫画を描き始めてまた収入が増えましたが、お金の使い方も、貯まらなさも変わらないまま。結婚後は、夫婦ともに仕事が好きなので帰りが遅く、夜中に居酒屋集合。週4〜5回行っていて、毎回1万円くらい使っていましたが、「働いているからOKだよね」みたいな感じで気にしていませんでした。

── 家計を見直す転機は?

子どもの誕生です。東京都内で子育てするのは想像以上にお金がかかって、保育料とかシッター代などが重くのしかかってくる。それに、子どもの発熱などで働き方も制限されて、「稼げばカバーできる」フェーズではないと実感。このままで大丈夫なのかと一気に不安になり、FPさんに相談することにしました。

── そこで「このままでは1億3000万円の負債を抱える」と言われたんですね。

私たちは第二子を望んでいて、家を買って、子どもを2人とも中学から塾に通わせて…など人生設計を伝えてライフプラン表を作ってもらったら、その答えでした(笑)。ショックでしたが、同時にそれまでの漠然とした不安が“数字で把握できる不安”に変わって、少しラクにもなりました。

── FPさんは、具体的にどんな見直しの提案を?

大きくは3つあって、1つは家の問題です。当時は賃貸でしたが、家賃が高いうえ、お湯の温度がなかなか上がらないなど電力の効率が悪く、光熱費が高額に。また、駅から家が遠く、頻繁にタクシーを使ってしまうなど、アクセスの悪さも浪費につながっていたんです。賃貸は資産にならないという不満もあったので、ちょうどいい機会と思い、元凶をクリアできるような家の購入を決めました。

── 家のほかに、2つ目は何を見直すことに?

夫婦のお金の見える化です。私たちは結婚した時に共同口座を作って、そこに生活費など一定額をお互いに入れるようにしていたんです。相手の年収はなんとなくしか知らなかったんですけど、FPさんに促されて公開。口座に入れる金額や用途を夫と改めて話し合い、お互いに納得感のある収支の流れを作りました。

── お金の話は夫婦でもデリケートだと思うので、第三者かつお金のプロのFPさんに入ってもらうのは正解ですね。3つ目は?

あとは、クレカの整理です。学生時代から数が増え続け、使っていないのに年会費だけ取られているなど、ナゾのクレカが多くて…。全契約をチャート表にまとめようと、パスワードを忘れて放置していたクレカも会社に電話して明細を見られるようにしたら、把握できていないサブスクの数々が! 10数年の累計で数十万円に上っていたため、すべて解約しました。

── 大仕事でしたね…。だいぶ整理されましたが、探し物が見つからなくて買ってしまう習性も、改善策はありましたか?

引っ越し後に収納を整えたことで、それもなくなりました。洋服も、以前まではペラペラの安い服をネットで大量に買って、クローゼットに溜め込み、何があるのかわからなくてまた買う…みたいなことがありましたが、重い腰を上げて断捨離に着手。また、量より質を大切に、以前の服の5倍はするけれど、お気に入りのブランドを見つけて少数精鋭に。服を着るのが楽しみになって、自己肯定感が爆上がりしました。

── いいことばかりですね!見直しのなかに、ここにテコ入れするのは辛い…という項目はありませんでしたか?

なかったと思います。例えば、年に数回していた家族旅行は減らさないといけないのかと思いましたが、「人生の楽しみに使うお金は、必要経費なのでそのまま確保していい」と言われ、目から鱗でした。あと、私自身もできないことを無理にやる必要はないと思っていて。実は、私は完璧主義なので、例えばお金がないとなると、まずは家計簿を買って完璧に管理しようとします。でも、続かない。すると、できない自分に落ち込む。一つできないと全部どうでもよくなる。という負のループに。そんななか、無駄にハードルを上げなくてもいいのではと、ふと思ったんです。自分に合うやり方、つまり“自分にできることだけやる”のが、最適解だとわかりました。

── なるほど。ほかにも真船さん独自の“正攻法”はありますか?

私たちの場合は、お金に対する歩みをやめないことだと思います。我が家は二人とも働くことが得意なタイプなので、節約よりも必要なぶんを稼ぐほうが合っている。毎月、お金の反省会をやっているご夫婦もいるようですが、私たちは細かい話は置いておいて、とにかく生活を回していくっていうことをやるのが大切かなと思います。

── さまざまな見直しがありましたが、現在も維持していますか?

振り返ると、我が家は仕組みを作ることがキモでした。それは橋を架ける作業に似ている気がして、橋は架けるまでがすごく大変ですが、架かってしまえば対岸との行き来がラク。同様に、家計も一度ルール化すれば、あとはそれに従って運用するだけ。ただ、うちは今のところ、例えば家を買ったり、第二子を授かったりと、毎年のように大きな変化があるので、定期的な見直しが必要かなと思います。

── 家計の見直しは、第一子が生まれてからでしたが、もう少し早いうちからやっておけばよかった、と思うことはありますか?

めちゃくちゃ思います。とくに今はローンの金利が変わるなど、お金を巡る状況が目まぐるしく変化していて、あと1年相談するのが遅かったら、値段が上がってマンションを買えなかったかも。でも、重い腰をようやく上げられたのは、子どもがいたから。そう考えると、我が家にとってベストタイミングだったのかもしれません。

一念発起して取り組んだ、見直しの軌跡

FPさんに相談。すると、この金額を言われて横転

クレジットカードの使用額などの収支や、将来の人生設計をFPさんに渡したところ、「将来的に1億3000万円の負債を抱える」というキラーワードが! 本気が目覚める。

散らかった部屋でモノを失くして、同じものを購入

イヤホンなどの小物から洋服まで、部屋にモノが散乱して、使いたいものが見当たらず。結局、同じものを買うという無駄な出費は、引っ越しを機に整理・収納して解消。

以前の賃貸は設備や立地に難があり、浪費の温床に

エアコンの効きが悪い、お湯の温度が上がりにくいなどで、光熱費が嵩む。駅から遠く、タクシーを使う頻度も上がる。これらを解消するべく、家を購入して引っ越し。

真船さんのお金の3か条

まずは仕組みを作り、定期的に見直しを

夫婦で共同口座を作り、毎月、給与の約50%ずつを振り込んでいたが、金額や用途を見直し。お互いに納得感ある仕組みを構築。ただ、仕組みを作りっぱなしではなく、状況の変化に応じて定期的に見直すことも大切。

完璧主義になりすぎず、自分にできることをする

完璧主義ゆえ、最初のハードルを上げすぎてしまうことが。例えば、家計簿を買っていきなりびっちり管理するのではなく、「まずはカード明細を見る」などの一歩でOK。できないことを無理にやらなくていいと割り切る。

お金に対する歩みを止めず、もりもり働く!

節約が得意な人もいれば、ガツンと働くことが得意な人もいる。後者の真船さん夫妻は、シッター代や家事代行など、自分たちが働くうえで必要な出費はケチらないのがモットー。そのぶん働けばいいというバランス感覚。

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写真・大内カオリ インタビュー、文・保手濱奈美

anan 2498号(2026年6月3日発売)より
Check!

No.2498掲載

お金の教科書 2026

2026年06月03日発売

物価高が暮らしを直撃し何かと不安の多い昨今。将来のために、家計の見直しや節約から、増やす技術まで、賢くお金と付き合う方法を一から学ぶ特集です。

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