意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「住宅価格高騰」です。


価格高騰により街の荒廃に繋がる恐れも

住宅価格が高騰しており、東京23区のマンションの平均価格は1億円を超えました。東京都全体の基準地価平均変動率が13年連続上昇しています。

近年、都心では投機目的のマンション購入が増えており、千代田区などのマンションで空室が問題になっています。住宅価格が過度に上がることにより、賃貸住宅の賃料も高騰、将来区民が住めなくなる恐れもあります。また、居住実態のない住戸が増えると、管理組合の運営に支障をきたしたり、防犯や防災面でも問題が起きてしまいます。

千代田区では、不動産協会に対して、マンション購入者が引き渡しを受けてから原則5年間は物件を転売できないよう特約を付すことや、販売するマンションは、同じ建物で同一名義者による複数物件の購入を禁止するよう要請しました。ただ、民間事業者に対して区が規制をかけることには限界があるので、都や国に対処を求めたいと区長の樋口高顕さんは話していました。

今は円安ですから、日本人からすれば高くても、諸外国にしてみれば安く買えますから、国外からの投機目的の取引が増えるのも無理はありません。しかし、投機目的の取引を規制するというのも、憲法の「人の移動の自由」や「売買の自由」に抵触する可能性があるらしく、実現は難しそうです。

サンフランシスコでも同様のことがありました。シリコンバレーにIT企業が集まったことで、高所得のIT長者がサンフランシスコに多く住むようになり、家賃が高騰。もともと住んでいた人たちが住めなくなってしまいました。それがコロナ禍でリモートワークが進み、IT長者が出ていくと、高い家賃のみが残ってホームレスが増え、街は荒廃してしまいました。

現在、東京都では、かつての公団などを買い上げてリノベーションし、低所得者や中間所得者が手頃な家賃・価格で入居や購入できるアフォーダブル住宅を打ち出しています。神戸市では空室のままにしている所有者に対して、空室税を課すことを検討しています。

また、外国人観光客向けに民泊事業者がマンションを買い上げて地元住民が住めなくなる、という問題も世界各地で起きているんですね。

五月女ケイ子解読員から一言

「そういえば東京オリンピックの後ガクッと下がるなんて話もあった気がしたけど、気のせいだったかな(汗)。このままだと都心には、ゴーストシティや外国人(私の脳内では宇宙人)の富裕層しか住まない街ができるSFチックな展開も十分ありそうです」

解説員

Profile

堀 潤

ほり・じゅん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『堀潤 Live Junction』(TOKYO MX月~金曜18:00~19:00)が放送中。新刊『災害とデマ』(集英社)が発売中。

五月女ケイ子

そおとめ・けいこ イラストレーター。楽しいグッズが買える、五月女百貨店が好評。細川徹との共著、ゆるくておバカな昔ばなし『桃太郎、エステへ行く』(東京ニュース通信社)が発売中。

写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

anan 2472号(2025年11月19日発売)より
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No.2472掲載

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