
岸谷蘭丸さん
インフルエンサー、「MMBH留学」代表・岸谷蘭丸さんに、お金との向き合い方についてお話を伺いました。
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経営に携わり、手触り感を持ってお金を扱いたいと思っています。
約3年前から柚木蘭丸の名でSNSを始め、注目を集めてきた。昨年、俳優の岸谷五朗さんと、元プリンセス プリンセスの岸谷香さんが両親であり、本名で活動することを公表。現在は、海外大学の受験サポートなどをする「MMBH留学」の代表を務めている岸谷蘭丸さん。
「ニューヨークの高校に留学し、その後、海外の大学に通っていたのですが、そこで目にしたもの、身についた考えから、大学在学中に友人と会社を設立しました。親とは違うフィールドで、自分なりの価値で何かを成し遂げたいと思ったのもきっかけです」
留学により体感したのは“施し”の文化。日本にはない、セレブリティの存在が大きく影響する。
「プライベートジェットで国に帰るとか、石油王の息子みたいな同級生がゴロゴロいて。みんなが(クリスチャン)ルブタンの靴を履いてくるから靴箱で自分の靴がどれだかわからなくなり、ルブタンが禁止になったことも(笑)。でも世界のセレブリティには堂々とお金持ちをアピールしながら多額の寄付をしたり、ホームレスや恵まれない子どもを救いたいという考えが根付いているんです。一方、日本にはお金を持っていることを隠すような文化がある。僕は正直、恵まれた環境に生まれてきたと思います。でも、それって隠すようなことじゃない。恵まれて生まれてきたからには社会に何かしら還元をしなければいけない義務があるという考えは、海外経験から身につきました。そこで僕自身、幼少期から親に、特に教育面に関しては惜しみなくお金を投資してもらったことから、教育に関する仕事がしたいと思ったんです」
事業内容は、海外高校・大学受験のための願書作成サポートを提供し、TOEFL iBT、IELTSなどの受験対策なども行う。自らの英語教育に大きく影響を受けたリバティ イングリッシュ アカデミーと提携するなどして海外留学をサポート。いずれは日本の教育改革を進めたいとも語る。
「日本の義務教育は素晴らしいし子どもの学力レベルは世界でもトップクラスだと思います。そういう素晴らしい部分は残しつつも、ただ、全員一律に同じことをする必要もない。特に高等教育とか、大学受験のシステムや教育内容に疑問を感じていて。日本の大学は大人数で大教室に集まり座って講義を聞くだけではなく、個々の能力を伸ばすためのもっと上質な教育を提供する必要があると思っています。日本の未来を変えていくような優秀な人材を育てたいなら、レベルの高い講師を揃え、質の高い研究制度を作ったり、設備投資を増やすために学費を上げる必要がある。そこに国はもっと投資するべきだとも思っています」
経営に携わり、お金の価値観は新たなものになったという。
「家庭教師のバイトをしていた時の時給は1時間5000~6000円。お金を稼ぐのって、正直ちょろいなって思っていました(笑)。でも今は、時間を売らずにプロダクトの価値だけで、1円を稼ぐのすら難しいと思っています。そもそもお金って、投資をしなければリターンがないと思っているんですが、僕は株投資はよくわからないし(笑)、現時点では興味もなくて。また、NISAのような長期保有が前提でお金を預ける安心感や、画面で数字を追うだけではちょっとつまらない。経験や能力に投資したいから、将来の自分はもっと稼ぐであろうと期待して、今は必要なものにはどんどんお金を使っています。会社設立当初は特に何をすべきかわからず、どうすれば“時給ではないお金”を稼げるのか、という課題に向き合う中で、営業などいろいろな経験をしながら、手触り感を持ってお金を扱うことを大事にしたいと思うように。地に足をつけ泥くさくやっていく、が会社のモットーです」
お金の意識年表
【15~16歳】自ら望んでアメリカへ!
ニューヨーク州の高校に留学。海外の文化や価値観に触れながら、セレブリティのお金の価値観を目の当たりにする。
【19歳】お金は簡単に稼げると思っていた。
初めてのアルバイトで家庭教師に。高額な時給に、お金を稼ぐことは“ちょろい”と感じてしまう…。
【21歳】ヨーロッパの難関大学に入学。
イタリア・ミラノのボッコーニ大学に進学。現在も在学。教育への投資を惜しまない両親の方針を実感。
【23歳】大学に通いながら会社設立。
2024年、留学支援や学習支援を行う「MMBH留学」を友人と設立して代表に就任。プロダクトを生み出す苦労を知り、お金に対しての価値観が変わる。
お金のマイルール
1、お金の価値は変わるもの!
「例えば今ある100万円と10年後の100万円は、自分にとって絶対に価値が違う。同じ100万円でも“今”が一番価値を発揮すると思うので、経験や喜びに繋がることに自己投資していきたい」
2、使うなら二流より一流のものに。
「二流のものに散財するのではなく、一流のいいものに触れて目や感覚を養いたい」
3、稼ぐためにはまず使う。
「『お金は使って回さないと入ってこない』という思い切りの良さは、母から教わったのかも(笑)。実は、何かあった時に備えがないと怖いと思うタイプで、幼少期からお年玉を貯めていました。でも今は、自分にとって意味のあるものに使いたい」
Profile
岸谷蘭丸さん
きしたに・らんまる 2001 年7月7日生まれ、東京都出身。YouTubeやTikTok、Xで発信をしながら、昨年「MMBH留学」を設立。当時使用していた柚木蘭丸から本名の岸谷蘭丸へ改名。
anan 2449号(2025年6月4日発売)より