諸沢莉乃さん

話題のあの人はお金とどう向き合っている? 「株式会社スカイスクレイパー」代表取締役社長・諸沢莉乃さんにお聞きしました。

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    お金は自分のために使うより、人のために使うほうが嬉しいんです。

    「高校時代に周りの子がアルバイトを始めるようになり、楽しそうだから私もやりたい! と思い、ちょうどポストに入っていたチラシを見て、今の会社が運営する飲食店でアルバイトをするようになりました。当時の時給は覚えてないですが、もらったバイト代は貯金するわけでもなく、放課後の遊びに使っていたと思います」

    そんな等身大の高校生が、アルバイトから社長になったのは22歳。今は飲食店のフランチャイズ運営を行う「スカイスクレイパー」の代表取締役社長として忙しい毎日を送っている諸沢莉乃さん。

    「私の接客態度を買ってくださった会長(当時の社長)が、ある席で突然『次の社長をやっていただけませんか?』と言ってくださって。アルバイトから社長になったという前例はなかったため、最初は冗談かと思いました。でも会長は『おっさんからおっさんにバトンタッチしても、面白くないでしょ?』って(笑)。普段から社員にすごく近い場所にいてくださって、フランクに接してくれる方なんですが『社長になっても店舗に立って、大好きな接客を続けてもいいよ』と言われたことも、決断のあと押しになりました」

    接客態度がほかの人よりもずば抜けていた理由は「子どもの頃から人のために何かしたいと思っていた」ことに繋がる。

    「高校卒業後に、アルバイトと並行して募金活動をするボランティアをしていたこともありました。でも募金箱を持って立っているだけでは、相手の顔が見えにくくて。その時気づいたのは、私は目の前で相手が笑顔になってくれるとか、成長する姿が見られたり、また直接『ありがとう』と言い合いたいんだ、ということ。ある時、店舗巡回に来た会長にその話をしたら『遠くの人を助けるのも素敵だけど、身近な人たちに接客を教えたりすることで諸沢さんがやりがいを得るなら、うちを活用してくれていいよ』と言ってくださって。それからは、飲食店一本に絞り、来店してくださるお客様に気持ちよく食事をしていただきたいという一心で働いてきました」

    時給から、社長相応の報酬を手にするようになった諸沢さん。金銭感覚やお金に対する価値観の変化についてこう語る。

    「もちろん収入は大きく変わりましたし、こんなにいただいていいのかな…といつも思っています。でも、お金をいただく以上、それに見合った仕事、またそれを超える仕事をしたい。例えばお友達と旅行してても、会社や店舗に何かあったらすぐに戻るとか、自分よりも会社を優先するようになりました。いただいている報酬は、代表として決断をしたり、責任を取るための対価だとも思っているのですが、今は経営にまつわるお金についての勉強も始めています」

    もともとお金には執着がなく、物欲もないそう。

    「リップは300円ぐらいの色付きリップクリームで、アイブロウは100均のもの、美容院は中学時代から3000円カット。高校1年生の時にアルバイト代で買ったリュックを今も使っていて、お店に立つ時は制服をそのリュックに詰めて向かっています。破れてないし、まだ使えますから(笑)。グレードアップしたのは、仕事で移動が増え、スケジュールがギリギリな時は電車ではなくタクシーを使うようになったこと。地元の秋田に帰る時には、夜行バスではなく新幹線が使えるようにもなりました。新幹線って速いし楽ですね! でも自分のためよりも、どちらかというと人のためにお金を使うほうがいい。大好きなおじいちゃんによく健康食品を段ボール箱で送っているんですが、おじいちゃんが喜んでくれるのが嬉しいし、これも人のためになりたいという精神からなのかも。私自身の幸せは、お客様と話している時。現場に立つことは天職なんです」

    お金の意識年表

    【小学生時代】おこづかい制ではなくお年玉で。
    年始にもらったお年玉で1年間やりくり。それでも十分やっていけた幼少期。

    【16歳】バイト代でリュックを購入。
    高校1年生で、今の会社の飲食店でアルバイトを始める。アルバイト代で2万円のリュックを購入し、それ以外は放課後の遊びに使っていた。

    【22歳】スカイスクレイパーの社長に就任。
    時給制から社長相応の報酬をもらうように。報酬は決断をしたり責任を取るための対価だと認識し、報酬以上の仕事をするように心がけている。また、経営にまつわるお金の勉強もスタート。

    【23歳】交通手段がレベルアップ!
    地元・秋田に帰省したり、祖父の家に遊びに行く交通手段が夜行バス→新幹線に! また、仕事で急いで移動する時は、タクシーを使うようにも。

    お金のマイルール

    1、1万円を超える買い物は一度考える。
    「値段が1万円を超えるものを買う時は、本当に必要かを一度考えます。高校時代に買ったリュックは2万円ぐらいしたのですごく悩みました。でも今も使っているので元は取れているかな(笑)」

    2、お金の話は他人にしない!
    「親から『お金の話は人前であまりするものではない』と教えられてきたこともあって、お金について聞かれるとモゾモゾしちゃいます(笑)。小学生の時は、友達にお年玉の金額を聞かれても言いませんでした」

    3、誰かのためには惜しみなく使う。
    「友達の誕生日プレゼントを選ぶ時は、自分では買わないような値段のものを選びます。相手が喜ぶ顔を見るのが好き!」

    Profile

    諸沢莉乃さん

    もろさわ・りの 2001年12月18日生まれ、秋田県出身。22歳で、高校時代にアルバイトをしていた飲食店を運営するフランチャイジー企業の社長に就任。異例の人事が話題に。

    写真・園山友基 ヘア&メイク・Midori 取材、文・若山あや

    anan2449号(2025年6月4日発売)より
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    No.2449掲載

    マネーとマナーの新常識 2025

    2025年06月04日発売

    今号は今こそ知っておきたい、“マネー”と“マナー”について考える一冊です。物価高だけれど給料は上がらない、と不安だらけの人がまず知っておきたい節約、貯蓄、投資の知識を一から学びます。一方、マナー特集では、ユニバーサルなマナーや街中でのエチケットなど、人や社会に優しいマナーについて考えます。CLOSE UPにはなにわ男子の大西流星さん、JO1豆原一成さん&INI池﨑理人さんが登場します。そして待望のAぇ! groupの新連載「Aぇ! 男たち」もスタート。初回は小島健さんが担当です。

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    玉の輿的な理想を夢見ていながら、実際には現実も相手のこともよく見えていない状態になりがちな日です。そのまま盲目的に追いかけると厳しい現実に直面することになります。見立ての甘さを反省したうえで、理想にとらわれず、自分を安売りせず、ときには過去の経験も生かしながら、あなたにとっての最適を見つけてください。

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