
お金に取り組むなら、まずは投資より、あらゆるリスクから自分の人生を守る「生活防衛資金」を貯めよう。
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「病気や失業で収入が減っても生活できるよう、最低でも3か月分、できれば6か月分の生活費を貯めておくと安心。十分な貯蓄は余裕を生み、人生の選択肢も増やします」(ファイナンシャルプランナー・黒田尚子さん)
初めの一歩は、毎月の収支をチェックすること。
お金の情報は世の中に溢れているけれど、誰もがお金に強いわけではない。「はやくNISAを始めなきゃ!」と焦るものの、何から始めればいいかわからず結局動けない……。若者を取り巻くそんな風潮に対し、「お金を難しく考えすぎているせいかも?」と語る黒田さん。
「たしかに、情報も手段も豊富すぎて“選ぶ”のが難しい時代。ですが、もともとお金は生活に直結しているもの。たとえば、私は大学時代に投資を始めましたが、経済を勉強したからではなく、奨学金とバイト代だけでは生活が苦しかったから。あれこれ詰め込む前に、自分の課題を考えると、やるべきことがシンプルに見えてくるはず」
“必要性”はお金の先生。それが何かを知るためにも、現状の確認は不可欠だ。手始めに、自分の収支をチェックしてみて。
【TRY】直近1か月の自分の収支を書き込んでみよう。
通帳やカードの明細を見て、月の収入と支出を確認。支出は3つに分けるとムダを見つけやすい。

支出はこの3つに分類しよう。
【固定費】
・家賃などの住居費
・スマホやWi‐Fiなどの通信費
・サブスク代/アプリの利用料
・各種保険料
・ジムやファンクラブの会費
・ローンや奨学金の返済
毎月定額を支払うもの。大きいものでは家賃やスマホ代、保険料、奨学金の返済など。細かいものでは、月額制のアプリなどがある。「多くは、クレジットカード払いや口座引き落としなので、明細や通帳を見ればだいたいわかるはず。一度の見直しで大きく改善できる部分なので、少額のものもしっかり洗い出していきましょう」
【変動費】
・食費/外食代
・カフェ代
・お酒代/コンビニ代
・水道光熱費
・日用品費/美容費
・飲み会代/交際費
・交通費/ガソリン代
変動費は、毎月使うけれど固定費と違って金額が変わる支出。日々の食費や日用品費、カフェ代や交際費、交通費などが当てはまる。「お金を使っても形に残らないものが多く、意識しないとムダの温床になりやすい。記録が残っていない人は、1か月分のレシートを集めて、何にどのぐらい使っているかを計算してみて」
【特別費】
・ファッション費
・旅行や帰省費
・プレゼント代/冠婚葬祭費
・家電や家具の買い替え代
・記念日などのイベント費
・医療費
特別費は、毎月は必要ないけれど年間でかかる支出。服や家電の買い替え、旅行のほか、賃貸住宅の更新料や車の車検なども当てはまる。「金額もそれなりに大きく、思っている以上に支払っている部分。特別費の見積もりが甘いと、貯蓄を崩すことになるので、昨年1年間にどのぐらい使ったか、把握するようにしましょう」
収入>支出のあなた
特に頑張らなくても黒字ならば、今後は目標額を決めて貯めるチャレンジを。「貯蓄が多いほうが人生の選択肢を増やせるのは事実。貯蓄は目標を持つことで加速していきます。まずは生活防衛資金、それができたらプラス100万円を目指してみて」
支出>収入のあなた
現状、赤字の状態ならば家計の見える化&見直しが急務。「貯蓄が少ないと、住宅購入や子どもの教育などの大きな選択で“選べない”人生に。まずは効率よくムダを省ける固定費から見直して、優先順位の低い支出をカット。少しでも黒字にしていきましょう」
Profile
黒田尚子さん
ファイナンシャルプランナー(CFP(R))。城西国際大学、千葉商科大学非常勤講師。『マンガでわかる お金に人生を振り回されたくないから 超ビギナーが今すぐやること教えてください』(主婦の友社)ほか、著書多数。
anan2449号(2025年6月4日発売)より