押さえたいのは3つの“フェーズフリー”。
「フェーズフリーとは、日常と非常時の垣根をなくして、どちらでも同じ道具を使用するという防災の考え方です。防災グッズの準備は重要ですが、お金や手間をかけすぎると息切れして長続きしません。普段から使える日用品として用意すれば、肩ひじ張らない防災につながるでしょう」
フェーズフリーのアイテムを選ぶ際のポイントは、命を守る道具であることと、部屋に馴染むこと、そして、簡単に使えること。
「防災の最重要事項は“命を守る”準備です。とくに必要なのは、ケガの危険から体を守る道具や、停電時の明かりなど。でも、それがどこにあるのかわからなくなっては意味がありません。普段から目につく場所に設置できるように、インテリアの邪魔をしないデザインのものを選ぶようにしましょう。また、説明書がなくても簡単に使えるものであることも大事。非常時はスマホなどで使い方を調べることができないため、直感的に使える道具であることが不可欠となります」
【日常×防災】日常生活にも便利な防災アイテム

1、【三和製作所】バケツにもなる 撥水バッグ
表も裏も撥水生地で、非常時はバケツに。
一見すると、普通のトートバッグ。でも、実は表と裏の両面に撥水生地を使用していて、なんと水を運搬できるほどの撥水性! 「普段は雨の日でも使える安心感があり、非常時はそのまま給水バケツとして活用できます」。肩に掛けられるのも嬉しい。

2、【日本防災スキーム】いつでもランプtsuita
停電時にも継続点灯。外せば懐中電灯にも!
平常時はいたって普通のLED 電球。一転、停電時にも消えずに継続点灯するという防災機能付き。「内部にバッテリーが搭載されていて、取り外せば懐中電灯としても使えます」。停電時は、平常時の3分の1程度の明かりを確保。バッテリーは普段の使用で自動的に充電される。

3、【SONAENO】防災ライトルームシューズ
足を上からも裏からも守れて明かりもつく!
在宅中の震災で注意したいのが、割れた食器を踏まないようにするなど足元の危険。その対策に有効なのが、このスリッパ。「足先上部は保護素材が使用されており、靴底には踏み抜き防止素材も入っている。つま先にはLEDライトがついていて、停電時はハンズフリーで周囲を照らせます」

4、【兼備生活】充電式壁掛け扇風機
停電時も動く扇風機は猛暑の暑さ対策に必須!
工事不要でタイルや石膏ボードなどの壁に取り付けられる扇風機。電源はUSB充電または乾電池なので、コードレスでOK。「停電しても使えるため、昨今の暑さ対策に役立つアイテム。熱中症の危険を色で知らせるランプや、電池を節約するための人感センサーも搭載」

5、【SONAENO】クッション型多機能寝袋
ひとつで何役も! 避難生活の強い味方。
普段はクッションや広げてブランケットとして使用。非常時には寝袋や着替えスペースになり、マルチに使える防災アイテムがこちら。「車や避難所で寝泊まりをすることになると、寝る道具がないため重要な持参品になります」。抗菌・防臭仕様で、災害時の衛生面や感染症予防にも配慮している。
PROFILE プロフィール
髙荷智也さん
備え・防災アドバイザー。“自分と家族が死なないための防災”をテーマに、地震・水害・パンデミックなどの自然災害から身を守る術をわかりやすく伝える活動に従事。著書に『今日から始める家庭の防災計画』(徳間書店)など多数あり。
anan 2438号(2025年3月12日発売)より