環境活動家・小野りりあん「“自分も自然の一部なんだ”と感じることが大切」

ライフスタイル
2025.03.08

小野りりあんさん

温暖化をはじめ、日々実感される環境の変化が、グローバルにも大きな課題となっている今。モデルで環境活動家の小野りりあんさんに、気候変動のことについて教えてもらいました。

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気候変動問題とは?

二酸化炭素などの温室効果ガスにより、地球温暖化が進み、平均気温が上がることで引き起こされる問題。世界的に気象の変化が起こっており、地球規模で対策に取り組むことが必要に。2015年のパリ協定では、先進国に限らず、途上国を含むすべての締約国を対象として、2020年以降の温室効果ガス削減に関する取り組みが採択された。今年、トランプ大統領が就任すると、アメリカはパリ協定から離脱することを決定し、話題に。

“自分も自然の一部なんだ”と感じることが大切。

――そもそも小野さんが気候変動問題に関心を持ったきっかけを教えてください。

小野りりあんさん(以下、小野):青森で生まれ3歳から札幌で暮らしたのですが、幼少期から自然に囲まれて育ったのが大きいと思います。自分にとって身近であるはずの自然が壊されているという事実を知ったのは、7歳くらいの時。母の友人が「伝説のスピーチ」(カナダの環境活動家、セヴァン・スズキ氏が12歳の時に環境サミットで行ったスピーチ)の動画を見せてくれて、「子供でも地球のためにこんな行動ができるんだ」と思ったのを覚えています。

――10代からモデルとして活動を始め、そこから本格的に環境問題に取り組もうと思ったのは?

小野:20代前半の頃、モデル業を3年ほど休んで世界中を旅して回ったんです。インドでアーユルヴェーダを学んだり、カナダのバンクーバーにある島でパーマカルチャー(自然と共存しながら持続可能な暮らしを実現するための考え方)について学んだり、デンマークにあるフォルケホイスコーレという学校に留学して、世界規模の問題について話し合うクラスを受けたりしました。自分が興味のある方向に歩き回っていったら、自然と“気候変動問題”というテーマに行きついた感じですね。日本に戻ってからは、環境NGOやボランティアに参加したり、同じ問題意識を持つ仲間とコミュニティを立ち上げたり、YouTubeでの発信も始めました。

――これまでの活動で、特に印象的だったものは?

小野:いろいろありますが、2019年に飛行機をできるだけ利用せずに世界一周の旅に出たことです。自分が会いたい気候活動家を一人ずつ訪ねて回るのが目的でした。

――飛行機以外で世界一周というのはハードそうですね。

小野:簡単ではありませんでしたが、地球が小さく感じられました。「こんなに小さな惑星をたくさんの人と共有しているんだ」という実感も改めて湧きました。

――そんなふうに世界を渡り歩きながら、環境について向き合ってきた小野さんから見て、気候変動問題の現状はいかがですか?

小野:みんなが思っている以上に事態は深刻だと感じています。地球の平均気温が産業革命前の水準に比べて1.5°C上昇すると、環境や生態系に大きな影響が出るといわれているのですが、昨年すでに1.55°Cの上昇を記録しているんです。このまま温暖化が進んで、例えば平均気温が2°Cより上がってしまうと、将来的には多くの場所に住めなくなるといわれています。

自分が疑問に思うことに行動のチャンスがある。

――気候変動問題に対して私たち個人にできることはありますか?

小野:モノを大切にするというのは大前提ですが、私がおすすめしたいのは“パワーシフト”を応援することです。例えば、再生可能エネルギーを推進している電力会社を利用すれば、そういった動きへの後押しに繋がります。まずは一度“パワーシフト”と検索して調べてみてください。今までと違う選択が広がるはずです。それから食に関しては、野菜を中心に食べる食生活を心がけてほしい。環境負荷という視点から考えると一番のおすすめは野菜で、肉なら牛よりも鶏や豚をおすすめしたいです。野菜中心のレシピを試してお肉の出番を減らしてみるなど、ストレスの少ない方法を探してもらえたら。情報をキャッチアップするために環境NGOのメーリングリストに入っておくのも有意義です。

――最後に、気候変動をもっと身近な“自分事”として捉えるにはどんなマインドが必要でしょうか。

小野:いろんなことに興味を持ったり、疑問に思うことですね。「このペットボトルはどこから来たんだろう」でもいいし、「どうして野菜が高いの?」でもOK。突きつめて考えると、そこに行動を変えるチャンスがあるかもしれません。あとは定期的に自然に触れることで“自分も自然の一部なんだ”という意識を育てることも大切。週末に農園体験をしたり、家庭菜園をするのもおすすめです。最初から完璧にやろうとしなくていいので「知りたい」と思うことからトライしてみてください。

実践中のエシカルアクション

りんごの皮から作られたリュックを愛用中。

スウェーデン発のブランド『ガストンルーガ』のバックパックは、りんごの皮から作られたヴィーガンレザー製。レザーの素材はもちろん、染料、接着剤に至るまで、動物性のものは一切使用しないという徹底ぶり。

毎日使うコスメこそエシカルなものを。

モデル友達でもある水原希子さんがディレクターを務める『キークス』と、日本発のクリーンビューティブランド『ナナチュラル』のコスメを愛用。どちらも天然由来成分100%で、環境にも肌にもやさしい。

サステナブルブランドのスニーカーがお気に入り。

環境に配慮した靴作りで知られる『ヴェジャ』のスニーカー。キャンバス生地にはフェアトレードで仕入れたオーガニックコットン、ソールにはアマゾンで採取した天然ゴム、アッパーにもリサイクル素材を使用。

マイブームはダーニング刺繍!

「ダーニング」とは、ヨーロッパで伝統的に行われる、衣類の傷んだ箇所を修繕する手法のこと。カラフルな糸を使えば、ダメージもチャームポイントに早変わり! 繕いながら長く使うことで愛着もいっそう強まる。

PROFILE プロフィール

小野りりあん

おの・りりあん 1989年生まれ、北海道出身。2004年からモデルとして活動。岡本多緒さんと共同で立ち上げた環境系ポッドキャスト番組『Emerald Practices』が好評。そのほか、SNSにて気候変動情報を発信。

デニムジャケット¥77,000(アボード・オブ・スノウ TEL:03・5962・7669) その他は本人私物

写真・Hal Kuzuya 取材、文・瀬尾麻美

anan 2437号(2025年3月5日発売)より

MAGAZINE マガジン

No.2437掲載2025年03月05日発売

今、わたしたちにできること。

特集は“いま、私たちにできること”。SDGsやエシカルという価値観が定着して久しいですが、自分レベルで実践できる地球にやさしい情報をアップデートしてお届けします。第2特集はフェムケア。CLOSE UPは笑福亭鶴瓶さんと重岡大毅さん。Travis Japanカレンダーへの道には川島如恵留さん、Aぇ! groupプレ連載には小島健さんが登場します。

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