官能的な音楽と文章を生み出す、クリープハイプの尾崎世界観さん。彼にとっての「官能」とは?
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嫉妬やもどかしさ…人への執着=官能

どんなときに官能を感じるか、取材前からずっと考えてたんですけど、思いつきました。今、目の前で編集さんが差し入れの箱の縁で指を切っちゃって…。本当は痛いはずなのに、何事もなかったかのように努めてほかの話をしようとやせ我慢しているのを見て。そんなところはすごく官能的です。指先というパーツも不思議な場所ですよね。いちばん警戒されにくくて触りやすいのに、感覚が鋭いから、遠慮がちに触れたことさえも伝わってしまう。指先は、人との繋がりの入り口なのかな。指先で携帯をいじってる姿もいいですね。さらに「ほら」って画面を見せながら携帯を渡されそうになるとドキッとします。見せられた内容自体は大したことなくても、携帯というパーソナルなものを一瞬でも預けられることにハラハラします。

官能って、人に対する執着から派生すると思うんですよね。親しい女の人が、僕の知らない男性に、僕とは違う感じで心を開いているのを見ると悔しいし、もどかしいし、嫉妬もしてしまう。そうした感情が官能に繋がるような気がします。

自信がなかったり、羞恥心がある人は官能的で、美しい。女性側に、見せたくない部分があればあるほど、こっちは見たくなりますしね。“エロ”って、AV的というか直接的な感じがします。対して、核心に触れないスレスレのところで、輪郭をハッキリさせていくのが“官能“。落語の廓噺(くるわばなし)では、遊廓で芸妓さんとどんちゃん騒ぎをするところはSEXの前戯として丁寧に描いているのに、そのあと急に朝になっちゃう。実際の行為をあえて描かないのが粋だし、高度な想像を掻き立てるところなんかは官能的ですよね。僕も、音楽は直接的な言葉で届けるよりも、自分と聴いてくれる人との中間に作品を置いて、聴いてくれる人がそこまで取りに行かないと理解できないものがいいと思っているんです。廓噺を官能的だと思うのは、そういう感覚に近いかもしれないですね。

尾崎世界観さん おざき・せかいかん 1984年、東京都生まれ。クリープハイプのボーカリスト。昨年、半自伝的小説『祐介』を発表。バンドの作品集『もうすぐ着くから待っててね』が発売中。

※『anan』2017年3月8日号より。写真・内田紘倫 取材、文・小泉咲子

(by anan編集部)


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