意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「米不足」です。

離農が進むなか長期的な対策が求められる。

社会のじかん 堀潤

今年の夏はスーパーの米の棚が品薄になるなど、米不足がニュースになりました。2023年の作況指数(作物の収穫量を平年に比べて表す指数)は101でほぼ平年並みと予測されていますが、個別銘柄で見てみると、実際には収穫量が減っていたり、品質が良くなかったり、流通量が減ったことが、米が不足した理由の一つにあります。

この背景には、気候変動の影響で、ある地域だけ局地的に豪雨に見舞われるなど地域差ができてしまい、日本全国で米の傾向を語るのが難しくなっているということがあります。

また、インバウンドにより、外食産業で米の需要が急増したことも、米不足に拍車をかけました。「米が足りないかも?」という話題がSNSで一気に広まり、不安に思った個人が買い溜めするという消費行動の影響もあるでしょう。在庫が少なくなれば価格も高騰し、ますます買えないという悪循環も起きました。

長期的原因としては、稲作農家の倒産や廃業が過去最多を更新。人材不足、後継者不足が深刻なんですね。肥料などは輸入に頼っており、価格が2020年平均と比べると1.5倍に値上がりしました。ガソリンや軽油などの燃料費も1.2倍、農薬は1.1倍に。さらに円安が進んでいることが農家の経営に大きな打撃を与えています。

米の作りすぎを抑えるために’70年代から50年近く続いた減反政策は、2018年に廃止。補助金も出なくなったため、高齢化した農家は農業から離れていくところも。今後は、農産業への若手参入と大規模集約化された“新しい農業”のようなものを米作りに持ち込む必要があるでしょう。低農薬米や無農薬米など、高付加価値をつけたおいしい米を輸出することで生き残りをかけようという動きも出てきています。

米不足は新米のシーズンになれば解消すると政府はコメント。ただ、温暖化により、従来の品種がその土地で作れなくなり、インディカ米など高温多湿に耐えられる品種と交配するなど品種改良の対応も迫られています。米は日本のソウルフード。普段から米を買い支えるという姿勢も大切なのではないかなと思います。

堀潤 社会のじかん

ほり・じゅん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。メインキャスターを務める報道情報番組『堀潤 Live Junction』(TOKYO MX月~金曜18:00~19:00)がスタート!

※『anan』2024年10月23日号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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