脱炭素アクションは無理せずにコツコツと。
気候変動の大きな原因といわれる温室効果ガスの排出量と吸収量を全体としてゼロにしていこうと、世界の国や企業がさまざまな取り組みを行っている。
「一人ひとりの行動による直接的な影響は小さくても、国や企業を動かすのは私たちの選択にかかっています」
そう話すのは、脱炭素専門のエネルギーアナリスト前田雄大さん。
「私たちの需要が変われば、供給側の企業によるカーボンニュートラルへの取り組みは加速し、脱炭素社会に合った商品やサービスがより多く提供されるようになります。すでに積極的な企業の商品やサービスを選ぶことも、個人でできる未来にとっていい選択です」
できるだけ多くの脱炭素アクションを取るに越したことはないけれど、無理は禁物とも。
「ダイエットと同じで、脱炭素行動も長く続けることが大切。無理して不便な生活を自らに強いるのではなく、できることから始めてコツコツ続けましょう!」
カーボンニュートラルとは?
カーボンは炭素のことで、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、全体としてプラスマイナスゼロにすること。「排出量が圧倒的に多い現状から“ニュートラル=中立”にする取り組みが必要です」
日本の現状と目標値を知ろう!
世界レベルの目標値を掲げる日本。「以前は、環境問題の優等生でしたが、太陽光や風力発電などクリーンエネルギー分野での後退などから、先進国では劣等生なんて声も…。社会全体で頑張らないと目標達成は難しい状況」
【目標】
2030年度に温室効果ガス排出を2013年度比で46%削減する。
↓
2050年までに実質排出を0tに。
ロングコートダディがカーボンニュートラルアクションに挑戦。
カーボンニュートラルな社会を実現するために、日常生活でできるアクションを、お笑い芸人のロングコートダディが紹介! 取り入れやすいものから始めて。
1、充電器は差しっぱなしにしない。
スマホにPC、Bluetoothイヤホンなど、充電して使う機器は増える一方。「待機電力はチリツモで、1家庭あたり年間7000円ほど。節約にもなる行動です」(前田さん)
2、ビニール袋、ストローは極力使わない。
製造過程でも処理過程でもCO2を排出するプラ製品。「プラスチックは、溶けないまま海に沈殿して生態系を壊したり、食べた魚介類を通じて人間の体内に入るなど、別の問題も」
3、15分の移動なら徒歩を選択!
歩く、自転車を使うというのは、ヨーロッパでは国策レベル。「歩く人が増えていけば、タクシーの供給量は確実に減っていきます。徒歩が難しければ、電車など公共交通機関を」
4、住宅にHEMS(Home Energy Management System)を導入する。
HEMSとは、住宅のエネルギーを管理するシステムで、政府は’30年までに全世帯に設置することを目指している。「電力量が見える化されて、脱炭素行動をやる意欲が湧きます」
5、宅配サービスはできるだけ1回で受け取る。
便利な宅配サービスは、まとめて受け取るようにすれば、宅配業者がルートを効率化できて、ガソリンの使用が抑えられる。「配達時間指定や宅配ボックスを活用しましょう」
6、電球をLEDに替える。
LED電球は白熱電球や蛍光灯と比べると長寿命。今は、低価格化も進む。「照明の消費電力量は、実はエアコン並みです。一回交換すればいいだけの手軽なアクションで省エネを」
7、旬&地元の食材を使用した菜食メインの食事にする。
旬野菜は大量のエネルギーが必要なビニールハウスで育てずに済み、地元の食材なら運送距離が短くなる。「化成肥料は畑から温室効果ガスが出るので、有機野菜だとなおいいですね」
8、今持っている服を長く着る。長く愛せる服だけ買う。
服の大量生産&破棄は世界的に大きな問題。大切に着る意識を持ちたいもの。「一つひとつ大事に使い、社会的な負荷を下げましょう。リサイクルに回すのもすごくいいですね」
9、冷房の設定温度を1°C低くする。
エアコンは、1°Cで電力消費が10~13%変わるといわれており、貢献度の高いアクション。「温度設定をこまめに変えるより、快適だと思う温度を平常化させたほうが効果的です」
10、PCの画面は15分触らなかったらスリープモードになるよう設定する。
使っていない間も、こうこうと光り続けるパソコン。「インパクトこそ小さいですが、一度設定さえすればOKで、不便でもありません。脱炭素行動を始めるのには、ぴったりです」
カーボンニュートラルを学んでみて…
――“カーボンニュートラル”という言葉は知っていましたか?
堂前透:聞いたことあるくらいでした。
兎:釣りをするんで、カーボンは釣り竿の素材として知ってて、バイクに乗るからニュートラルも知ってましたけど、合わさるとちょっと…。
――という状態から、カーボンニュートラルについて学んだ感想は?
堂前:旬の野菜は、ビニールハウスで育てなくていいから、CO2削減に役立つとか、「なるほど!」ということが知れてよかったです。
兎:まずは知ることが大事だなって思いましたね。頭の片隅に知識があれば、いきなり全部は無理でも、やれることが増えそう。
――以前から環境のためにやっていたことはありましたか?
堂前:散歩が好きで、時間に余裕があれば15分以上歩くのも平気です。
兎:PCのスリープモードは設定してます。コレ、すごくラクですよね。あと、僕は冬でも温かい飲み物を飲まないんですよ。水に氷入れて飲むんです。お湯を沸かすためのガスを使わないからちょっとエコかも。
堂前:氷を作るのに電気使うからプライマイゼロだって(笑)。
兎:そうか。釣り場では、自分のゴミだけじゃなく落ちてるのも持って帰ります。自然で遊ばせてもらってるので、自然を汚したくないんです。
堂前:僕は高2から着続けている服がありますね。
兎:あの青いジャージか。僕は、ずっとお客さんからいただいた服を着続けてて、流行りじゃないからって着なくなることはないですね。このアウターは8年ぶりに自分で買ったんですけど、長く着ると思います。
堂前:服の再利用でワクチンを届けられる仕組みがあって、最近、着なくなった服を海外に送りました。
兎:すごいな。お前が賞レースの前、競馬に賭ける金を送ったらもっと貢献できるんじゃ? この前の『M‐1』で賭けた100万円とかさ。
堂前:あれはエコチャレンジだから。勝ってたら送ってた。
兎:どうだか。そもそも負けてチャレンジ失敗だし(笑)。
堂前:お前が定食屋で必ずみそ汁残すのは全然エコじゃない。
兎:フードロスって言われるけど、残すのは汁だけ。具は食べたいの。みそ汁は塩気が強いから、飲み干すと大量の水を飲まないといけないからそっちのほうがエコじゃないし。そもそもラーメンのスープを飲み干さないからって、それはフードロスなのかって話もある。
堂前:その言い訳は無理やろ(笑)。
前田雄大さん 外交官を経て、脱炭素専門のエネルギーアナリストとして活動。YouTube「GXチャンネル」で情報を発信。著書に『60分でわかる!カーボンニュートラル超入門』(技術評論社)。
ロングコートダディ 左・堂前透、右・兎。NSC31期生同士で2009年結成。コントも漫才も評価が高く、’22年には『M‐1グランプリ』『キングオブコント』ともに決勝進出。今年から拠点を東京に移した。
※『anan』2023年4月5日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) イラスト・中根ゆたか インタビュー、文・小泉咲子
(by anan編集部)