社会のじかん

いまできることは? 8億2800万人が飢えに苦しむ、世界的“食料危機”が加速中

ライフスタイル
2022.09.24
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「食料危機」です。

戦争により小麦の供給がままならず深刻な状況に。

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現在、世界的な食料危機に陥っています。紛争や気候変動、コロナ・パンデミック、そして価格高騰により世界で8億2800万人の人が飢えに苦しんでいます。ロシア軍のウクライナ侵攻で状況はさらに深刻化しています。

ロシア軍が侵攻するまで、ウクライナの小麦の輸出量は世界5位。ロシアは世界最大の輸出国でした。アジアやアフリカ、中東の開発途上国などの貧しい地域は、ウクライナやロシア産の小麦に頼っていました。戦争により農地は荒らされ、ウクライナの小麦畑はロシア軍により地雷が埋められ、撤去しなければ農作業できない状態に。また、農業従事者の国外避難、怪我や死亡により、生産量は減る一方です。

さらに、小麦の輸出拠点となっていたウクライナのオデッサ港がロシア軍により事実上封鎖され、政治交渉に使われました。それにより、イエメンやスーダンなど中東、アフリカ地域に小麦が届かず、供給価格が2倍以上に。このままでは飢餓地域に小麦を届けられないため、世界食糧計画(WFP)は停戦して港を開き、人道支援チームが入れるようにとロシアにリクエストし続けました。国連とトルコの仲介でようやく合意に達しましたが、その直後に港は攻撃されてしまいました。

日本では、小麦の価格高騰は値上げのニュースとして取り上げられることが多いですが、世界では、深刻な飢餓が加速していることをぜひ知っていただきたいです。日本は米が余っていますから、米粉を使ったパンの製造技術を広げるなど、何かできることがあるかもしれません。岸田首相がアフリカの食料支援に約1.3億ドルの拠出を決めたと発表したとき、「日本も大変なのに、支援する余力はないのでは?」という心ない声も寄せられました。しかし、それらの開発途上地域に支えられて日本は発展してきました。今こそ世界協調を実践してほしいと思います。

WFPのもとで開発された「ShareTheMeal」は、飢餓撲滅を目的としたアプリで、スマホ決済で85円から寄付ができます。世界各地の人道支援を必要とする現地からのレポートも書かれていますので、ぜひ見ていただければと思います。

hori

堀 潤 ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。

※『anan』2022年9月28日号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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