社会のじかん

ワクチン格差の解決が急務? コロナの根本的解決のためにすべきこと

ライフスタイル
2022.01.15
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「オミクロン株」です。

ワクチンが世界に回らないと根本的解決にはならない。

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昨年11月、新型コロナウイルス感染症のデルタ株を凌駕する変異株が南アフリカで発見され、オミクロン株と名付けられました。新型コロナウイルスにはスパイク(突起)が多数ついていますが、オミクロン株はスパイクに30か所の変異があることがわかりました。重症化しやすいかどうかは未だ不明。しかし、世界的に急速な勢いで感染が拡大。12月21日時点でオミクロン株の感染は106か国に拡大しました。

ヨーロッパでは、オミクロン株が注目される前から感染が広がっており、ドイツやフランスで過去最高の感染者数を出しています。深刻なのはイギリスで、12月22日には新規感染者が過去最多の10万6122人に。ロンドンでは、検出される新型コロナの9割がオミクロン株とみられます。岸田政権は、オミクロン株が発見された直後から、強固な水際対策をとりました。すべての国と地域からの外国人の新規入国を原則停止。また、濃厚接触が疑われる人たちに対しては、隔離の時間をきっちりとってもらい、アプリで管理。従わない場合には名前を公表すると強い姿勢を示しました。

オミクロン株感染者のなかには、ワクチン接種済みの人もいますが、ワクチンには重症化を防ぐ効果があるとみなされ、欧米ではブースター(追加)接種を国民に訴え、日本も3回目の接種の開始時期を予定よりも早めました。

このように、オミクロン株が急速に世界に広まったのは、ワクチンがアフリカに十分に回ってきていないというのが理由の一つです。先進国では3回目の接種が始まるなか、南アフリカのワクチン接種率は1回目がまだ約30%です。アメリカや中国は世界各国にワクチンの無償提供を行っていますが、それでも追いついていません(日本もアジア地域には無償提供済み)。

先進国が経済活動を再開しようとしても、後進国で新たな変異株が広がれば、国際的な経済活動はストップしてしまいます。オミクロン株のあとにも変異株は出現し続けますから、自国だけではなく、世界的に感染を抑えるように、ワクチン格差をなくすなどの国際協調策をとらないと、根本的解決にはならないのです。

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堀 潤 ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。

※『anan』2022年1月19日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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