僧侶として様々な人生の悩みにアドバイスをしている三浦性曉さん、産業医として20~30代の悩みに多数向き合っている井上智介さん、人を平等に見る、前向きな主人公が人気のマンガに共感の声を集める獅子さん、タレントの光浦靖子さんにお聞きしました。
お悩み: クライアントに返信が遅い人がいます。毎回、やむを得ず催促するけれど、自分個人が嫌われてしまうのではと不安です。(28歳・営業)
お答えします!
三浦さん:仕事はあくまでも仕事です。あなた個人が傷つく必要ナシ。
これは単にお互いのスピード感が違うということ。その上で、仕事上で利害関係にある方との間の悩みですから、個人の意見や気持ちで考える必要は一切ありません。ですので、“しつこく催促したら、嫌われるかも…”と、パーソナルな心配はせず、会社としての立場を最優先し、どんどん催促して構いません。なぜなら、仕事なんですから。
井上さん:嫌われることに慣れましょう。むしろそれで去ってくれるかも。
あなたも仕事としてやっているわけですから、何度も催促すること自体、何も悪くありません。万一何度も催促することでクライアントにイヤがられ、向こうが“担当を変わります”ということになったとしても、面倒な相手が去ってくれて、むしろラッキー(笑)。そのくらい軽く考えて大丈夫ですよ。嫌われることも、時にはアリなんです。
お悩み:同い年の同期よりも早く出世し、上の立場になってしまいました。出世は嬉しいのですが、部下になった同期との接し方が難しいです。どうすれば嫌みっぽくなく、かつ上手く指示を出せるのでしょうか。(30歳・金融)
お答えします!
井上さん:小手先の説得テクではなく、尊敬される存在を目指すべし。
最近多い悩みです。目指すのは“嫌われないような指示の出し方”というような小手先の技の取得ではなく、尊敬される存在になること。尊敬する相手からの指示は、年齢問わず誰でも素直に聞けるもの。仕事の能力だけではなく、日々の振る舞いも含め、です。でもたまに弱音やつらさを吐き出すことも、信頼関係の強化に繋がります。
獅子さん:上司ではなく同僚目線で、褒めることが大切なのでは。
出世して立場は上になったけれど、私自身は何も変わっていないよ、という意思表示をしたほうがいいのかな、と思います。そのために、上司としての上から目線ではなく、「昔からこういうところがいいよね」など、長くその相手を見ていることを加味して、褒める。その“ずっと見てきた”という同僚目線は、潤滑油になると思います。
お悩み:おならを思いっきり彼氏に聞かれました。お互い、下ネタも言わないタイプなので、幻滅されたかも…。(28歳・公務員)
お答えします!
三浦さん:ごまかしたっていいけれど、そろそろさらけ出しませんか?
人は誰しも、恥ずかしい姿を見せたくないと思うもの。おなら、ごまかしたいですよね。いいんですよ、ごまかしても。ただ、いいところだけ見せて生きていけるわけではなく、特に一緒にいる時間が長い相手ならば、どうしてもメッキは剥がれます。この先もっと仲良くしていきたいと思うなら、そろそろ恥ずかしいところも見せましょう。
獅子さん:人の記憶は薄れていくもの。楽しい思い出で上書きを!
さらけ出さないスタイルで付き合っているお二人ならば、「え、そんなことありました?」と徹底的になかったことにするのもありだとは思います。とはいえ、聞かれたかどうかは彼のみぞ知る、なので、そこを忘れてもらうために、二人でもっと楽しい経験をし、おならの記憶を上書きしていきましょう。いつの間にか忘れてくれるはずです。
お悩み:以前よりも、コンビニや役所など、他人からの対応がぞんざいになった気がしています。老けたのか、第一印象が悪くなったのかといろいろ思い巡らせ、落ち込んでしまいます。(36歳・事務)
お答えします!
三浦さん:反りが合わない人はいるもの。そのお店や場所を避けましょう。
もしかしたら、世の中全員と上手くやらなきゃいけないと思っているのかもしれませんが、それは無理。反りが合わない人や場所は、避けていいんですよ。また、“老けたから…?”とおっしゃることから推測するに、歳を取ると失うものばかり、と思っているのかもしれません。でも得るものもある。ご自身の自信を取り戻しましょう。
光浦さん:これは全面的に相手が悪い。気にするだけ無駄ですよ!
歳を取れば老けますが、それと他者があなたをぞんざいに扱うかどうかは別問題。老けていようがなんだろうが、初対面で失礼な態度をとる人のほうが圧倒的に悪いんです。全世界の人からぞんざいに扱われているならあなたにも何かしら原因があるかもしれませんが、決してそうではないと思うので、まったく気にする必要ありません。
井上智介さん いのうえ・ともすけ 産業医、精神科医。産業医として毎月30社を訪問。近書に『どうしようもなく仕事が「しんどい」あなたへ ストレス社会で「考えなくていいこと」リスト』(KADOKAWA)が。
獅子さん しし マンガ家、イラストレーター。Twitterで’19年より更新を始めた、職場の人間関係を描いたマンガが反響を呼び、昨年末発売された『メンタル強め美女白川さん』(KADOKAWA)が話題に。
三浦性曉さん みうら・しょうきょう 浄土真宗僧侶。都会の駆け込み寺『寺カフェ代官山』に駐在し、人々の相談にも応じている。著書に『お坊さんが教える 不安のトリセツ』(エクスナレッジ)など。
光浦靖子さん みつうら・やすこ タレント。ラジオ『大竹まこと ゴールデンラジオ!』(文化放送)に毎週木曜出演中。最新著書『傷なめクロニクル』(講談社)では投稿悩みへの切り返しが爽快!
※『anan』2021年4月21日号より。イラスト・クラーク志織
(by anan編集部)