アルヴァ・アアルト(1898-1976)はフィンランドを代表する建築家。生涯で500以上のプロジェクトに携わり、北欧デザインのシンボルともいえる数多くのプロダクトを生み出した。その建築やデザインは、自然光や景色を取り込むためのさまざまなアイデアや、繰り返し現れる曲線のモチーフなど、常に森や湖の国、フィンランドの自然の気配をまとっているようだ。
一方、「家は住むための機械である」と言ったのはル・コルビュジエ(1887-1965)。それまでヨーロッパで一般的だった、重厚で装飾的な様式に代わって、伝統や制約に縛られない自由な建築空間を目指した。例えば、建物の外観や部屋の間取りを好きなように決めることも、コルビュジエ以降のこと。住宅の機能性が求められるようになり、加えてこれまでにないモダンな美しさも表現されるようになった。
設計からインテリア、プロダクトデザインまで、独自の境地を切り開いた2人はまた、20世紀を生きた同時代人でもある。今月、それぞれのルーツをたどる展覧会が開催されるのは、建築ファンならずとも気になるところ。2展をツアーしてみるのもおすすめだ。
「アルヴァ・アアルト もうひとつの自然」
森と湖の国で育まれた感性とは?
ヒューマニズムの観点から、人々の暮らしの質を高めるための尽きせぬアイデアを形にしたアアルト。家具、照明に始まり、ドアノブなどの建具、ガラス器までトータルにデザイン。ディテールにもクリエイティビティを発揮した。この展覧会ではオリジナルドローイング約50点をはじめ、名作プロダクト、壁面タイルなど部材サンプルを豊富に展示。映像等の資料も充実しており、美しい住宅作品の撮り下ろしも。日本では20年ぶりの個展にあたる。
「ル・コルビュジエ 絵画から建築へ-ピュリスムの時代」
無名の青年画家が世界の“ル・コルビュジエ”になるまで。
無名のスイス出身の画家ジャンヌレが、近代建築の旗手「ル・コルビュジエ」となるまでの約10年間にフォーカスした展覧会。時は1920年代のパリ。ピュリスム(純粋主義)を追求した画家時代の絵画をはじめ、交流のあったピカソ、ブラックらの美術作品を含む約100点を展示。そのほか貴重な建築模型、出版物など多彩な才能を発揮した総合芸術家としての横顔に出合える。会場は自身が本館を設計し、2016年に世界遺産に登録された国立西洋美術館。原点ともいえる作品群と自ら手がけた建築空間との共鳴にも期待。
『アルヴァ・アアルト もうひとつの自然』東京ステーションギャラリー 東京都千代田区丸の内1-9-1 2月16日(土)~4月14日(日) 10時~18時(金曜~20時。入館は閉館の30分前まで) 月曜休(4月8日は開館) 一般1200円 TEL:03・3212・2485
『ル・コルビュジエ 絵画から建築へ-ピュリスムの時代』国立西洋美術館 本館 東京都台東区上野公園7-7 2月19日(火)~5月19日(日) 9時30分~17時30分(金・土曜~20時。入館は閉館の30分前まで) 月曜、5月7日休(3月25日、4月29日、5月6日は開館) 一般1600円 TEL:03・5777・8600(ハローダイヤル)
相互割引 会場チケット売り場で当日券を購入する際、どちらの会場でも相互のチケット(半券可)の提示で100円引きに! 2つの展覧会のツアーで建築を堪能しよう。(※1枚につき1名のみ有効、他の割引との併用不可)
©Armin Linke, 2014 ©Vitra Design Museum ©FLC/ADAGP,Paris&JASPAR,TOKYO,2018 B0365
※『anan』2019年2月20日号より。文・松本あかね
(by anan編集部)
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