極貧生活に借金トラブル…大ヒット漫画家の“逆境”を乗り越える術

ライフスタイル
2018.12.05
大きな困難により人生が立ちゆかない…。そんな逆境に遭うことは、誰にだってあり得るもの。その荒波を乗り越え、むしろチャンスに変える術を、大いなる経験者である漫画家のヤマザキマリさんが伝授!
逆境力

あの大ヒット漫画『テルマエ・ロマエ』の作者であるヤマザキマリさん。さぞ漫画一筋の人生かと思いきや、そもそもは油絵の画家を志していたり、その勉強のため渡ったイタリアで極貧生活をしたり、一緒に暮らしていた詩人の借金トラブルに巻き込まれたり、シングルマザーになったりと、波瀾万丈。

「私の人生は、一般的には真似できないことばかり(笑)。その渦中にいる時は、もちろん苦労もありましたが、振り返ってみると、そんな逆境はすべて経験してよかったと思います。おかげで耐性がついて多少のことでは動じなくなりましたし、それこそ漫画家になったのも、逆境から抜け出すため、油絵以外の生きる道を模索したから。究極の状況に陥ったからこそ、うまくいかないことをずるずると続けるのはやめ、他の可能性に目を向けることができたんです」(漫画家・ヤマザキマリさん)

つまり、逆境がチャンスを掴むきっかけになったということ。

「逆境は、単なる失敗だと捉えるとそこで終わってしまいますが、苦しい中でも何かを吸収したり、状況を打破しようと行動を起こしたりすると、それが次のチャンスにつながる新芽に育つと思うんです。確かに、逆境は辛い。でも、絶対に経験したほうがいいし、何より必ず乗り越えられます。私が言うのだから、間違いありませんよ!」

逆境を乗り越える考え方のコツ!をご紹介。

コツ!その1 失敗は人生の必須アイテム!

失敗するよりも、できれば何事もなく過ごしたい、と大抵の人は思うはず。

「でも、私はむしろ、失敗はどんどんしたほうがいいと思うんです。そのぶん視野が広がるし、経験値も上がりますから。それに、甘い汁ばかり吸ってきた女の人なんて味気ない。成熟した大人の女性になるためにも、失敗を経験することは必要です」

コツ!その2 なあなあにするより意を決する。

逆境は、辛くても目をそらしてはダメ。

「つい現実逃避をしてしまいたくなるかもしれませんが、誰しもこの先どうしよう、と人生と真摯に向き合わなければいけないタイミングがくると思うんです。その好機が、逆境に陥った時。習い事でも、旅行でもいい。意を決してほんの少し勇気のいることをやると、先の人生が拓けるはず」

コツ!その3 自分に対する思い込みを捨て、一度原点に戻ってみる。

今いる環境を変えたくても、「自分にはほかにできることもないから」と、八方ふさがりに考えてしまいがち。

「そんな思い込みは捨てたほうがいい。私の母も、音楽家なのに長く会計事務所に勤めていたり、やってみないと自分に何が合うのかなんてわからないんです。可能性を狭めず、興味のあることはどんどん試して」

コツ!その4 自分自身を俯瞰したり観察したりしてみる。

「逆境の渦中で周りが見えなくなるのは、変なたとえですが、お掃除ロボットが部屋の隅で突っかかって、そこで動けなくなっているようなもの。別のほうに向ければ、自由に動き回れる。それと同じで、自分自身も俯瞰してみること。あと、20年後の自分を想定して、今の自分を観察するのもおすすめ。いい意味で他人ごとになります」

コツ!その5 行き詰まったら、自分で自分の目を覚ましてあげる。

これは、自分を癒す時に実践を。

「私のイタリア人の友人男性がやっていたことなのですが、彼女にフラれて、床に泣き崩れ、少し収まったので何をするのかと思ったら、泣きながらワインを飲んでいる自分を鏡で見ていた! もう最高じゃんって。こんなふうにかわいそうな自分を慰めてあげれば、傷が癒え、目も覚めるはず」

コツ!その6 失敗すればするほど物事が悪くなる、というのは嘘。

逆境の中にいると、失敗が失敗を呼び、状況が悪化しそうな気にもなるけど…。

「それは絶対にないので大丈夫。むしろ反対で、失敗するほどそれが経験として蓄積され、次の失敗を未然に防ぐことにつながります。大胆に行動するためのエネルギーも高まるので、あまり失敗を恐れないで。その思い込みを取り去りましょう」

ヤマザキマリさん 漫画家。代表作は『テルマエ・ロマエ』『スティーブ・ジョブズ』『プリニウス』『オリンピア・キュクロス』。『仕事にしばられない生き方』(小学館新書)などエッセイも人気。

※『anan』2018年12月12日号より。イラスト・金安 亮 取材、文・保手濱奈美

(by anan編集部)


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