社会のじかん

「一帯一路」でオシャレな人があふれてる? 中国の今!

ライフスタイル
2017.08.03
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「一帯一路」です。
堀潤

「一帯一路(One Belt,One Road)」とは、中国が目指す経済と外交圏構想のこと。今年5月に初の一帯一路サミットが開催されました。アメリカに次いで、GDP第2位となった中国。いまや中国の経済発展は、世界にとっても有益なこと。ただ、中国は陸地に囲まれ、領海がほとんどありません。ですから、一帯=中国から中央アジアを経由してヨーロッパまでの「シルクロード経済ベルト」と、一路=中国沿岸部から東南アジア、アフリカまでを網羅する「21世紀海上シルクロード」を実現させ、交易を活発にしようと主張しているのです。

僕は今年初めて北京を訪れ、その発展ぶりに驚きました。天安門広場に自転車で行き交う人民服の人々なんて光景は皆無。ポルシェやアウディといった高級外国車が走り、三里屯(サンリトン)という日本の青山のような若者に人気の街では、ユニクロやスターバックス、アップルストアなどが立ち並び、おしゃれな装いの世界中の人たちであふれていました。IT化も進んでいて、街中はなんでもスマホのQRコードで決済可能。現金決済は減少しているそうです。

堀潤

2015年に中国政府が掲げたスローガンは“大衆創業・万衆創新”。みんなで起業し、イノベーションを起こして儲けよう、というもの。共産主義国とは思えませんが、そのくらい本気で経済発展に本腰を入れてきています。

日本やアメリカは、中国と北朝鮮が隣接しているため、緊張関係にありますが、ヨーロッパ諸国は中国とは貿易相手としてとても良好な関係を築いています。また、中国は早い段階からアフリカ進出を行い、電信・通信網や港湾などインフラ開発をする代わりに資源の採掘権を得るなどしてきました。

一帯一路の関係国は約70か国。アメリカを除く大国のほぼすべてがこの経済圏に入っています。中国と距離を置いている日本ですが、6月に安倍総理は「条件が合えば、一帯一路構想に協力する」とコメント、態度を翻しました。アメリカ次第では、拒絶していたAIIB(中国主導で作られたアジアインフラ投資銀行)にも加盟するかもしれません。いずれにせよ、日本の舵取りが重要になってきています。

堀 潤 ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN

※『anan』2017年8月9日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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