フードエッセイスト・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回は『BANRAI HANTEN(バンライ ハンテン)』の台湾小皿料理です。


左から時計回りに、冷製レバニラ800円、塩レモンサワー1000円、塩レモン焼きそば1200円、クミンきのこ山700円、白ワイン1100円、パイコー1200円。

角の店が好きだ。建築家のクマタイチさんが手がける文京区水道の『バンライ ハンテン』も角の店。対角線上に立つとネオンサインが輝く姿が完璧で、彼もきっと角の店が好きなのだろう、と勝手に思う。クマさんはこれまで『SHOPPE』や『CRAZY PIZZA at SQUARE』など、神楽坂エリアを中心に、食の場を通じて地域に新たなコミュニティを構築する試みを手がけてきた。

新しい舞台は中華料理店の跡地。かつての店名「萬来飯店」を継承した4階建ての建築は、1階が台湾料理店で、2階以上はホテルとなっている。この台湾料理店、シェフは台湾出身の長家りかさんが務め、どのお皿も素通りできずにハッ……と人を惹きつける力がある。レバニラは冷製スタイルで低温調理のしっとりしたレバーのテクスチャーがたまらないし、レモン焼きそばは常識の10倍のブラックペッパーを纏い、辛味と酸味が煌めくような味わいに。この小皿たちにナチュラルワインやクラフトビールを合わせれば、この上なく楽しい気分になるし、外のベンチでお酒を飲むこともできるというのだから、夜風の気持ちいい日にはどうにかなってしまいそうだ。お店にはコーヒースタンド『stroll inn(ストロール イン)』も併設し、朝や昼はまた違った姿を見せてくれる台湾料理店。バンライ ハンテンは無限の可能性を秘めて、街の新しいシーンを作っていく。

Profile

平野紗季子

ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードエッセイスト。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)、『ショートケーキは背中から』(新潮社)など。

Information

BANRAI HANTEN

東京都文京区水道2‐19‐11‐1F 18:00~23:00(土・日・祝日12:00~14:00、16:00~22:00) 月・火曜休

写真・清水奈緒 取材、文・平野紗季子

anan 2423号(2024年11月20日発売)より

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今日は二十四節気では小暑であり七夕です。ただ、この時期は梅雨の最中ですから、この行事は本来の旧暦で行うほうが天気に恵まれやすくてよいだろうと思います。さて、今日の暦も昨日に引き続き先進性や文化性のある日ですが、新しいものを垣間見る程度にするのが吉と出ています。深入りすると現状を疎かにしてしまうからです。

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