水キムチ
食物繊維に発酵食品。韓食で便秘知らずに。
腸の健康に欠かせないものといえば、食物繊維と発酵食品。
「とりわけ水溶性食物繊維は腸内のビフィズス菌などのエサとなって、短鎖脂肪酸の生成に役立ちます。短鎖脂肪酸には、大腸のエネルギー源として蠕動運動を促したり、腸内を酸性に傾けて病原菌の活性を抑えたりする働きがあります。便のカサを増やす役割のある不溶性食物繊維とともに、野菜や果物、きのこ、海藻などから積極的に摂りたい栄養素です。また、冷たいパスタやそうめんなど、冷えた炭水化物に含まれるレジスタントスターチや、大豆やバナナなどに多いオリゴ糖も短鎖脂肪酸の生成を助けます。その上で、発酵食品によって菌を補うことが、腸内細菌の多様性を高め、便秘知らずの体を作る秘訣です」(石松さん)
食物繊維にオリゴ糖、発酵食品。それらを日常的に使うのが、韓国の料理。レシピを提案してくれた料理家のワタナベマキさんも、
「欧米を旅行する時は便秘しやすいのですが、韓国では一度も困ったことがないんです。行く度に韓国料理の腸活力を実感します」
と、太鼓判。腸にうれしい、韓国の常備菜を教えてもらった。
緑のムルキムチ
目にも涼しげな水キムチは、とうもろこしの甘みが◎。
夏野菜の王様・きゅうりに、ししとうやとうもろこしなど、食物繊維豊富な野菜をミックス。かぶは大根、りんごは梨に代えても。具材を変えて楽しめるのも、水キムチの魅力。
【材料/作りやすい分量】
きゅうり…2本、ししとう…10本、かぶ…1個、かぶの葉…1個分、とうもろこし(茹でたもの)…1本、りんご…1/4個、しょうが…1かけ、にんにく…1かけ、塩…小さじ1/2、A[米のとぎ汁…400ml、砂糖…大さじ1、塩…小さじ1/3]
【作り方】
(1)Aをすべてボウルに入れてよく混ぜる(写真1)。
(2)きゅうりは2cm幅に切る。ししとうは軸を除いて斜め半分に切る(写真2)。かぶは7~8mm厚さのくし形切りにし、かぶの葉は4cm長さに切る。とうもろこしは3cm幅の半月切りにし、りんごは2mm厚さのいちょう切りにする。しょうがとにんにくは千切りにする。
(3)きゅうりとししとう、かぶ、かぶの葉を(1)とは別のボウルに入れて塩を加え、よく揉んで全体になじませる(写真3)。20分置いてからざるにあげ、ペーパーで全体の水気を拭いてボウルに戻す。
(4)とうもろこしとりんご、しょうが、にんにくを加えてざっと混ぜる。清潔な保存容器に入れ、(1)を注ぐ(写真4)。直射日光の当たらない常温の場所にひと晩置いて発酵させ、小さな泡が出て酸の香りがしてきたら冷蔵庫へ。約2週間保存可能。
赤のムルキムチ
みょうがの香りがアクセント。肉料理の付け合わせにも。
水溶性食物繊維であるペクチンが豊富なトマトをはじめ、夏の体を養うのに欠かせないビタミン豊富な野菜がたっぷり。りんごが入ることでうまみも水溶性食物繊維量もアップ。
【材料/作りやすい分量】
ミニトマト…6個、みょうが…3個、かぶ…1個、赤パプリカ…1/2個、りんご…1/4個、しょうが…1かけ、にんにく…1かけ、塩…小さじ1/2、A[米のとぎ汁…400ml、砂糖…大さじ1、塩…小さじ1/3]
【作り方】
(1)Aをすべてボウルに入れてよく混ぜる。
(2)ミニトマトはへたを取って横半分に切り、みょうがは縦に4等分する。パプリカは2cm角に切る。かぶは7~8mm厚さのくし形切り、りんごは2mm厚さのいちょう切りにする。しょうがとにんにくは千切りにする。
(3)みょうがとかぶ、パプリカを(1)とは別のボウルに入れて塩を加え、よく揉んで全体になじませる。20分置いてからざるにあげ、ペーパーで全体の水気を拭いてボウルに戻す。
(4)ミニトマトとりんご、しょうが、にんにくを加えてざっと混ぜる。清潔な保存容器に入れ、(1)を注ぐ。直射日光の当たらない常温の場所にひと晩置いて発酵させ、小さな泡が出て酸の香りがしてきたら冷蔵庫へ。約2週間保存可能。
石松佑梨さん 管理栄養士。トップアスリートの専属管理栄養士として活動した経験を生かし、「誰もが自然と整うおいしい食事」を提案。おにぎりや味噌汁のちょい足しアレンジなど、忙しい人でも取り入れやすい栄養価アップの技を多数伝授する。
ワタナベマキさん 料理家。季節の素材にひとひねり加えた、毎日使えるレシピで人気。『キユーピー3分クッキング』など多方面で活躍中。大の韓国好きでもあり、料理家の堤人美さんと共著で『韓国ドラマの妄想ごはんレシピ帖』(主婦と生活社)を上梓。
※『anan』2023年7月12日号より。写真・宮濱祐美子 スタイリスト・白男川清美 取材、文・新田草子 撮影協力・UTUWA
(by anan編集部)