風味の違いはどこからくるのか。
チョコレートの味や香りを左右する要素は、大きく2つあるのだそう。「ひとつめは、カカオの品種と産地です。カカオは3500年以上の歴史の中で自然交配が進み、細かく分けると100以上の品種があるといわれ、それぞれに香味が異なります。また、品種が同じでも産地によって味わいに差が生まれます。そして2つめが、発酵と焙煎。カカオ豆を果肉ごと発酵させ、その後乾燥させた豆をローストすることでチョコレートならではの味や香りが生まれます。カカオの個性を見極め、それに合わせた発酵時間や焙煎方法を用いて加工することで、風味やおいしさを際立たせることができるのです」
【代表的なカカオの品種】
クリオロ:カカオの原種といわれる。苦味や渋味が少なくマイルドで特徴的な風味。病害に弱く、全生産量の0.5%以下と希少かつ高価格。
フォラステロ:カカオらしい苦味や渋味などが特徴。栽培用の品種として世界のカカオ生産量の9割近くを占めるため、比較的安価で広く流通する。
香りや味わいをグラフにしてみよう。
テイスティングしたチョコレートの味や香りの個性を記録してチャート化すると、品種や含有量による違いなど、自分がおいしいと感じる香味の法則を体系的に把握することができる。「舌で感じる味わい4項目と、鼻に抜ける香り3項目をチャート化することで、それぞれの個性が際立ち、より深くチョコレートを楽しめるようになるはず。『THE Chocolate Tasting Note』など、チャートを一元管理できるアプリもあるので、ぜひ活用してみてください」
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【テイスティング例】
同じ豆を使ったチョコレートも、ミルクやカカオの含有率が異なるだけでチャートに違いが出てくる。そのため、全体的な香味の印象を見極める際は、チャートのどの項目に偏りがあるかをチェックするのがおすすめ。甘味やミルク感、花香や果実香の数値が高い場合は華やかで軽い香りのミルク系チョコレート、逆にビター感や酸味、ナッツ香の数値が高い場合だと香ばしくて重厚感があるビター系チョコレートになる。
藤原成一さん 明治 カカオ開発部。1996年の入社以来、チョコレート開発に携わる。プライベートでもチョコレートのアレンジレシピやペアリングの探求に余念がない、根っからのチョコレート愛好家。
※『anan』2020年1月22日号より。取材、文・宮尾仁美
(by anan編集部)