――「タンパク質」と聞くと、筋肉をつくるイメージがありますが、ほかにどんな働きがありますか?
篠原さん:まず、目で見えている部分はすべてタンパク質でできていると思ってください。筋肉、肌、髪、爪。そして、体内にある臓器や、ホルモン、体づくりに必要なエネルギーのもとになるのも、タンパク質です。
――タンパク質なくして、体は成り立たないのですね。
篠原さん:そのとおりです。摂取したタンパク質はアミノ酸に分解・吸収され、一度肝臓に貯蔵されます。そこから必要となる場所へ送られて、材料となるので、不足すると、さまざまな不調につながりやすい。肌荒れや薄毛、二枚爪。女性に多い貧血もタンパク質不足が原因ということも。タンパク質は血管をつくる材料でもあるので、血管がもろくなったり、筋肉量が低下して血流がダウン。むくみといった症状にもつながります。
――不調のオンパレード…。
篠原さん:免疫物質をつくる働きもあるので、不足すると風邪をひきやすくなったり、疲れやすくなったりすることもあります。すぐに症状に現れないものが多いので、「タンパク質不足かも?」と気づきにくいんですよね。
――たしかに、タンパク質が足りないなんて考えたこともなかった! 1日に必要な摂取量は?
篠原さん:体重1kgにつき0.8~1gといわれるので女性だとだいたい50~60g。もっと摂ってもいいくらいです。
――普段の食事では足りない?
篠原さん:外食などで炭水化物に偏ると、どうしても不足しがち。ご飯やパスタなどの主食に、肉・魚・卵・鶏肉などの主菜を手のひらにのるくらい、そして大豆製品をプラスした食事を、三食きちんと食べていれば足りると思います。忙しくて食事をちゃんと摂れなかった日は、豆乳ドリンクなどで補うといいですね。
――主菜をきちんと食べることがポイントになりそうですね。上手な選び方はありますか。
篠原さん:ビタミンB6が含まれていると、タンパク質の分解・吸収を助けてくれます。鶏肉や緑黄色野菜、カツオ、マグロなんかがおすすめです。
――美しく痩せるためにも、タンパク質が注目されていますね。
篠原さん:ダイエット中に陥りやすい栄養不足による肌荒れなどを防いでくれるのです。ただし、糖質(エネルギー)が不足するとタンパク質はエネルギー源に使われてしまいます。バランスよく食べて、タンパク質は体づくりのほうに使ってほしいですね。
肉、卵、魚、大豆製品など、バランスよく摂りたいタンパク質。毎食コツコツ摂って、1日の摂取量をクリアしよう。続いて、オススメレシピをご紹介!
焼き鳥(ねぎま)
摂取できるタンパク質の量:15.4g(もも肉〈皮なし〉2本分70g)
鶏肉はタンパク質が豊富。焼き鳥で手軽に補給を。
手に入りやすいもも肉の焼き鳥なら、手軽にタンパク質を補給できる。ムネ肉・ササミがあれば、脂質が少ない分ベター。
高野豆腐煮
摂取できるタンパク質の量:10.1g(高野豆腐〈乾燥〉20g)
タンパク質がパワーUP、アミノ酸も豊富な一品。
高野豆腐のタンパク質は、食物繊維に似た働きをして、血中の悪玉コレステロール値を減少させるほか、中性脂肪の上昇を抑制する。
たらちり
摂取できるタンパク質の量:15.8g(まだら90g)
クセのない白身魚はたっぷりの野菜と合う。
白身魚にはタンパク質が豊富に含まれている。クセがないので野菜と組み合わせて鍋にすればビタミンB6も摂ることができる。
しのはら・えりか 管理栄養士。野菜ソムリエ、睡眠改善インストラクターの資格も持つ。今回は栄養素別おすすめ料理の監修にも参加。
※『anan』2018年10月31日号より。写真・小川朋央 イラスト・藤田 翔 料理作製、監修・篠原絵里佳 取材、文・神武春菜
(by anan編集部)
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