
大ヒットアニメ『超かぐや姫!』を手掛けたスタッフにインタビュー! 脚本を担当した夏生さえりさん、楽曲提供を行ったryo(supercell)さんにお話を伺いました。
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脚本・夏生さえり
共同脚本にしてチームで作業と情熱を共有
声をかけていただいたきっかけは、私が脚本を担当した映画『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』を山下監督が観てくださったことです。私はアニメにもVTuberやボカロ的な文脈にも疎いので不安だったんですが、「アニメ文化にどっぷり浸かっている人じゃない目線でお話を作ってほしい」と仰っていただいて心強かったです。それにガール・ミーツ・ガールもので古典の竹取物語をアップデートしたいという話に惹かれましたし、あの悲しい結末を塗り替えるって面白そうだなと。ただ引き受けた時点で設定集や展開のアイデア、キャラクター案が大量に用意されていて。読んでも読んでも全然わからなかったんですが、山下監督の中に描きたいものや要素、やりたい展開がしっかりあって、原案のフジヤマルリさんとのチームワークも抜群。熱量があってキャラクターを愛していたのでやりやすかったです。まずお二人にヒアリングをして、根幹の「2人の女の子が運命のその先に行く話」という部分を整理して、3幕構成にしました。
私は常に「共同脚本をやりたい」という意思がありまして、今までの仕事も基本的に共同脚本です。みんなのアイデアを入れると一人では行き着かないところまで行けますし、自分が書いたものなのか、誰のアイデアなのか、輪郭がぼやっとするくらいが理想。みんなで同じ熱量を脚本に注ぐのが本当に楽しいんですよ。なのでGoogleドキュメントを私と監督とフジヤマさんの3人で共有しました。私が思いついた流れをワーッと書いておくと誰かが次に書き足して、機能してない箇所は書き換えて、コメント機能がラリーのようになる。なのでネットミームも誰がどれを入れたかわからない。そうやって仕上げた脚本はコンテ作業に入る段階で私の手を離れるので、“遺言”という形で脚本構成上、大事にしてほしいポイントにコメントをたくさん入れてお渡ししました。完成した作品を観たら「ああ、頭の片隅に置いてくれたんだろうな」という遺言の影が見えて嬉しかったです。
Profile
夏生さえり
なつお・さえり ライター出身の脚本家。作家としても活動。主な作品に映画『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』。
楽曲提供・ryo(supercell)
何度も脚本を読み直し新曲を練り上げました
ツインエンジン代表の山本幸治さんがフジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」のプロデューサーだった頃、「いつかアニメを作ったときにはぜひ音楽を」と頼まれたことがあって、いよいよそのときが来たので召喚された形です。彼がいなかったらEGOIST(アニメ『ギルティクラウン』から誕生したryoプロデュースの架空アーティスト)もいなかったし、恩返しの気持ちで。
最初に制作チームからシーンの説明があって、こんな場面でかかるのでそれに合った感じでお願いしますってことでいったんリミックスを作成したんですね。で、長さ調整があったのでイントロを作ったりとかした後に制作側でいろいろあったと思うんですが、結局そのシーンはなくなって、最終的に作ったリミックスを再度リミックスする感じで作り直したのが今のリミックスですね。新曲の「Ex-Otogibanashi」は制作初期から場面ありきで作りました。脚本をまず20回くらい読み込み、なんとなくピアノを弾きながら歌って、スマホに録音して…を何度も何度も繰り返してメロディと歌詞を練り上げました。確かまだ声優さんも決まっていない頃だったので、どんな人が歌うんだろうと想像しながら作ったのを覚えています。
劇中では彩葉やかぐやは配信者として活動していますよね。自分もニコニコ動画をベースに活動してきていたので、わかるところもありました。あんなに急激に成長できてはいないですけど(笑)。自分のときは「メルト」という曲を初音ミクで制作して投稿したらいきなり人気になり、その2週間後にはCDを自作してコミケで30分で完売し、あれよあれよという間にメジャーデビューまでしてしまった。かぐやを見ていて、その急激に自分が変わっていく感覚に覚えがあるなと感じました。あれから18年経って、昔を振り返る暇もなく走り続けているので、本当に成長できてるのかなと今思いました(笑)。続編を期待しています!
Profile
ryo
リョウ クリエイター集団supercellのコンポーザー。初音ミクを用いた楽曲を多く制作。2007年「メルト」、’08年「ワールドイズマイン」をリリース。
anan 2495号(2026年5月13日発売)より

























