BTS、約7年半ぶりの完全体⽇本公演で⾒せた圧倒的な“ver.2.0”と、変わらぬ7⼈の親しみやすさ

(P)&(C)BIGHIT MUSIC

4⽉9⽇に韓国・⾼陽の総合運動場メインスタジアムで開幕し、北⽶、ヨーロッパ、南⽶、アジアなど計34都市で85公演を予定する、BTS史上最⼤規模のワールドツアー「BTS WORLD TOUR 'ARIRANG'」が、韓国に続く地として4⽉17⽇・18⽇の2⽇間、東京ドームで公演が開催された。2⽇間で11万⼈を動員、さらに全国346館の映画館でライブビューイングが⾏われた本公演。BTSの来⽇公演としては、2019年7⽉に開催された「BTS WORLD TOUR ʻLOVE YOURSELF : SPEAK YOURSELFʼ ‒ JAPAN EDITION」以来、実に約7年ぶり。東京ドームへの帰還は7年5か⽉ぶりだ。待ち続けたこの⻑い歳⽉の中で募ったARMY(ファンの呼称)からBTSへ、そしてBTSからARMYへの思いの交換が爆発したメモリアルな2夜のうち、4⽉17⽇の模様をレポートします。

Index

    アルバム『ARIRANG』の世界観を体現する360度ステージ公演

    今回のツアーは、BTSにとっても初めての挑戦となる360度ステージで展開されることが事前に告知されていたため、東京ドームという空間を360度駆使しながらどんなパフォーマンスが展開されるのかに期待が⾼まる中、会場に設置されたのは、上部に四⽅計12⾯の巨⼤LEDが設置され、4本の花道が延びる巨⼤なステージセット。開演前、LEDには松や蝶などが描かれる中にメンバーのシルエットが混ざり込む⽔墨画⾵の映像が映され、BGMとして韓国伝統⾳楽が流れる会場は、これまでのBTS公演とは趣を異にする。

    RM (P)&(C)BIGHIT MUSIC

    Jin (P)&(C)BIGHIT MUSIC

    SUGA (P)&(C)BIGHIT MUSIC

    j-hope (P)&(C)BIGHIT MUSIC

    Jimin (P)&(C)BIGHIT MUSIC

    V (P)&(C)BIGHIT MUSIC

    JungKook (P)&(C)BIGHIT MUSIC

    1/1

    洗練された舞台演出とヒップホップナンバーで冒頭から圧倒

    開演時間が近づくと待ちきれない会場のそこここから⼤きな歓声が上がり、今か今かとペンライトが揺れる中、会場にアルバム『ARIRANG』のロゴが⼊った⼤きなフラッグを持ったダンサーが登場。ステージ中央で⼤きく旗を振ると、LED の⽔墨画に⽕がつき、その背後の『ARIRANG』ロゴが炙り出される。と同時に、ステージで⿊ずくめの⼤勢のダンサーが四⽅⼋⽅に歩き回る中に紛れてオンステージしたメンバーの姿を、1人ずつカメラがとらえていくと、早速会場からは⼤歓声が上がる。

    ブラックの⾐装の7⼈の姿が揃ったところで、刃がぶつかり合う⾳が会場をつんざいて「Hooligan」がスタート! ステージ外縁からも上部からもとめどなく炎が噴き出し、ペンライトで真っ⾚に染まる空間で、RM、SUGA、j-hopeのソリッドなラップとJin、Jimin、V、Jung Kookの流麗なボーカルのコントラストが、この上ない攻撃性とエレガンスを描く。早速SUGA が「⼀緒に!」とすでにボルテージ最⾼潮の客席を煽ると、照明がグリーンに変わる中、そのSUGAから「Aliens」へ。

    円形にせり上がったステージを歩きながら淡々と、それでいてさっきよりも熱量を上げたパフォーマンスで会場をさらに盛り上げる。間髪⼊れずにヘヴィなベースラインが聞こえてくると、CO2が勢いよく吹き上がりながら「東京⾶べ!」のアジテートとともに「Run BTS」へ。グループ活動休⽌前にリリースされ、この⽇、⽇本初お披露⽬となった待望の楽曲に会場も東京ドームの天井をぶち抜かんばかりの熱量で掛け声を繰り出す。ドローンカメラを⼿掴みしてステージ上からセルフカメラで客席を盛り上げたJung Kookが、その後もかなり⾼さがあるステージ縁まで⾝を乗り出して客席を煽り、ステージの7⼈も客席も互いのテンションを吊り上げていきながらこの⽇最初のクライマックスを迎えたのだった。

    熱狂冷めやらない中、⼝元に⼈差し指を置き静寂を求めたRMからの「東京、叫べー!」の声に全⼒で会場が返す。「お久しぶりです皆さん、ご挨拶します」(RM)の掛け声から全員で挨拶。

    「久しぶりですねー!」(Jimin)、「ひーさーすぃーぶーりー! 8年ぶりに東京ドームに帰ってきましたね。本当に会いたかったです」とJung Kookが笑顔で語りかける。「本当にたくさんのARMYが来てくれましたよね」(V)、「僕も会いたかったです。久しぶりに新しいツアーをスタートするので、本当にワクワクしますよね? ⼀⽣懸命準備したぶん、頑張りますっ!」(Jimin)、「今回のアリランツアーでは新しい挑戦をしてみました。少し慣れなくても、最後まで楽しんでくれたら嬉しいです」(SUGA)、「ARMYの皆さんも楽しんでくれますよね? 全⼒で遊べるARMY! Make some noise!」(Jin)、「じゃあ、ここからもっと遊びましょうか? 後悔しないように公演を楽しんでいきましょう」(j-hope)1人ずつ挨拶するMCに続くセクションは先ほどまでと雰囲気を⼀変。

    シリアスなムードで届けられたのは「they donʼt know ʼbout us」。韓国の伝統的な仮⾯、⽬、⼝、⿊い⼈影やカメラフラッシュを次々と映すタブレットを持ったダンサーの群れとメンバーが交錯する抽象的な演出で会場を楽曲の世界観に引きずり込むと、続く「Like Animals」を真っ⾚な照明の中、オルタナロックサウンドに丁寧に声を乗せながらドラマティックに歌い上げる。炎が吹き上がる中、Jinが天を仰ぎながらヴォーカルを乗せて締めくくると、シームレスに「FAKE LOVE」へと繋ぐ。

    「みんな⼀緒に!」(Jimin)とサビの掛け声を誘い、「2階、3階も」(RM)とさらにシンガロングを煽る。メンバーがしきりに「⼀緒に!」と客席に呼びかけながら盛り上げ、ロックアレンジで会場を再沸騰させると、会場のLEDはステージを俯瞰した映像に切り替わる。6枚の⽩い布がステージ中央に集まるメンバーを囲み、まるで⽩い波間から7⼈が頭を出すような姿から「SWIM」へ。

    ステージがせり上がり姿が⾒えるようになった7⼈は、正⾯を変えながら、⽔底のようなひんやりとした空間の中、ゆっくりと泳ぎ、潜るようにダンスパフォーマンス。Jung Kookの美しいファルセットとともに「Merry Go Round」に続くと、時計まわりに回るステージを逆まわりに歩きながら、降りることのできない⽇常を歌う楽曲を表現し、ラストはリフレインするアウトロととともにふたたびメンバーが布に隠されながらステージを後にする。そのドラマティックな演出には、会場からは拍⼿が湧き起こった。

    BTSならではのエネルギッシュなパフォーマンスも健在

    (P)&(C)BIGHIT MUSIC

    ステージ上で⾚と⻘のマントをかぶったダンサーが、韓国国旗の太極旗のように隊列を組むとその中からカジュアルな⾐装に着替えたメンバー7⼈が姿を現し、インダストリアルなサウンドとともに「2.0」へ。会場から“do do do do do”のフレーズで合唱が届けられる中、全⽅位に向けてダンスパフォーマンス。「NORMAL」ではドームが⻩⾊に染まる中、「みんな⼿を挙げてください!」(RM)の声とともに7⼈⼿を上下に振りつつ、「もう1回!」と⼝々に投げかけながら客席と⼀緒にゆったりと歌い上げた。

    「ARMY今⽇本当にすごいです。雰囲気が本当にいいですよね?」(j-hope)、「このあとも今みたいに楽しんでくれたら、もっと完璧な公演になると思います」(Jung Kook)、「Jiminさん!」(V)、「はい! Jiminですっ!」(Jimin)、「こっちに来い!」(V)、「Jiminさん、ARMYさんに、次のステージがもっと楽しめる⽅法を教えてあげてください」(V)、「わかりました。僕たちが⼿を上げて」(Jimin)、「皆さんも⼿を上げてください」(V)、「僕たちが歌ったら」(Jimin)、「皆さんも⼀緒に歌ってくださ〜い」(V)、「できるよね?」(Jimin)、「できるよね!」(V)と、半ば漫才のようなVとJiminの⽇本語の掛け合いで盛り上げると、その熱のまま「Not Today」へ。

    楽曲を再解釈した⼤胆なアレンジにもかかわらず、客席からは“NOT TODAY”の⼤きな掛け声が炸裂。j-hopeが踵をこすりつけてスタートした「MIC Drop」では、広いステージでいつもよりも移動距離を⼤きくとりながらフルダンスパフォーマンス。最後にSUGA がマイクを落とすお決まりのパフォーマンスでフィニッシュかと思いきや、ニヤリとしながらマイクを持ったままのSUGAから、ステージ床のカメラを治安悪くのぞき込むメンバーの映像に切り替わり、「皆さん、ジャンプの時間です」(RM)と「FYA」へ。7⼈も会場もアクセル全開で跳びはね⾛りまわりながら、花道先の客席と近い位置で暴れ狂うと、そのまま「Burning Up (FIRE)」とのマッシュアップでボルテージは頂点突破。これでもかと乱れ打たれる炎の熱さを優に超える温度で会場が燃え上がったのだった。

    「Jiminさん! お⽔タイムです! Jimin!」(RM)と熱演でエネルギーを使い果たしてへたり込むJiminに、RMがリーダーらしく声を掛ける⼀幕もありつつ、「今⽇はARMYのエネルギーがすごいですねー! 本当最⾼ですARMY!」(Jin)、「最後までこのまま楽しんでください。もっと歌いながら、⼿を上げながらみんなで⼀緒に盛り上がって楽しんでください。SUGAさん!」(RM)、「はいっ!」(SUGA)、「ここでこの熱気を⽌めちゃうのはもったいないですよね?」(RM)、「はい! 次のステージ、すぐ⾏きましょう Letʻs go!」(SUGA)と、息つく暇もなく「I need the whole “city” to jump」と歌詞を替えた「Body to Body」で会場と⼤合唱を巻き起こすと、「僕たちが皆さんのところに⾏きます!」(RM)と「IDOL」とともにステージからアリーナレベルに下りて会場を⼀周し、客席とシンガロングしながら、近い距離で熱狂を分かち合ったのだった。

    ツアーグッズを⾝につけたラフな格好で再びオンステージした7⼈は、SUGAがプロデュースに参加し、RMからの「どんな曲ですか?」という質問に「僕の曲でーす!」とSUGAらしく簡潔に説明した、ファンへの思いを込めた新曲「Come Over」(『ARIRANG』Deluxe Vinyl収録)を披露すると、「皆さんの隣の家の⽝のポチでも知っているあの曲!」(RM)、「じゃあ、始めましょうか皆さん!」(Jung Kook)と「Butter」そして「Dynamite」と⼤ヒットナンバーを連続ドロップ。「Butter」のラストはRMの「Letʼgo×4」の掛け声でお馴染みのダンスで会場のボルテージを1段上げると、「Dynamite」のエンディングではMVさながら、Jiminのステップに合わせて会場に虹⾊の紙吹雪が打ち上がり、東京ドームを隅々まで多幸感で包んだのだった。

    ARMYと7⼈が気持ちを通わせる⽇本公演ならではの時間

    (P)&(C)BIGHIT MUSIC

    「ARMYと⼀緒に歌うと本当に楽しいですよね」(j-hope)、「皆さん本当に歌が上⼿ですね」(V)、「僕はもっとARMYの歌が聴きたいですよ。⼀緒に歌いたい歌はありますか?」(Jimin)、「僕たちも本当に次に何の曲が来るか知らないです。楽しみですね」(SUGA)と話すと、「ARMYも⼀緒に歌ってくださいね、ミュージック、キュー!」(RM)の合図で流れたのは、「Save ME」そして、⽇本オリジナル曲「Crystal Snow」。いずれも久しぶりに披露する楽曲だが、随所で繰り出す懐かしのダンスパフォーマンスや⽇本語詞の歌声に会場は幾度となく沸きながら、⽇本公演ならではのステージにメンバーも笑顔を浮かべながら、特別な時間を過ごす。

    「僕たちが⽇本でグループで公演したのは、ほぼ7年ぶりです。考えてみたら時間があっという間に過ぎました。久しぶりに東京ドームに来て、皆さんと楽しみながら公演をしたら、昔に戻ったような気持ちになりました。これからもっと頻繁に来たいと思いますので、これからも⼀緒に楽しみましょう」(SUGA)

    「チンチャ、会いたかったよ。本当に来たかったんですけど忙しくて(笑)、ようやく来れました。申し訳ない気持ちもあるし、待っていただいてありがたいし、たくさん話したいこともあります。いつも皆さんには変わらない歓声と変わらない笑顔で迎えていただいて、⼒をもらったような、報われたような気がして。ステージの途中で皆さんにつられて笑みがこぼれてしまいました。今⽇はむしろ皆さんから⼒をいただいた気がして、感謝しています。1⽇でももっと多く皆さんに会えるようにできる限り来たいと約束します(⼩指を⽴てる)」(Jung Kook)

    「(カメラに向かって特⼤の投げキッスをして)ライブ中にこの時間をすごく待っていました。皆さんに僕の愛を込めた投げキッスをお届けするまさにこの時間です。いかがでしたか? 皆さんにこうやって投げキスをお届けできるなんて本当に最⾼な時間だなと思います。アイラービュー!」(Jin)

    「東京ドーム、もう8年ぶりですよね。⽇本で“防弾少年団”としてデビューして、東京にも本当にたくさん来ました。でも考えてみたら⼀回も旅⾏はしたことがなくて、コロナ以降、プライベートで東京に来るようになりました。その時、ただ街を歩きながら皆さんのことをたくさん考えました。皆さんはこういう景⾊を⾒ながら暮らしているんだなって、そんな話を今⽇はただしたかったんです。こうしてまた来ることができて本当に嬉しいですし、光栄ですし、幸せです。今まで待っていてくれて本当にありがとうございます。⽇本の、そして東京のARMYの皆さん、⼼から本当に、愛しています」(RM)

    「僕たちは友達だからタメ⼝で話すね! 昨⽇、ラーメン⾷べて、和⽜⾷べた。もし⽇本でこのお店絶対⾏った⽅がいいよとか、このジャズパブめちゃ楽しいよっていう場所があったら、僕にメッセージ送って? 次は僕がそのお店の常連になると思う。それから、僕、⽇本⼤好きだから、ドラマを⾒ながら⽇本語の勉強をしたんだけど、新しいドラマを探してまた勉強してくるね。そしてあの…断ってください。ARMY、僕と付き合って? …断ってくださ〜い」(V)

    「皆さん、会いたかったですよ。でも問題があります。僕、軍隊に⾏ったら⽇本語全部忘れました。だから、僕が昨⽇夜中に⼿紙をグチャグチャしました(書きました)。愛しているARMYの皆さん。皆さんJiminです。久しぶりに皆様に会えてとても嬉しいです。久しぶりに⾒る皆様は相変わらず美しいです。本当ですよ? 8年ぶりに東京ドームに再び来ることができましたのも、皆さんのおかげです。本当に⼼から感謝します。これからはより多く、より素晴らしい舞台をもっとたびたび皆様にお⾒せできるよう努めてまいります。ふふふ。皆さんに会えて嬉しかったですよ。僕も⼼から愛していますよ…(Vが⽿打ちをして)付き合って(笑)」(Jimin)

    「僕は今⽇は韓国語で。(⽚⼿を顔の前に出して)ごめん! ちょっと重い話かもしれませんが、今⽇の気持ちを表現したくてお話しします。⽇本に来てすぐ、実は⼦供のころから育ててくれた⺟⽅の祖⺟が亡くなったという知らせがありました。すごく動揺したんですけど、メンバーとごはんを⾷べたり、リハーサルをしながら⼼の揺れを落ち着かせたような気がします。⽇頃から祖⺟が僕だけでなくメンバーのことを誇らしく思っていてくれたので、今⽇の公演を空から⾒てくれていたら、すごく喜んでくれていると思います。その意味を皆さんがもっと素敵なものにしてくれて、本当にARMYの皆さんに感謝しています。本当に本当に、めちゃ⼤好きです。またね!」(j-hope)

    約7年半年ぶりに再会し、ここまで時間を⼀緒に過ごした会場のARMYにメンバー1⼈ずつ、7年越しの思いと感謝を伝えると、最後は「Please」「Into the Sun」をやわらかく会場の隅々にまで歌い届け、太陽が降りそそぐようなあたたかさで東京ドームを包み込んだのだった。

    この⽇の彼らの圧倒的なパフォーマンスとその合間に⾒せる飾らない姿は、約7年半という時間を忘れさせるくらいに、⼼と時間の距離を昇華してくれた。ツアーはすでに詳細が発表されている公演に加えて、⽇本での公演が追加されることが発表されている。ここから多くの都市を回り、⾃⾝のツアー規模を更新したあとに、また姿を⾒せてくれるであろう7⼈と再び⾳楽を分かち合う時間を待ちたいと思う。

    Profile

    BTS

    2013年に韓国でデビュー。RM、Jin、SUGA、j-hope、Jimin、V、Jung Kookからなる7⼈組。3⽉にThe 5th Album ʻARIRANGʼをリリース。現在、世界34都市、85公演を回る、ワールドツアー「BTS WORLD TOUR 'ARIRANG'」を開催中。

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    取材、⽂・中村萌

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