意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「SNS履歴を提出、米入国条件厳格化」です。
安全保障を理由に水際対策をより厳く規制
昨年12月、アメリカ政府は、これまでビザが不要だった外国人観光客が入国する際の条件として、最大過去5年間のSNS利用情報の提出を義務づける規制案を公表しました。
日本人がアメリカに入国する際、これまでは40ドルの「電子渡航認証システム(ESTA)」を申請すれば、ビザは免除され1回につき最大90日間連続で滞在可能。2年以内ならば何度も渡航できました。規制案の詳細はまだわかりませんが、SNSの情報の他に、過去5年間に使った電話番号や過去10年間に使ったメールアドレス、家族の氏名や生年月日、家族が過去5年間に使った電話番号、顔や指紋などの生体認証を求められる可能性があります。
アメリカはもともと入国が厳しい国で、ESTAを使えない国の方が圧倒的に多くありました。ただ、この規制案の対象は日本や欧州諸国など、アメリカと同盟関係にある国も含まれます。今後は気軽にアメリカに行くということが難しくなってしまいそうです。
トランプ大統領は第1次政権時にはメキシコとの国境に壁を作り、移民対策を行いました。昨年再び大統領に返り咲き、国会安全保障を理由に、国境をより厳しく管理すると宣言。本案はその具体策の一つです。
昨年6月には、学生ビザや熟練労働者向けのビザ申請で、SNSのアカウントを調べると発表していました。ただ、観光客にここまで規制するのは厳しすぎるようにも感じます。しかし、観光客を装って入国し、国内にとどまるケースは多いため「安全のために必要な措置」と大統領は語っています。
今年の6~7月にはアメリカ、カナダ、メキシコが共同開催するサッカーのワールドカップが、2028年にはロサンゼルスでオリンピックが開催されます。アナリストたちは観光客の減少や混乱を懸念しています。
また、アメリカへの入国を禁止・制限する対象を19か国から39の国と地域に拡大する大統領令が1月1日に発効されました。これらの制限や規制案は、戦争やテロ、民主主義の後退の影響を市民レベルで実感する事象だと思います。再び自由に行き来できる、平和で安定した世界になるとよいのですが。
五月女ケイ子解読員から一言

ネットで世界とは繋がれるけど、移動は困難になり、生身の人間にますます希少価値が生まれそうです。SNSをチェックされるとなると、家族揃いのパジャマでB’zを踊りまくる画像もチェックされるのかな。いきすぎた投稿の抑止力にはなりそうですね。
解説員
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堀 潤
ほり・じゅん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『堀潤 Live Junction』(TOKYO MX月~金曜20:00~21:00)が放送中。新刊『災害とデマ』(集英社)が発売中。
解読員
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五月女ケイ子
そおとめ・けいこ イラストレーター。楽しいグッズが買える、五月女百貨店が好評。細川徹との共著、ゆるくておバカな昔ばなし『桃太郎、エステへ行く』(東京ニュース通信社)が発売中。
anan 2480号(2026年1月21日発売)より





















