
池田エライザさん
未来からやってきた転校生と恋に落ちる甘酸っぱい青春物語かと思いきや、過去と未来が錯綜し、ストーリーが思わぬ方へとねじれていくタイムリープ×青春ミステリ映画『リライト』。法条遥の小説を原作にした今作で主人公・美雪を演じたのが池田エライザさん。
もっと自分に優しく、もっと心を開いていたい。
時間のパラドックスを軸に高校生と10年後、2つの年齢を演じ分ける。そこには相当な苦労があったのではと想像するが、
「難しく考えすぎず、ただ、素直に役を楽しもうと思いました。そして、美雪と同じように“何がどうなってるの?”という気持ちで物語に翻弄されていくことにしたんです」
冷静で感情の起伏があまりない美雪という役柄は、池田さんにとって挑戦でもあったそう。
「普段は感情が入り乱れたり、大泣きしたり、爆発力のある役が多いんです。でも、美雪はそういう面がひとつもない。クラスメイトに感情をぶつけられても、“美雪は応戦しないぞ”と、気持ちを抑えていました」
ストーリーの鍵を握るクラスメイト・友恵を演じた橋本愛さんとは、意外にもこの作品で初共演。
「ティーンの頃からお互いのことは知っていて、どこかで会うだろうと思っていましたが、初共演がこの作品でよかったですね。親友でもなく、ちょっと距離がある関係性で。緊張感のある場面ではちゃんとヒリヒリさせてくれる愛ちゃんとのお芝居は、すごく心地が良かったです」
未来からやってきた転校生役の阿達慶さんの印象も教えてもらった。
「撮影前は、未来人ってどんな感じだろう? と思っていましたが、約10歳年下の阿達さんは私からしたら完璧な未来人でした(笑)。見てきたテレビ番組も違うし、遊び方も違う。『え、これ知らない?』とか、日常会話でもそんな感じで。だから、役の中にすっと入り込めました」
作品の中では、10年後の自分に未来を告げられる場面がある。では、池田さんが10年前の自分に会えたら、どんな言葉をかけるのだろう?
「19歳だから、上京して間もない頃ですね。当時は映像の仕事を始めたばかりで、自分の気持ちをストレートに伝えて、よく監督さんとぶつかっていました(笑)。今思えば未熟な部分もあったけど、そういう経験を経て、学ぶことも多かった。だから、そのままでいいよと伝えてあげたいかな。あ、上京する時はもうちょっとお金を持ってきた方がいいよって教えてあげたい!(笑)」
でも、当時は“少ないお金でも大丈夫。1年以内に必ず売れるから”、という自信があったのだと振り返る。
「事務所の方に『私にはこういう可能性があります。だから、こういう仕事がしたいです』って明確に伝えていたんです。そのおかげで自分の進みたい方へ行けたのかも」
その言葉通り、俳優、歌手、映画監督などやりたいことを実現してきた。では、10年後の目指す姿は?
「ストイックな部分を手放して、自分のことをもっとかわいがってあげたいですね。あとはギャルマインドを手に入れたい。ギャルってかっこいいじゃないですか。自分の気持ちを潔く吐露してて、知らないものにも『ウケる~!』と言いながら興味を持つ。その方が人生、もっとおもしろくなりそうだなって思います」
目を輝かせて、いろんなものに心を開いていたいと話す池田さん。これまでどんなことも有言実行してきた彼女。未来がますます楽しみだ。
Profile
池田エライザさん
いけだ・えらいざ 1996年生まれ、福岡県出身。ニコラ専属モデルで芸能界デビューし、2011年に俳優デビュー。近作にドラマ『海に眠るダイヤモンド』『舟を編む』など多数。また映画監督や、ELAIZA名義での音楽活動も。
『リライト』
Information

未来人と恋に落ちた美雪(池田エライザ)。小説を書くことで時間のループを完成させる約束をするが、異変が起き、真実が揺らぎだす。監督/松居大悟 出演/池田エライザ、阿達慶、橋本愛ほか 6月13日より全国公開。Ⓒ2025『リライト』製作委員会
写真・小濵龍平 スタイリスト・髙橋美咲(Sadalsuud) ヘア&メイク・ken nagasaka インタビュー、文・浦本真梨子
anan 2449号(2025年6月4日発売)より