7月25日に自身初となる日本武道館公演を開催する話題のアーティストのimaseさん。国内外で支持されるポップ・ミュージックを生み出す彼は、チャーミングな人柄も魅力です。


昨年5月にアルバム『凡才』をリリースしてから、この一年で配信シングルが10作というハイペースなリリース状況だったimaseさん。ドラマ主題歌やCMソングなどタイアップの依頼がひっきりなしだが、いつも新鮮な曲調とアプローチでimase流のポップソングを届け続けている。

――ここ1年、かなりお忙しかったんじゃないですか?

ありがたいことに、タイアップのお話をいただいてその度に制作をしてリリースしているので、そんなにハイペースに出しているということにも気づかなかったですね(笑)。タイアップ曲の制作前に「好きに作っていただいて大丈夫ですよ」と言っていただくことも多くて。曲のジャンルや大まかなテンポ、雰囲気などのオーダーがあることもありますが、自分でジャンルを決めたり、これまで作ってきた曲とは違うテイストで出せるものもあるので作りやすいです。「Dried Flower」ではMVで金髪にしたのですが、曲ごとにMVの雰囲気もコミカルなものからシリアスなものまで、いろんな見せ方ができる。ソロでこういうキャラクターでやっているおかげでいろんなジャンルの音楽やMVが制作できるのはありがたいことだなと思います。

――青春ソングから大人がホッと癒される曲、ヒリヒリとしたシリアスな世界観を持つ曲まで、imaseさんの目線はさまざまな心境を持つ曲の主人公になりきっているように感じます。他者への目線というのは制作時にどう意識されていますか。

僕は曲を作るときに主人公に入り込んで作っているというよりは、淡々と、良くも悪くも俯瞰しているんだと思うんです。それが作品に合っているのか、曲として成立しているのかといった、トライアンドエラーを俯瞰しながら作っていく。例えば「このドラマに合うのはこの曲調だ!」なんて決めつけて進めていくと、それがどこかズレていたとしてもきっと気づかない。そういう意味では淡々とフラットな姿勢で曲作りをしていくことで、ちょうどいいバランスになったりするのかなと思います。

――デビュー前に楽曲を投稿し始めた頃は岐阜のご実家で、会社員でもあったそうですが。現在は上京し、アーティストとして多忙な日々を送られています。生活環境はガラリと変わりましたよね。

岐阜で暮らしていた頃は、どこに行くのも自分で車を運転していましたが、東京では運転しなくなりました。昔から持っていた都会に対するイメージが実際に暮らすことで変わっていった部分もあります。そういう意味では東京に染まってきたんですかね!? 他に変わった部分で言えば、岐阜にいたときよりもトレンドに触れる機会が多くなって、ファッションなど自分の見られ方にも気を使うようになりました。それとなんといっても東京ではUber Eatsでいつでも好きなものを食べられるのがいいですね。岐阜の実家はエリア外なので(笑)。

――では上京してからも変わらないなと感じる部分はどういうところですか。

曲を作りたいという意欲はデビュー前から変わらずに今も持ち続けています。東京にいると街で流れてくる音楽の情報量も多いですし、ライブに行ったり他のミュージシャンの方と交流したり、インプットの量が増えて感度が上がりました。ただ、最近では音楽にまつわるいろんな活動があるなかで曲作りをしているので、なかなか時間が取れないことも多くて。もしも今、1週間時間があったらどんな曲を作るのかなと思ったりもしますね。

――タイトな制作期間でも次々と新鮮な楽曲を生み出せるのもimaseさんの優れたスキルだと思います。まさに類いまれなる反射神経とも呼べると思いますが、幼少期からスポーツをされていたことと関係していたりします?

音楽活動に通じる部分があるかはわかりませんが、僕、小さい頃から足が速かったんです。やりたいことを幅広くやるタイプで、サッカーや野球などいろんなスポーツをして自由に過ごしてきました。そんななかで得た好奇心や感性のようなものが今に活かされている気がします。当時からスポーツでもゲームでも、コツを掴むのが早くて。初めてやっても、すぐに吸収したりツボを押さえるのが得意でした。

初の武道館公演ではサプライズを感じて。

――そんなimaseさんの興味は今、お休みのときの海外旅行にも向けられているそうですが、いつもどんな旅をされていますか。

イタリアに行ったときには、いろんな建築物を見たり、かなりタイトにスケジュールを組んでいました。その次に海外旅行をしたときはゆっくりしようと思い、モルディブに行きました。海でスキューバダイビングをして、水中カメラを持ってサメと一緒に写真を撮ったりしながら、ひたすらゆっくりしました。次に海外に行くなら、クロアチアがいいですね。僕は『ゲーム・オブ・スローンズ』というドラマがすごく好きなんですが、その舞台となっている場所でもあるので、お休みが取れたら行ってみたいです。

――とはいえ今年の春から夏にかけても、イベントやフェスなどライブの予定がぎっしりですよね。一人で音楽を作っていたデビュー前と、ライブでも多くの人の前で曲を披露できる現在とでは音楽との向き合い方は変わりましたか。

ライブって音源制作とは全く別物な感じがしますね。曲作りの際にライブで楽しんでいただける曲をイメージして作るようにもなりました。ライブでお客さんが参加しやすいセクションを作ったり、ライブ用のアレンジを考えたり、そういう意識を持って曲を制作するという意味では、音楽との向き合い方はデビュー前と比べて大きく変わりました。

――TikTokからキャリアがスタートしたimaseさんですが、メジャーデビューした現在では「SNSでバズらせなきゃいけない」というプレッシャーからは解放されたんでしょうか。

やっぱりSNSのバズというのはずっと強いものだと思うので、そのプレッシャーから解放されることはないのかなと思っています。ただ、ライブ映えする曲とSNS映えする曲って乖離しているというか、遠い位置にあるのかなと思ったりもします。なので、曲を作るときにどちらかに振り切っちゃった方がよい気もするので、そういう試みをやってみてもいいのかなと最近は思ったりすることもあります。やはり全てにおいてバランスをとりながら作品を作っていくのは難しいことなんだなと感じています。

――さまざまな葛藤も抱えて試行錯誤しながら音楽を生み出しているんですね。音楽活動開始からメジャーデビューまで、わずか1年と早かったですが、ライブでパフォーマンスを始めるのも急なことだったと思います。初めてのワンマンライブは2023年の3月でしたが、そのときのことは覚えていますか。

初めての有観客ワンマンライブは渋谷のライブハウスだったんですが、よく覚えています。すごく緊張していましたが、ステージに立ったときは「こんなにお客さんが来てくださったんだ!」と感動しました。ライブ中はお客さんの笑顔を間近で見られますし、一緒に楽しんで、一緒に緊張している。そういうことがお互いに感じられて、すごくよかったなと思います。

――現在行われている「imase Hall Tour 2025“Remake”」では、リメイクというタイトル通り、意外な曲が意外なアレンジになって届けられるコーナーも楽しいですね。これはどんなアイデアから?

楽曲制作を始めてまだ3~4年ですが、そのなかで音楽から知れたことや得た感動があるので、お客さんにも「こういうジャンルの音楽があるんだ」とか「こういうジャンルも好きだな」という発見をしてもらえたら、という気持ちから生まれたものです。なので今回のツアーでは今までリリースしていないようなジャンルに挑戦してみたり、そんなアレンジにすることで新しい出合いをしてもらえたら嬉しいなと。imaseのライブに来てなんとなく知ったジャンルを後から別の音楽を聴いていて「これってあれだったんだ!」なんて気づくこともあったら嬉しいですし、そこからまた好きなアーティストが増えたりしても嬉しい。レゲエやグランジなど、そのジャンル一色で新曲を出すのは難しかったとしても、ライブのアレンジでリメイクして届けられることが僕自身も楽しいんですよね。

――7月には初めての日本武道館公演が予定されています。意気込みとしてはいかがですか。

日本武道館公演のタイトルに「Have a nice day」と初めてリリースした曲名をつけたのは、このライブは初期の頃から今までの自分を振り返るような内容にしたいから。アリーナでのライブなので、ホールとはまた演出も変わってくると思いますし、ステージの使い方や演奏面でもこれまでとは違った見せ方ができるのかなと考えています。武道館という場所でみんなにサプライズを感じていただけるようなライブを作りたいなと思っているので、これから準備を頑張っていきたいな。自分もみんなも素敵な一日だったなと思えるような特別なライブにします。

――ご実家のベッドルームから始まったimaseさんの音楽ですが、ライブを重ねて生身の表現を身につけ、目まぐるしく進化を遂げています。この先5年後、10年後も楽しみですが、ご自身としては今後どんなアーティスト像を描いていますか。

自分でも全然わからないですね…(笑)。活動を始めてまだ3~4年なので、この先5年とかって考えてみても、何をしているのかもわからない。もしかしたら東京に住んでない可能性もありますし、先のことはわからないですが、これからもその時どきのやりたいことや好きなことをやれていたらいいなと思います。

Profile

imaseさん

イマセ 2000年11月9日生まれ、岐阜県出身。独学で音楽制作を始め、TikTokに投稿。’21年12月に配信シングル「Have a nice day」でメジャーデビュー。’22年8月に配信リリースした「NIGHT DANCER」がバイラルヒット。国内外で人気の新世代男性アーティスト。

Information

現在、全国9都市を巡るホールツアー「imase Hall Tour 2025“Remake”」を開催中。7月25日には、初の武道館公演「imase LIVE“Have a nice day” in NIPPON BUDOKAN」を開催予定。最新デジタルシングル、「ジャックス」新CMソング「惑星ロマンス」が配信中。

シャツ¥39,600(シンヤコヅカ TEL:050・3802・5577) パンツ¥20,900(CONFFECT EDIFICE TEL:03・5366・5481) その他はスタイリスト私物

写真・JOJI(RETUNE Rep) スタイリスト・稲垣友斗(CEKAI) ヘア&メイク・向井大輔 インタビュー、文・上野三樹

anan2449号(2025年6月4日発売)より
Check!

No.2449掲載

マネーとマナーの新常識 2025

2025年06月04日発売

今号は今こそ知っておきたい、“マネー”と“マナー”について考える一冊です。物価高だけれど給料は上がらない、と不安だらけの人がまず知っておきたい節約、貯蓄、投資の知識を一から学びます。一方、マナー特集では、ユニバーサルなマナーや街中でのエチケットなど、人や社会に優しいマナーについて考えます。CLOSE UPにはなにわ男子の大西流星さん、JO1豆原一成さん&INI池﨑理人さんが登場します。そして待望のAぇ! groupの新連載「Aぇ! 男たち」もスタート。初回は小島健さんが担当です。

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