2月11日に行われた取材会に、シックなブラックスーツに身を包んで登場した山田涼介さん。ソロアーティストとしての活動は約12年ぶりとなるが、なぜ今再始動することになったのか。その経緯とタイミングについて話すところから取材会は始まった。
『RED』はメンバーカラーであり、自分の情熱を表したもの。
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「正直、12年前はグループのことで頭がいっぱいでソロ活動というものに対してネガティブなイメージが強かったんです。それが、今の時代はいろいろなことができるようになり、メンバーのみんなもそれぞれに自分の色を見出して活動していて。じゃあ、自分の色ってなんなんだろう? と考えた時に、アーティストとしてソロ活動をできる場があるのなら、どんどんチャレンジしていきたいと思ったんです。
そして、デジタルシングル『SWITCH』のリリースから始まり、今年はソロアルバムの発売とツアーをやることに。アルバムのタイトルである『RED』は、自分のメンバーカラーである赤ということはもちろん、ふと自分の中に湧き上がる気持ちや情熱のようなものでもあって。ファーストアルバムですが、ベストアルバムを作るくらいの気持ちで挑んでいるので、たくさんの方に届けばいいなと思っています」
アルバムには、100近い候補曲から選んだ楽曲が収録されている。コンセプトやPVに関しては、スタッフと打ち合わせを重ね、どういう世界観にするかなど、すべてを自身で決めていった。
「山田涼介ワールド全開だと思ってもらえればいいなと。今まで聴いたことのない、見たことない山田涼介を堪能できるアルバムになったのかなとは思っています。Hey! Say! JUMPの楽曲の時とは全く違うアプローチの歌い方をしていたりもしますので。毎日レコーディングもあるし、常にイヤホンで自分の曲を聴く毎日だから、大変といえば大変ですけど、本当に楽しみでしかないというか。今、仕事が楽しくてしょうがない時期です」
今はポジティブな気持ちでソロ活動に向き合っています。
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アイドルとして、俳優として、さまざまなフィールドで活躍する山田さん。いろいろな表現を行うなかで感じる、音楽を通じて表現することの魅力とは。
「自分の知らない自分を発見できる場所でもあると思っていて。特に今回の『RED』は、これまで知らなかった自分が表現されている曲もあり、新たな自分の武器を見つけることもできました。歌にはそういう力があるし、自分がそこを楽しむことで皆さんにも楽しんでいただけると思っています。レコーディングの時に、『このフレーズ、ちょっと演技して』と言われたりするんです。何を言ってるんだ? と思いながらも(笑)、実際にやってみると感情が歌詞に乗ったりもして。面白い発見があるものだと思います」
ソロの活動を行うからこそ、グループという存在のありがたさを感じる場面もあるという。
「『SWITCH』をミュージックステーションで披露した時に、“あれ、こんなに静かだっけ?”と。いつもわちゃわちゃしているメンバーがいない寂しさをすごく感じました。番組を見たメンバーが、会った時に直接感想をくれたり、LINEで連絡をくれたりもして。ソロ活動に対してメンバーがすごく背中を押してくれているので、メンバーに還元できればいいなというプラスの気持ちで、気持ちよく向き合えています。やっぱり、ソロで吸収できるものとグループで吸収できるものはちょっと違うと思うので。ソロ活動で得たエッセンスみたいなものをHey! Say! JUMPに持ち帰った時にどんな化学反応が生まれるかみたいなことも、メンバーとみんなで話せたらいいなとも思っています」
さらに、ソロ活動にポジティブな気持ちを持てるようになったきっかけは、Hey! Say! JUMPというグループに対して、安心感が芽生えたことが大きいとも明かす。
「以前はもっと、全員で足並みを揃えて歩きたいのに…と思っていた自分がいたんです。でも、メンバーそれぞれが自分のやりたいことをやってグループに帰ってきた時に信じられないくらい仲が良くて、みんなで足並みを揃えて前に進んでいる感じがすごくしたというか。だから安心して『いってきます』ができるというか。今は何の不安もないです。他のメンバーがソロ活動をしたいと言ったら、やれやれ! って思いますしね。
グループとソロは、どっちも楽しいです。全責任が自分だというところの、背負う感じもヒリヒリして楽しいですし、だからこそグループに帰ってきた時には、すごく安心感があって。今は、その違いを非常に楽しんでいる時期なのかなと思います」
ツアーでは、皆さんを良い意味で裏切りたい。
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4月26日からは、全国6都市を巡るツアー「RED Ryosuke Yamada LIVE TOUR 2025」が開催される。初めてのソロコンサートツアーに対しては、大きな期待感と、ほんの少しの不安をのぞかせる。
「アリーナに一人で立つという緊張感とワクワク感で頭がいっぱいです。各地のごはんとかを楽しめる余裕があるかは、わからないです(笑)。“山田涼介ってグループで表現するとこうだけど、ソロで表現するとこうなるんだ”という、良い意味の裏切り感みたいなものは大事にしたいなと思っているので、楽しみにしていてほしいです。
もちろん、MCも一人なんですけど、僕はどちらかというとボケじゃなくてツッコミなので、終わったなと(笑)。どうしようかなって。ただ、そこでもHey! Say! JUMPの時とは違う、僕にしかない出せない色の、お客さんとの会話になると思うので、楽しめたらなと思っています。
メンバーは『どのタイミングで行こうか』みたいなことを話し合っていましたね。来る日がわかると緊張しちゃうから、『言わないで!』って言ってます(笑)」
アイドルとして、アーティストとして、今、積極的に音楽に携わる山田さん。両者の間に表現の違いはあるのだろうか。
「自分の中では線引きをすることが大事だと思っています。それぞれで表現したい自分が全く違ったりするので。アイドルとして求められることって、割と直感的にキャッチできるんです。だけど、アーティストとしては、どちらかというと自分からアウトプットしていくというか…。言語化が難しいんですけど。アイドルは“見てもらいたい自分たちを見てもらう”、アーティストは“見せたい自分を見せる”という感じでしょうか。ソロ活動における自分から発信する僕を、みなさんがどう捉えるのか、楽しみです」
今回の取材会では、記者からのたくさんの質問に真摯に向き合って答える姿が印象的だった山田さん。それは、自身のプロジェクトに対する熱い想いや誠実さの表れでもあるように感じた。これまで、トップアイドルグループの絶対的センターとしてストイックに走り続けてきた彼がアーティストとして何を見せてくれるのか。アルバムやツアーの全貌がわかるのはこれからだが、見た人を満足させるモノを届けてくれることは間違いないだろう。