ハンバート ハンバート「“今回は夢のアルバムだな”と思いました」 様々な夢を思わせる12曲

エンタメ
2024.12.29

左から、佐野遊穂さん(Vo&Harmonica)、佐藤良成さん(Vo&Gt)

ハンバート ハンバートのニューアルバム『カーニバルの夢』は、見た夢・思い描いた夢・夢だったらと思う日常など、様々な夢を思わせる12曲が並んだ快作。

まるで奇跡のように偶発的に生まれた“夢”のアルバム。

「アルバムのテーマを最も象徴しているのは、『一瞬の奇跡』。これは寝ながら作った曲なんです。夢の中でメロディができることは、しょっちゅうあることではないので、“今回は夢のアルバムだな”と思いましたね」(佐藤)

先行配信曲「トンネル」は、児童養護施設に暮らす子どもたちに密着したドキュメンタリー映画『大きな家』の主題歌。楽曲自体は3~4年前に完成していたという。

「当初は『映画に合ったエンディング曲を作ってほしい』という話だったんですけど、映画を観た僕らのスタッフがすでに録音していた『トンネル』がぴったりじゃないか、と提案してくれて。あぁ、本当だなと。それで監督や映画の制作スタッフに聴いてもらったところ、『ぜひ、この曲でお願いします』となりました」(佐藤)

「トンネル」は、映画に登場する子どもたちの葛藤、不安、希望を代弁しているようなリアリティが魅力的。

「『大きな家』は、施設の子どもたちの日常や状況を淡々と映していて。それがすごく良いなと思いました。撮る側の誘導的な質問も、過剰な演出も一切ない。子どもたちと職員さんの言葉だけで映画が紡がれているからこそ、主題歌で映画の内容をまとめてしまうのはよくない。映画を観た上で新しく曲を作ることになっていたら、こうはならなかったですね」(佐野)

1月26日からは全国ツアーがスタート。改めて、お二人が考える“いいライブ”とは何かを聞いてみた。

「ゾーンに入るときや、会場に一体感が生まれる瞬間もあるんですけど、それを求めると逆に辛くなる。毎ライブの平均点を上げることで、常にお客さんが楽しく帰ってもらえる状況を目指しています」(佐藤)

「自分がお客さんだとしたら、ライブに限らず、圧倒される表現は素晴らしいとは思うんです。ただ、あまりに圧倒されて別世界に感じてしまうより、その表現に触れた後、部屋の模様替えをしたくなるみたいな。“自分も何か変えられるかも”と身近に思えるものが私は好き。皆さんにもそんな感覚になってもらえたら嬉しいです」(佐野)

PROFILE プロフィール

ハンバート ハンバート

1998年結成のデュオ。左から、佐野遊穂(Vo&Harmonica)、佐藤良成(Vo&Gt)。1月26日の東京公演を皮切りにアルバム『カーニバルの夢』を携えた「ハンバート ハンバート tour 2025『寝ても覚めても』」を全国11か所で開催する。

INFORMATION インフォメーション

12枚目となるアルバム『カーニバルの夢』。先行配信曲「トンネル」をはじめ、セルフカバー曲「あの日のままのぼくら」を含む全12曲。【初回限定盤(CD+BD)】¥5,500 【通常盤(CD)】¥3,300(SPACE SHOWER MUSIC)

写真・森川英里 取材、文・真貝 聡

anan 2428号(2024年12月25日発売)より

PICK UPおすすめの記事

MOVIEムービー