ノスタルジアという感情の意味を、8人の作家の表現を通して探る。
第8回となる今回のテーマはノスタルジア。これは子供時代など二度と戻ることができない過去の記憶を、現在の情景に重ね合わせた、切なく複雑な感情のことだ。
そんなノスタルジアを強く感じさせる風景を描いてきた個性的な8人の作家たちを紹介するのが本展「ノスタルジア―記憶のなかの景色」。日常の街の風景を愛しむように描いた阿部達也と南澤愛美。子供たちのいる情景を描き出す芝康弘と宮いつき。幻想も含めて、それぞれ独特の記憶の中の景色を描いた入江一子、玉虫良次、近藤オリガ、久野和洋。大正から令和まで、異なる世代、地域、環境で過ごした8人の作品を観れば、ノスタルジアにも多様性があることを理解できるだろう。
会場には、高さ約12mの吹き抜け天井空間に8畳大の休憩スペースを設け、周囲を4人の作家の大きな絵画が取り囲む演出に。特に、玉虫良次が5年をかけて描いた《epoch》連作10点を今回初めて横に連結させた、約16mの大作パノラマはみどころの一つ。ここでゆっくりと作品を鑑賞しつつ、自分のノスタルジアを感じてほしい。
INFORMATION インフォメーション
上野アーティストプロジェクト2024「ノスタルジア―記憶のなかの景色」
東京都美術館 ギャラリーA・C 東京都台東区上野公園8‐36 開催中~2025年1月8日(水)9時30分~17時30分(11/22・29は~20時、入室は閉室の30分前まで) 12/2・16、12/21~2025年1/3・6休 一般500円ほか TEL:03・3823・6921