東京都美術館がある上野は、多くの芸術家を輩出してきたアーティストの聖地。なかでも「公募展のふるさと」といわれる同館は、芸術家の発表の場としての役割を担ってきた。歴史の継承のため、テーマを決めて現代作家を紹介するのが「上野アーティストプロジェクト」だ。


ノスタルジアという感情の意味を、8人の作家の表現を通して探る。

第8回となる今回のテーマはノスタルジア。これは子供時代など二度と戻ることができない過去の記憶を、現在の情景に重ね合わせた、切なく複雑な感情のことだ。

そんなノスタルジアを強く感じさせる風景を描いてきた個性的な8人の作家たちを紹介するのが本展「ノスタルジア―記憶のなかの景色」。日常の街の風景を愛しむように描いた阿部達也と南澤愛美。子供たちのいる情景を描き出す芝康弘と宮いつき。幻想も含めて、それぞれ独特の記憶の中の景色を描いた入江一子、玉虫良次、近藤オリガ、久野和洋。大正から令和まで、異なる世代、地域、環境で過ごした8人の作品を観れば、ノスタルジアにも多様性があることを理解できるだろう。

会場には、高さ約12mの吹き抜け天井空間に8畳大の休憩スペースを設け、周囲を4人の作家の大きな絵画が取り囲む演出に。特に、玉虫良次が5年をかけて描いた《epoch》連作10点を今回初めて横に連結させた、約16mの大作パノラマはみどころの一つ。ここでゆっくりと作品を鑑賞しつつ、自分のノスタルジアを感じてほしい。

玉虫良次《epoch》 部分
2019‐23年 油彩、カンヴァス 作家蔵

入江一子《イスタンブールの朝焼け》
1975年 油彩、カンヴァス 入江一子シルクロード記念館蔵

芝康弘《いつもの此の道》
2017年 紙本彩色 東京オペラシティ アートギャラリー蔵

阿部達也《多摩川(東京都昭島市)》
2021年 油彩、カンヴァス 作家蔵

Information

上野アーティストプロジェクト2024「ノスタルジア―記憶のなかの景色」

東京都美術館 ギャラリーA・C 東京都台東区上野公園8‐36 開催中~2025年1月8日(水)9時30分~17時30分(11/22・29は~20時、入室は閉室の30分前まで) 12/2・16、12/21~2025年1/3・6休 一般500円ほか TEL:03・3823・6921

文・山田貴美子

anan 2423号(2024年11月20日発売)より

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