「家にいるときの母の記憶を思い返してみると、3分の1くらいは皿を洗っている後ろ姿。しかも、母は家事をあまり楽しんでいないタイプで、その遺伝子が自分にも受け継がれていることに、同棲をして初めて気づきました。“お母さん、家事って辛いね”と(笑)。男女平等とはいわれながらも、“家事や子育ては奥さんがするもの”という考えが社会に根付いているのが現状で、私も夫と結婚する前からずっと家事を巡ってケンカをしています。前半を読み返したら、私、めっちゃ怒っていて(笑)。しかも、今の女性は結婚をしても働く人が多く、仕事をしながら家事もして、子どもを産んだら育てるということが、全員ではないものの、スタンダードとされている。それは自分の体験も含め、本当に大変だと思うんです。結婚は、幸せの象徴であったり、ロマンティックなもの、ピンクピンクしたもの、というイメージで語られることが多いですが、本当はそうじゃない。各夫婦ごとに、自分の権利を主張したり譲歩し合ったりという戦いの歴史があって成り立っている、それが結婚なんだなと。そういうことをこの本を通じて伝えられたらいいなと思っていますね」
本著の中には、山内さんの夫がエッセイを読んだ感想を綴った「男のいいぶん」というコーナーも。
「読んで、この人、私に似てきているなと思いました。一緒に住む前は女性の権利のことなんて、一切考えていなかったと思うんですけど。折に触れてフェミニズム教育をしたせいで、嫌な論者みたいになっていて(笑)。しかも、私と同じ考えをシェアする同志になるわけではなく、反対勢力みたいになっていますからね。ただ、彼のことは“そんなに気が合わないな”と思っていましたが、下手に気が合う人よりも、よっぽど長く一緒にいられるんですよ。趣味も違うし、会話をしてもすぐに“でもさ…”と反論をしてくるから私も反論をする。いっこうに折り合いがつかないからこそ面白くて、飽きないのかもしれません。共通点があるとすれば、人間関係が狭いところ。お互い、広く浅くではなく、一人の人間との関係をとことん噛み締めるタイプだから、安心感を得られるのはいいですね。浮気の心配もしてないです」
“夫”と付き合うまでは、結婚を焦っていたという山内さん。その時の自分に声をかけるなら?
「当時の私はニートだったこともあり、結婚をすることだけに100%注力をしていたんです。そうして焦っていると、自分を見失ってしまう。だから、“まずは自分の人生を生きるんだ”と言いたいですね。ただ、結婚は純粋に楽しいです。もちろん、先ほども言ったように戦わなければいけないことも多いですが、誰かと一緒にいるのは、それだけで楽しいなと。そう思える相手を選んでね、とも伝えたいですね」
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