年明け早々にヒロインをつとめる『釣りバカ日誌』のスペシャルドラマが放送されたと思ったら、11日には篠原涼子さん主演のスペシャルドラマ『愛を乞うひと』に篠原さんの娘役で出演。
そのほか、発表されているだけで主演映画が2本、ヒロインを演じた1本が公開予定。さらに、赤堀雅秋さん演出の『世界』で初舞台も踏む。そんな広瀬さんにインタビューを敢行した。
――目前に公開待機作が3本控えているなど大活躍ですね。
皆さんに観ていただける機会が多くなっていることは、単純にありがたいことだと思っています。ただ、いまは舞台のことでいっぱいいっぱいで…。
――初舞台ですからね。
いまは不安しかないです。
――いま一番の不安は何ですか?
赤堀さんが怖いことです。
――えっ!? どの辺が?
何か月か前に顔合わせでお会いした時、赤堀さんと20~30分世間話をしたんですが、何か自分の本質的なところを見透かされたような…奥底にある誰にも開けられたことのない鍵を無理やりこじ開けられたような気がしたんです。
――そういう怖さは、他の方にも感じたことはあるんですか?
初めてでした。赤堀さんの作品を何作か拝見させていただいたんですが、どちらかというと人間の愚かさだとか情けなさだったり、ダサさのようなネガティブな部分を生々しく描いているんですよね。今回の『世界』も、ミニマムなコミュニティのなかの濃厚な人間関係の物語ですが、とてもリアルで生々しいんです。赤堀さんは普段からこういう視点で人間をご覧になっているのかと思うと、稽古と本番で2か月間もご一緒するのが恐ろしくて。私がかぶっている皮を、パワーで剥がされていきそうで…。
ただ、自分はジャンル的に、キラキラした作品よりもこういう作品が好きなんで、緊張しつつも楽しみにもしています。
――キラキラした作品は苦手なんですか?
比較の問題ですけれど、人間くさい物語のほうに惹かれます。
――でもそう言われると、これまでも、キラキラした恋愛モノより、農業高校の物語だったり、ゾンビものだったり、個性的な作品や役に携わることが多い気がします。
20歳を越えてから、いろんな役をやらせていただけるようになったんです。10代の時は、学園モノのキラキラ女子の役が続いていて、それにどこか違和感を抱いていた時期がありました。
今回、私が演じる正子は、会社に勤めながらも、心にぽかんとあいた穴を埋めるためにデリヘル嬢をやっている女の子。状況はまったく違えど、誰かに求められたい、満たされなさを何かで埋めたいと思う気持ちって、私や彼女のような20歳そこそこの頃に、誰もが一度は抱く感情なんじゃないかと思うんです。だから、私には彼女の孤独感だったり寂しさが理解できるし、違和感がなかったです。
――それでも、22歳にしてデリヘル嬢の役はなかなか…。
へんな意味じゃないんですけれど、役を演じるにあたって苦しみたいんです。悩みたいし、もどかしくなりたいんです。
――でもそうなると、演技って正解のないものだけに苦しみ続けることもあると思います。気持ち的に落ちたりしませんか?
たまに意味もなくひとりで落ち込んでいることはあります。でも、苦しんだ作品ほど、終わってから、やってよかったと思うことが多いんです。その気持ちをまた味わいたくて、意識的に苦しいほうを選んでしまうのかもしれません。