渋く見えて実は無邪気 斉藤和義と中村達也の新ユニット誕生秘話

エンタメ
2016.11.14
大人で子ども、大人で自由。ますます自由で個性的になっていく大人世代のミュージシャンたち。今回は、私たちを夢中にさせてくれる魅力あふれるMANNISH BOYSのお二人にお話をうかがいました。
マニッシュボーイズ 2011年に意気投合した二人が急きょ結成したロックンロールユニット。2年ぶりにアルバム『麗しのフラスカ』をリリースし、来年1月末まで、全国30か所のライブハウスを精力的にツアー中。
マニッシュボーイズ 2011年に意気投合した二人が急きょ結成したロックンロールユニット。2年ぶりにアルバム『麗しのフラスカ』をリリースし、来年1月末まで、全国30か所のライブハウスを精力的にツアー中。

MANNISH BOYSは斉藤和義さんと、ドラマーの中村達也さんが、意気投合して結成したユニット。多くのアーティストからリスペクトされる二人の作る音楽は、ジャンルも多種多彩。批評精神に満ちたメッセージソングからラブソングまで、ベテランならではの惚れ惚れするような熱い音楽を聴かせてくれる。やっと好きなことが自由にできるように。

「ある飲み会で出会って、すぐに和ちゃんのソロアルバムに参加して一緒にやろうということになり、ひと儲けしようとしているプロジェクトなんですよ(笑)」(中村)

「以前は怖そうな人だと思っていたけど、話してみたら優しい人でホッとした(笑)。レコーディングとは別の機会にスタジオに入り、二人でジャムり倒していたら、すごく楽しかったんですよ」(斉藤)

何の決め事もなく、自由に楽器を鳴らしてセッションを続け、高揚した気分のまま結成したのがMANNISH BOYSだという。期間限定バンドと思いきや、新作のリリースが続き、フェスへの参加や全国ツアーもきちんと行ってきた。先月、待望のサードアルバム『麗しのフラスカ』もリリース。

「達つぁんのいたBLANKEY(JET CITY)は、どうせカッコいいんでしょ、って、あまり聴かなかったんだよね」(斉藤)

「コラコラ(笑)」(中村)

「影響を受けそうだったからね。だけど解散後に達つぁんがLOSALIOSというジャムバンドをはじめたころ、オレも同じようなことをやっていたので嬉しかったし、勇気をもらいました」(斉藤)

斉藤和義という名前で活動する限り、やはり歌ものを求められるし、好きなようにできないこともままあったとか。その調整か、いわば“表”の斉藤和義とは別に、“裏”では海外のミュージシャンとセッションしたり、インスト作品の音源を作ったりもしていた。

「いつか一緒に達つぁんとジャムれるかも、と何となく思い描きながらきてて、いざチャンスが来たら、その思いが爆発したかのようだった」(斉藤)

「それは初耳です。うまいこと言ってくれてありがとう。オレの場合は、音楽に関しては仕事でやっているという意識がなくて、18で社会に出て以来、ずっと“休み”だと思ってきたわけ。最近になって、これは仕事だから我慢しようとか思うようになり、なんか大人になったみたいで、これでいいんだろうかと悩む毎日(笑)」(中村)

「出会ったのはちょうど震災の直後で、当時は『こんな時期に音楽なんて』って風潮があって。そんなときにはじめて一緒に音を鳴らして、精神的に解放されたのも、すごく大きかった」(斉藤)

「アルバム作るから詞を書いてよ、と言われて頭抱えたんだけど、いつも不平不満とか、怒りやしょんぼりした気持ちとか、そのとき飛び散った感情を、スケッチブックに全部書いてるのね。それを和ちゃんがちゃんと歌詞にまとめてくれて嬉しかったな」(中村)

「ずっと歌詞を書いてきたけど、やっぱりボキャブラリーには限界がある。スケッチブックにあった言葉や絵は、全く自分とは違うものだったし、オレはただ交通整理するだけでしたよ。歌詞は全て共作にしています。このバンドは歌詞もサウンドも全て共作することで成り立っていると思う」(斉藤)

「うん。斉藤和義さんというちゃんと確立された個性があるポピュラーな人に、書き散らかしたものを『それいいじゃん』と言われると救われた感じになった。オレなんかどうせダメじゃんと思ってきたからさ。救われて、最近はちょっと調子に乗ってきてる」(中村)

さいとう・かずよし シンガーソングライター。‘93 年デビュー。『ずっと好きだった』『やさしくなりたい』などヒット曲多数。MANNISH BOYSではソロとはまた違うユーモアとクールさが溢れる音楽を聴かせる。

なかむら・たつや ドラマー。‘87年結成のロックバンドBLANKEY JET CITY のドラマーとして名を馳せる。解散後は自身のバンドLOSALIOSを本格始動させ、現在多数のバンドに在籍。たまに俳優としても活躍している。

斉藤さん/シャツ¥27,000(wjk/wjk base TEL:03・6418・6314) コート¥69,000(KAZUYUKI KUMAGAI/アタッチメント代官山本店TEL:03・3770・5090) 他はスタイリスト私物 

中村さん/ブルゾン¥95,000 パンツ¥33,000(共にISAMU KATAYAMA BACKLASH TEL:03・3462・2070) ネックレス¥37,000(BILL WALL LEATHER×SYMPATHYOF SOUL/S.O.S fp恵比寿本店TEL:03・3461・4875) 他はスタイリスト私物。

※『anan』2016年11月16日号より。写真・三浦太輔(go relax E more) スタイリスト・佐々木健一(StyleLAB) ヘア&メイク・市川摩衣子 インタビュー、文・北條尚子

(by anan編集部)

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