村元哉中×高橋大輔
高橋大輔:考えたところで答えが出るわけじゃないし、興味もありました。ただ新しいことをやるのは怖いじゃないですか。評価も怖い。でも哉中ちゃんが誘ったんだから、失敗したら哉中ちゃんのせいにしようと(笑)。それくらいの気持ちじゃないと決断はでかすぎると。成功してもしなくてもこの経験は絶対プラスになるという思いも間違いなくありました。
村元哉中:2020年から始まって3年、全シーズン大変だったよね。
高橋:なかでも1年目はコロナ禍で。
村元:アメリカでコーチに教えてもらうはずが帰国して、いちばん基礎を習う時間がリモートになって。
高橋:アメリカに戻ったあともお互いに怪我をして、なかなかふたりで練習できなくて。でも試合は迫ってくる中で、最初にNHK杯に出て。
村元:次の全日本選手権で私が怪我して、ほんとうにバタバタ。
高橋:ぎゅっと大変なことが起こって、それが最終的によかったのかな。
村元:あれだけいろいろあると、お互い助け合い、サポートし合わないとアイスダンスはできないということをすごい実感しました。
――短期間で解散するカップルも少なくない中、ふたりが抜群の相性を誇った理由は何だったのだろうか。
村元:もちろんスーパーリスペクトしてるから。いいところ・嫌なところは誰にでも絶対にあるじゃないですか。それでもリスペクトして、いいところを見られるか見られないか。1シーズン目こそ大ちゃんを人として知らなかったけれど、2年3年と過ごして、本人を目の前に褒めるけど(笑)、人間性が本当に素敵で。本当に素直に信頼できる相手で、そこが大きかったかな。
高橋:僕は基本、頑張らない派なんですよ。ちょっと自分に甘い。だけど哉中ちゃんは自分に厳しくて、それができる人って尊敬に値するじゃないですか。スケートに対する情熱もたぶん僕よりある。
村元:ないよ(笑)。
高橋:ある! 引っ張ってもらった部分が大きいし、それにプラスして、日本人の中でここまで魅せられるスケーターは本当にいないと思うから。
――引退後も、個々での活動に加え、アイスショーやイベントなどふたりでも行動を共にしてきた。年が明けて、これからの夢は。
高橋:僕はエンターテインメントに関わっていければ、どんなことでもやっていきたいという気持ちです。そして初プロデュースするアイスショー「滑走屋」が2月にあります。劇団四季じゃないですけど、そういう集団に育てて、競技会のトップを目指す道もあれば、「魅せる」というところで目指していく道もあるのを示したい。日本にもアイスショーはあるんですが、新しい形のものを作って、広がっていけばいいな、と。
村元:大ちゃんを見ていて、自分も動ける限りは滑り続けたいなと思いますし、私も何人かに振付してみてその楽しさを感じているので、世界でも活躍する振付師になれたらと思います。もちろん大ちゃんとも一緒にいろいろなものを創りたいです。今回の「滑走屋」では私もソロナンバーがありますが、そこで大ちゃんに振付してもらうという目標が叶ったんですよ。あとは大ちゃんとタンゴを滑りたいです。大ちゃん、タンゴ滑ってください!
高橋:(笑)。これからもよろしくお願いします。
村元:こんな私をお願いします。
むらもと・かな 1993年3月3日生まれ、兵庫県出身。5歳のときスケートを始める。2014年にアイスダンスへ転向。’18年平昌五輪にクリス・リードと組んで出場。’20年から高橋大輔をパートナーに活動。’23年5月現役引退。
ジャケット¥73,700 Tシャツ¥18,700 パンツ¥33,000 靴58,300(以上ディーゼル/ディーゼル ジャパン TEL:0120・55・1978)
たかはし・だいすけ 1986年3月16日生まれ、岡山県出身。2010年、バンクーバー五輪銅メダル、世界選手権金メダル。’14年に引退したが'18年復帰。’20年より村元哉中とアイスダンスペアを結成。’23年5月現役引退。
ジャケット¥60,500 Tシャツ¥15,400 パンツ¥41,800 靴¥105,600(以上ディーゼル/ディーゼル ジャパン)
村元哉中・高橋大輔 2020‐21シーズンに活動を開始。2021‐22シーズンの四大陸選手権で日本初の銀メダル。2022‐23シーズンは全日本選手権初優勝、世界選手権で日本史上最高タイの11位。’23年5月に引退、現在はプロスケーターとして活躍。
高橋大輔さんがプロデュースするアイスショー「滑走屋」は2月10~12日にオーヴィジョンアイスアリーナ福岡にて開催。出演は高橋さん、村元さんのほかメインスケーターとして村上佳菜子、友野一希、山本草太、島田高志郎、三宅星南、青木祐奈。またアンサンブルスケーターとして学生を中心に14名が出演。https://kassouya.jp/
※『anan』2024年1月24日号より。写真・SASU TEI(RETUNE Rep) スタイリスト・井田正明 ヘア&メイク・金原萌香(Jari/村元さん) Nori(Jari/高橋さん) 取材、文・松原孝臣
(by anan編集部)