「テーマを決めずに作ったので、いろんなタイプの楽曲が並んだ“おもちゃ箱”みたいなアルバムです。あとは『ソロとしての1歩目は、自分の中のヒーローとご一緒したい』と決めていて。銀杏BOYZの峯田(和伸)さん、ザ・クロマニヨンズのマーシー(真島昌利)さんにも楽曲を書いていただきました」
峯田さんが作曲、CENTさんが作詞を手掛けた「決心」の制作は、二人で話し合いをするところからスタートした。
「峯田さんが“銀杏BOYZのどういう曲が好きなの?”と聞いてくださって。“全曲好きですけど、『夢で逢えたら』とか『恋は永遠』とか、銀杏BOYZのキラキラした音楽が好きです”と伝えたら“僕が考えていた曲のイメージと一緒だ”と言ってくれて。しかも、峯田さんはレコーディングにも来てくださったんです。全部録り終わったあとに、峯田さんが“題名は『決心』にしましょう。決心を感じたので”と。本当に宝物のような楽曲になりました」
ソロとして前へ進む気概を感じる「決心」もあれば、これまで応援してくれたファンに向けた曲もある。
「“BiSHとして生きてきた自分をバッサリ切ってCENTになりました”というのは私らしくないし、嫌だなと思っていて。『君へ』はBiSHを愛してくれていた人、私を愛してくれていた人、これから愛してくれる人に向けて、自分の気持ちをストレートに書きました。逆に、情景を意識して書いたのは『夕焼けBabyblue』。よく夕焼けの海を見に行くんです。そのとき隣に誰かがいたら、綺麗な世界に二人でいられるだけで幸せなんですよね。曲を通して、そういう言葉にできない景色を歌にしました」
今作は、辛辣な表現や厳しい現実を突きつけるような歌詞は出てこない。どの曲にもCENTさんなりの人生を肯定するような優しい言葉が詰まっている。
「生きていれば、辛いことや胸糞が悪いこともたくさんあるけど、それに正面から立ち向かってしまうと、自分が壊れてしまう場合もある。回り道したって逃げ道を選んだって、間違いじゃないと思うんです。正解は誰もわからないから、できるだけ人生の選択肢を増やしていく。そういう生き方がいいなって。忙しく生きていても、夢は見れるし現実から逃げることもできる。それを自分なりの優しい空気で表現したかった。私自身はポジティブな人間じゃないけど、太陽のようにみんなを明るい方向へ引っ張ってあげられる音楽を届けられたら、と思っています
1stアルバム『PER→CENT→AGE』。先行配信の「夕焼けBabyblue」「紙ヒコーキと晴れのちコーヒー」「インマイルームフェス」、銀杏BOYZの峯田和伸が作曲を手がけた「決心」など計11曲収録。【初回限定盤(CD+DVD)】¥5,500 【通常盤(CD)】¥3,300(WACK RECORDS/SPACE SHOWER MUSIC)
セント 東京都出身。セントチヒロ・チッチ(ex.BiSH)のソロプロジェクト。9月11日にCENT名義で初めてのワンマンライブ「Unknown Possibilities」を東京・LIQUIDROOMで開催。
※『anan』2023年8月30日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) インタビュー、文・真貝 聡
(by anan編集部)