井上麻里奈 セーラースターファイター/星野 光
憧れの人との共演は、奇跡を超えたなにか。
’90年代のテレビシリーズ放送当時、乙女たちのハートを鷲掴みにしたキャラクター・セーラースターファイター/星野光を演じた井上麻里奈さん。
「まさか私が星野さんを演じることになるなんて、思ってもみませんでした。星野さんから自分の声帯を通した声が出てくるというイメージが湧かなくて(笑)。なぜ私に決まったのか不思議で仕方がなかったです。かつて乙女たちの恋心を煩わせた星野さんを演じさせていただくのは非常に責任重大だなと思いながら、大切に演じさせていただきました」
原作コミックスもアニメのDVD‐BOXもキャラクターソングCDも持っているほど、筋金入りの「美少女戦士セーラームーン」ファン。それだけに、参加できる喜び以上に、プレッシャーもあった。
「私にとっては、幼少期の自分を作ってくれた特別な作品。それだけに、プレッシャーもありました。だって、あのうさぎちゃんと会話しているんですよ! はたして三石(琴乃)さん演じるうさぎちゃんと自分が演じる星野さんが対等に見えるだろうかという不安は常にありました。星野光がかっこよくなければこの作品は成り立たないという想いがあったので、演じ終わって音響監督さんから『かっこよかったよ』と言っていただいた時は、本当に救われましたね」
印象深いのは、星野がつぶやいた“銀河一、身分違いの片想い”という言葉。
「この台詞は、私の三石さんに対する想いとも重なるんです。『美少女戦士セーラームーン』で育ってきた私にとって、三石さんは手が届かない、神のような存在。その距離は、銀河ほども離れているんです。それが今、声優という職業を通してうさぎちゃんと星野としてご一緒することになるだなんて、当時の自分は想像もしていませんでした。もはや奇跡を超えたなにかだなって(笑)。今回、出演が決まってまたコミックスを読み返して、アニメに触れて、実際に演じてみて思ったのは、この作品では子どもの憧れなだけじゃなく、愛の大切さという普遍的なテーマも描かれているということ。だから全世界、全世代の人々の心に刺さるんだなと改めて感じました」
劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」
描かれるのはシリーズ最終章〈シャドウ・ギャラクティカ〉編。平穏が訪れたはずの月野うさぎたちの世界に、宇宙全体をも巻き込む最大の危機が押し寄せる。究極の選択を迫られるうさぎは、最後に何を選ぶのか。原作・総監修/武内直子 監督/髙橋知也 脚本/筆安一幸 キャラクターデザイン/只野和子 キャスト/三石琴乃、林原めぐみ、水樹奈々、井上麻里奈、早見沙織、佐倉綾音ほか 《前編》6月9日、《後編》6月30日全国公開。
せいや・こう いつも女子に囲まれている人気者であるものの、本人は至ってクール。細身だが運動神経抜群で、アメフト部に入って活躍するほど。すれ違った月野うさぎのことが気になり、つい目で追ってしまう。
いのうえ・まりな 2004年に声優デビュー。『進撃の巨人』アルミン・アルレルト役や『僕のヒーローアカデミア』八百万百役、『ゆるキャン△』各務原桜役など、性別や年齢を問わず様々な役を演じている。
※『anan』2023年6月14日号より。写真・魵澤和之(まきうらオフィス) スタイリスト・ナミキアキ ヘア&メイク・MAKI(TOKYO LOGIC) 取材、文・尹 秀姫 撮影協力・バックグラウンズ ファクトリー
(by anan編集部)