現代アートの美術館が点在し、アート好きなら一度は巡りたい北東北エリア。青森県弘前市に3年前にオープンした「弘前れんが倉庫美術館」は、かつてシードル(りんごの発泡酒)を醸造していた築100年余りの建物を改装しており、広大な展示空間でこれまでさまざまなアーティストが作品を披露してきた。

大巻伸嗣―地平線のゆくえ

大巻伸嗣は空間をダイナミックに使ったインスタレーションで知られる。薄いベールが海中の生き物のようにゆったりと上昇、下降を繰り返す「Liminal Air Space‐Time」シリーズや、草花をステンシルで描いたペルシャ絨毯のように美しい「Echoes‐Infinity」シリーズなど。いずれも、体ごと作品の時空間に含まれるかのような体験を作り出す。

本展にあたり、作家は県内各地を巡って発見し、体感した風物や自然をシリーズの新作に盛り込んだ。展覧会のはじめと終わりには、弘前市内に現存する柏の古木の葉をモチーフにした作品を展示。これは春に新芽が萌え出るまで古い葉が落ちない柏にちなんで、命の巡りと展覧会の構成を重ねているとか。作品世界を一つ一つ旅した後、柏の葉と同じように、私たちも新しく生まれ変わっているだろうか。

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高さ15mの吹き抜け空間を極薄のベール状の布が生き物のように舞う。作家が青森県内の浜辺で目にした、力強くも温かく包み込むような波のイメージや音を体感できる新作インスタレーション。
大巻伸嗣《Liminal Air Space‐Time》2020年 展示風景:「存在のざわめき」 関渡美術館(台湾/台北、2020年) Photo:Mind Set Art Center[参考図版]

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展示室の床一面に敷き詰められた白いフェルトには、青森県内各地の植物や風物を取り入れた、色とりどりの花や紋様が描かれている。
大巻伸嗣《Echoes Infinity‐永遠と一瞬‐》2016年 展示風景:「あいちトリエンナーレ2016」 愛知芸術文化センター 愛知県美術館(2016年) Photo:Tetsuo Ito[参考図版]

※いずれも画像は過去の参考作品。本展では同シリーズの最新作が出展される。

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大巻伸嗣―地平線のゆくえ 弘前れんが倉庫美術館 青森県弘前市吉野町2‐1 開催中~10月9日(月)9時~17時(入館は16時半まで) 火曜(5/2、8/1は開館)休 一般1300円ほか TEL:0172・32・8950 ©Naoya Hatakeyama

※『anan』2023年5月3日‐10日合併号より。文・松本あかね

(by anan編集部)

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