『silent』に注目すべき理由とは? 無限まやかしが“ドラマ”のトレンドを考察

エンタメ
2022.12.30
お笑いコンビ「XXCLUB」の大島育宙と脚本家・高野水登による考察系ユニット・無限まやかし。彼らに“ドラマ”のトレンドを大予測してもらいました。

ストロングポイントのある、個性豊かなドラマが残っていく。

大島育宙:2022年は「火曜のTBSのラブストーリーは絶対見る」「深夜ドラマは欠かさない」みたいに、人によって見るものが全然違う、ガラパゴス化が加速したと思います。作品ごとに色が違って、TBSの深夜枠「ドラマイズム」のように、クールに縛られず全5話程度で完結する実験的なドラマも。映画監督や映像ディレクターの起用にも積極的で、『ロマンス暴風域』も『生き残った6人によると』も良かった。

高野水登:僕、その枠で書きました。『賭ケグルイ』とか『映像研には手を出すな!』。確かに話数は流動的です。

大島:「ここがストロングポイントです」「実験ポイントです」という強い個性がないと残れない。『赤いナースコール』は考察ドラマというよりラストのクリフハンガーのホラー描写を楽しむ作品だった気がするし、『親愛なる僕へ殺意をこめて』もグロテスクに攻めてきていた。

高野:『初恋の悪魔』は素晴らしいドラマでした。

大島:あの作品で仲野太賀さん演じる主人公って、刑事ではなく警察行政職員だったでしょ。主役の仕事がマニアックになってきてる気がする。『競争の番人』は公正取引審査官。『オールドルーキー』はスポーツマネジメント。ドラマに欠かせない職業といえば医者、弁護士、警察の王道3本柱だけど、そこに頼らず様々な仕事を描いていて、ある意味豊かな一年だったな。高野さんは脚本まわりの変化は感じます?

高野:10年前からスター選手は変わってない気がします。野木亜紀子さんも古沢良太さんも坂元裕二さんもずっと第一線。20代、30代の脚本家はほぼいない。若者はテレビを見ないから脚本家になりたいと思わない。だから『silent』の脚本家に29歳の生方美久さんが抜擢されたのは、本当にすごいことなんです。若い人がオリジナル脚本を書いているというだけで注目していい。

大島:『silent』はドラマの裏側やスピンオフをTVer独占配信したのが興味深かったです。2022年はTVerがひとつの数値基準になったような雰囲気があった。今後どうなるかは未知数だけど。

高野:やっと視聴率から解放される時が来たのかも。スポンサーも広告費を出せない今、どうお金を集めるか、各局が真剣に考え始めてる。

大島:最近の日曜劇場はゲームクリエイター系の職業が多いなと思ってたら、『Get Ready!』には天才ハッカーが登場するみたい(笑)。

高野:(笑)。大石静さん脚本の『星降る夜に』も注目されてますね。

大島:大石さんは吉高由里子さんと2024年のNHK大河ドラマでタッグを組むので、本作も見ておきたいところ。そう、大河といえば『どうする家康』も始まるね。『鎌倉殿の13人』の三谷幸喜さんから古沢良太さんへのコメディ作家ラインも、引き続き盛り上がると思うな。

『星降る夜に』

テレビ朝日の新ドラマ枠に大人のピュアラブストーリー。

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“ラブストーリーの名手”と呼ばれる脚本家・大石静による10歳離れた男女の恋愛物語。吉高由里子、北村匠海出演。2023年1月17日スタート。

『Get Ready!』

次の日曜劇場の主役は、天才執刀医と国際弁護士。

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多額の報酬と引き換えに患者を救う闇医者たちを描く。妻夫木聡、松下奈緒、日向亘、藤原竜也ほか出演。2023年1月8日スタート。

『どうする家康』

徳川家康の人生を、新感覚で描くNHK大河。

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室町時代後期から江戸時代の徳川家康を描く大河ドラマ。主演は松本潤。脚本は『コンフィデンスマンJP』の古沢良太。2023年1月8日スタート。

生方美久さん

ドラマ『silent』で大抜擢。29歳の新星脚本家。

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第33回フジテレビヤングシナリオ大賞にて大賞を受賞。ドラマ『silent』の脚本を手掛け、同作はTVer再生回数で歴代最高を記録した。

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無限まやかし お笑いコンビ「XXCLUB」の大島育宙(左)と脚本家・高野水登(右)によるユニット。映画やドラマ、漫画、小説などのフィクション=まやかしを無限に食べ、感想や考察を無限に話す。SpotifyとYouTubeチャンネルで「無限まやかし」配信中。

※『anan』2022年12月28日‐2023年1月4日合併号より。写真・五十嵐一晴 ヘア&メイク・松橋亜紀 取材、文・飯田ネオ

(by anan編集部)

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