今市隆二「“ただ好きでやっている”という次元ではないところに行けた」 ソロ活動も充実

エンタメ
2022.12.06
自身がこれまで親しんできた音楽をベースに、毎回さまざまな曲調や世界観で私たちを楽しませてくれる、今市隆二さんのソロプロジェクト。先日発売された最新アルバムに込めた想いを聞きました。

人のためにできること、しっかり自覚しています。

Entame

今年、デジタルシングルをリリース、全国を巡る「RYUJI IMAICHI CONCEPT LIVE 2022“RILY’S NIGHT”」を敢行するなど、ソロプロジェクトが充実していた今市隆二さん。11月2日にはニューアルバム『GOOD OLD FUTURE』を発売。“古き良き未来”を意味する造語であり、今市さんの音楽に対する想いを映し出した言葉でもあるタイトルだ。

「全体としてはR&Bにフォーカスしたアルバムになっています。もともと好きなジャンルでありバックボーンでもあるのですが、あらためて立ち返ってみようかなと。というのも、前作『CHAOS CITY』では’80sのリバイバルをテーマにしたのですが、今、過去に生み出された音楽に魅力を感じていて。新しい何かを生むためには必要だという感覚が強くあるんです。ファッションでもヴィンテージデニムが好きだったりしますしね」

収録曲の「辛」や「華金」は、英語タイトルが多かったこれまでの今市さんのイメージとは異なる新鮮な展開で大きな話題となった。

「どちらもヒップホップ界で有名なトラックメイカーであるChaki Zuluさんをプロデューサーに迎えました。時代の音楽の流れには常にアンテナを張っていますが、BTSが世界的に活躍していることを受け、じゃあ日本人ならどうすればいいんだろうと考えた時に、母国語の曲を歌おうという想いが生まれました。あと、日本の音楽シーンでも日本語のリリックが好まれる時代に入ったという感覚もあって。日常会話をふんだんに取り入れて、ちょっと遊びを持たせた新しい表現をさせてもらいました。自分も結構、『辛』って言ってるみたいです(笑)。日本語シリーズを続ける可能性は大いにあると思いますよ。自分が作り上げてきたブランディングとは少し別のラインになるかもしれないですが、そういうものがあったほうが、今後のアーティスト人生にもプラスだと思うので」

佇まいはスマートでありながら、柔らかな人柄と熱い想いでも人々を魅了する今市さん。音楽でも、日常を生きる人たちに寄り添っていきたいと話す。

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「実は『辛』はメッセージ性も強い楽曲で。SNSなどが原因で若い人が自分で命を絶つような悲しい事件もあり、曲を通じて癒しじゃないですが、何かを届けられたらいいなという想いも込められています。それに、ライブに行く時間などは非日常かもしれないけど、家にいるとか日常を過ごす時間のほうが多いじゃないですか。それぞれの人がそれぞれの人生を生きているので、みなさんに音楽で訴えることができたらいいですよね。『華金』も、学生時代からずっと聞いていた言葉です。前職、職人をやっていて日曜が休みだったので、厳密に言うと『華土』なんですけど(笑)。でも、最近は休みの前の日は飲むとかではなく、休みを充実させるために早く寝ようかなと思うようになりました。『華金』という曲を作っておきながらすみません(笑)」

アルバムから、anan読者におすすめの曲を尋ねてみると。

「『Romeo+Juliet』は、レオナルド・ディカプリオが出ている映画が自分のトップ3に入るくらい好きで、あの切ない作品を今の時代落とし込んだら面白そうという話から生まれました。『キャピュレット』などの言葉がしっかり入ってます。勝手なイメージですけど、『ロミオとジュリエット』という恋愛リアリティショーがあればいいのにと思っていて(笑)。いろいろな試練があったりと面白そうじゃないですか?」

6月から行われたコンセプトライブは、念願叶ってのものだった。

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「すごく充実した時間でした。コロナ禍を経て、直接、みなさんに会いに行くというテーマではあったのですが、その前から全国を細かく回りたいという夢があったんです。『地元に来てください』という声もすごく多かったですしね。3日に一度くらいのペースでライブをしていましたが、やっぱり距離がめちゃくちゃ近い。本当に“直接会ってるな”という感覚になれました。密にコミュニケーションをとりたいと思っていたので、Q&Aやプレゼントコーナーを設けたりも。普段のライブとは違う雰囲気で、ファンの方も喜んでくれたんじゃないのかなって思っています。しかも、ホールは基本的に映像がないのでより生身のパフォーマンスに目がいくんです。だからこそ、自分とファンの方がお互いに存在を近くに感じられた貴重な時間になりました」

三代目 J SOUL BROTHERSも12周年を迎えた。ソロでの活動も充足する今、自身の現在地をどうとらえているのか。

「しっかりアーティストになっているな、と感じます。12年の中で幸せなことも辛いことも経験しながら、“人生とは何か”“愛とは何か”と考えながら歳を重ねて。そのプロセスを経て、“ただ好きでやっている”という次元ではないところに行けたのかなと。人の想いや人のために何ができるかということも、しっかり自覚しています。今、やってみたいことですか? アコースティックギターです。ずっとやりたいと思っていたのですが、なかなかタイミングがなくて。来年こそはと」

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いまいち・りゅうじ 1986年9月2日生まれ、京都府出身。三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのボーカル。2018年にソロプロジェクトを始動。通算4作目のオリジナルアルバム『GOOD OLD FUTURE』が現在発売中。

ジャケット¥407,000 シャツ¥143,000 ラバリエ¥33,000 パンツ¥198,000 ベルト¥58,300(以上SAINT LAURENT BY ANTHONY VACCARELLO/サンローラン クライアントサービス TEL:0120・95・2746) アクセサリーは本人私物

※『anan』2022年12月7日号より。写真・内田紘倫(The VOICE) スタイリスト・渡辺康裕(7B) ヘア・GO UTSUGI(PARKS) メイク・MICHIKO FUNABIKI 取材、文・重信 綾

(by anan編集部)

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