聴けば聴くほどクセになる!? 謎の男・マハラージャン、最新アルバムの“こだわり”

エンタメ
2022.07.19
アフリカンなジオメトリック柄のターバンと揃いの派手なスーツ、そしてメガネ。この謎ルックスが印象に残らないわけがない男、マハラージャン。シンガーソングライターである。2021年に配信限定EP「セーラ☆ムン太郎」でメジャーデビュー。そのタイトルはじめ楽曲につけられた突飛なワードセンスに気を取られるも、いざ鳴らす音を聴けば軽妙洒脱なサウンドとスパイシーで痺れる歌声。その確かな音楽センスに唸らされる。これは謎が解けないぞ、マハラージャン。
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「活動を始めた当初、僕はまだ会社員をしていたのでスーツ、あとはインスピレーションでこのスタイルにたどり着きました。所属事務所の名前が“油田”なのでそれにちなんでマハラージャン。言葉の響きも気に入っています」

ひと筋縄ではいかない捻りをアーティストとしての成り立ちから仕込んでいる彼。最新アルバムにもこだわりがふんだんに薫る。

「好きなもの、やりたいことを詰め込みました。ホーンを入れてビッグバンドジャズなアレンジをしたり、ゴリッとしたロックやポップな楽曲も。フェスでいろんなアーティストを楽しむように聴いてほしいです」

リード曲である「君の歯ブラシ」は別れたカップルの悲哀を家に残された彼女の歯ブラシをモチーフに衝撃フレーズで歌い上げる必聴の一曲。

「いいアレンジやメロディができるとああこれはちゃんとしなきゃって思うんです。そのまま“かっこいい”だけでアウトプットするのは僕の中で何か気が利いてない感じがしてしまう。そこに僕の感情とか気持ちの体重が乗ってない気がして。他の人には出せない自分の言葉にすることで“ちゃんとできた”ってやっと思える。『君の歯ブラシ』もサビのフレーズは使いたいと決めていたんです。それに合わせてかっこいいベースラインとメロディが完成したときにキター! と嬉しかったです」

恋の始まりの歯がゆい感情を「鼻の奥に米がいる状態」と歌ったかと思えば、テレビから飛び出して会いに行きたいほどの感情を「貞☆子」に委ねるなど、マハラージャンの編み出す言葉は新鮮な驚きがありつつも、実感があるからこそ誰しも共感できる普遍性を持つ。だから繰り返し聴いてクセになるのだ。

「でも正直、もうちょっとありきたりのほうが売れたかもしれませんが(笑)。とはいえ、自分を信じてこの方向で進んでいきたいと思います」

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『正気じゃいられない』。「その気にさせないで」「君の歯ブラシ」など全10曲。CDパッケージのみボーナストラックで山下達郎のカバー「BOMBER」も収録。【完全生産限定盤(CD)】¥3,960(Sony Music Labels)

東京都出身。大学院卒業後、CM制作会社に就職。並行し音楽活動も行う。2019年「いいことがしたい」をデジタルリリースし話題を集める。7/22に東京、8/5には大阪で初のワンマンライブも開催。

※『anan』2022年7月20日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) 取材、文・梅原加奈

(by anan編集部)

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