人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。7月のお客様は、大橋純子さん。シングルの大ヒットでブレイクした大橋さん。しかし自分が目指すシンガー像とのギャップに苦しみ、30代中頃で、なんとキャリアを捨てる決断を…。第3回目をお届けします。
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ヒットは嬉しい。でも歌謡曲のイメージがつくのが怖かった。

’78年に『たそがれマイ・ラブ』、’81年に『シルエット・ロマンス』という曲が大ヒットし、知名度も上がり、全国的に顔を覚えてもらえるようになりました。ただこの2曲はどちらかというと歌謡曲っぽい曲調で、世間的には大橋純子はそういう歌を歌う歌手、というイメージになっていきまして…。でも、もともと洋楽志向が強いシンガーを目指していた私は、もっと洋楽っぽい、つまり自分が目指す音楽でヒットを飛ばしたかったんですね。今となってはどちらの曲も、私の大きな財産ですが、当時はまだ若く、煮え切らない思いがどんどん大きくなってしまって…。こんな中途半端な気持ちで歌うのは、曲にも良くないし、何より自分が駄目になると思い、休業を決意しました。それで34歳になる直前、仕事を休んで憧れていたニューヨークへ。「すべてを失うよ?」と言われましたが、それでも自分を一新できるなら、そっちを取りたかったんですね。

渡米の原動力は、後悔したくない、の思い。

34歳直前に渡米の決断をしたときは、正直やり直すには少し遅いかな、と思いました。でもこれ以上年を重ねたら、行く勇気が出なくなる。かなりギリギリの決断でしたね。結局、ビザのために数回帰国をしましたが、合わせて約2年の滞在。あのまま日本で歌っていたら、いわゆるメジャーな歌手になれていたかもしれないし、どうなっていたのかは今となってはわかりませんが、今の自分があるのは確実にあの決断のおかげです。最も背中を押したのは、それこそ今の私くらいの年になったときに、「あのときに行けばよかった」と後悔したくない、という思いでした。

20~30代で、自分の人生に対してモヤモヤを感じている人がいるなら、一歩踏み出してみることをおすすめします。その年頃なら、まだまだいくらでも新しいことに挑戦できる。しかもダメだったら、引き返してきてまた別のルートを探すこともできます。やってみたいことは、やらなきゃね。

おおはし・じゅんこ 1950年生まれ、北海道出身。『たそがれマイ・ラブ』や『シルエット・ロマンス』などのヒットを飛ばす。7/15、松崎しげるさんや渡辺真知子さんらと「江戸川音楽祭2022」に出演予定。

◎本当にやりたい音楽のため、キャリアを中断し渡ったNYでのスナップ。

※『anan』2022年7月20日号より。

(by anan編集部)

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