岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「捨て曲」です。
Okazaki

自分が作った曲を堂々と“捨て曲”だと明言するミュージシャンはそんなに多くないと思いますが、僕は以前から、捨て曲は捨て曲だとはっきり申し上げています。なぜ、そう言い始めたかというと、よくレコード屋さんの新譜を紹介するポップで「捨て曲ナシ!」と書かれることってあるじゃないですか? これはつまり書かれてないCDは捨て曲あるってこと? と思ってしまったんです。僕の知る限り岡崎体育のアルバムで「捨て曲ナシ!」とポップに書いていただいたことはないので、レコ屋の店員さんに「これは捨て曲やな…」と思われているんだ、それなら自ら捨て曲は捨て曲と明確に言っていこうと思ったのです。いわゆる定型文への逆張りなのですが、まあ意外と“捨て曲”っていいものなんです。

ゲームにおける“デバフ”じゃないですけど、あえて力を入れない、肩肘張らずに作るというポジションを取ることでうまくいく楽曲もあると思います。そういう意味で僕は“捨て曲”をポジティブに使っています。これまではっきり捨て曲だと公言しているのは2曲、「なにをやってもあかんわ」と「まわせPDCAサイクル」です。「なにをやってもあかんわ」は、地元の友達と一緒に演奏する曲を作りたいなとサクッと7~8分ほどで作った曲。それがNHKの番組『テンゴちゃん』をきっかけにTikTokでバズり、今やサブスクで岡崎体育のトップソングになっています。これは、なにがどうなるかわからないなあという感じです。「まわせPDCAサイクル」も、ライブではタオルを回して盛り上がる曲としてファンの方々に愛される一曲になりましたし、本人の意図とどう聴かれるかは全く別のものなんだなと思いました。

なので、今後も僕はアルバムに必ず1曲は捨て曲を入れていきたいなと思っています。アルバムの谷間になりやすい、だいたい5曲目ですね。僕のアルバムは5曲目は捨て曲だと思っていただいて問題ないです。裏を返せば捨て曲は弛みがちな打順の中盤を守ってくれる頼れるやつ。サイン出さんでも好きに打ってこい! とバッターボックスに送り出せるような存在です。なのでレコ屋の店員さんも岡崎体育に関しては、堂々とポップに「5曲目以外捨て曲ナシ!」と書いていただきたいです。だってそう書いてあったら、逆に5曲目を聴きたくなりませんか?

おかざきたいいく 11月23日(火)に、横浜アリーナでワンマンライブ「めっちゃめちゃおもしろライブ」を開催。久しぶりのオリジナル楽曲「Fight on the Web」のMVが絶賛配信中。

※『anan』2021年9月8日号より。写真・小笠原真紀 ヘア&メイク・村田真弓 文・梅原加奈

(by anan編集部)

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見立ての甘さや準備不足などから壁にぶち当たる経験と、そんな自分の未熟さを省みるという意味の日です。何かに挑戦するというのは勇気のあることですが、周りから無謀だと止められるほどのことであれば、冷静になって考え直すのも大切なことです。日々実力をつけながら、味方を得たうえで改めて挑めばいいのですから。

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