知らないことを知る、それが相互理解の第一歩。
生理の悩みや、いわゆる“生理あるある”、タンポンの吸収力を競う“タンポン選手権”に、世界中のカラフル&ユニークな生理ケアアイテムの紹介など、これまでにない視点で生理について話し、考えた番組『生理CAMP2020』。平日の深夜、テレビ東京で30分間ひっそり放送されたのですが、翌朝までツイッターのタイムラインは生理ワードで大賑わい! 前代未聞、伝説の番組でした。
「’09~’12年に、『極嬢ヂカラ』という番組の中で、生理を特集したことは何回かあったんです。放送後、女性視聴者の反応はとても良かったのですが、社内では“なんで生理なんて取り上げるの?”という空気で(笑)。それから10年ほど経ち、ここ数年生理だけではなく、“#MeToo”やフェムテックとか、今まで女性自身でもあまり語り合わなかった、あるいは知りたかったけれど知る由もなかったことに対し、世界的にオープンになってきている流れを感じていたんです。なので今こそ、女性とか、女の性だけではなく、“生理”に特化した番組をやりたいなと思い、会社に企画を出しました」
情報を得る手段といえばネット、という印象が強い今、テレビで生理を語ることの意味を、放送後に改めて考えさせられたと工藤さん。
「雑誌やネットを見ると、ピルや月経カップが紹介されていたりするので、そういった情報や知識はもう一般化しているものだと思っていたのですが、それはまったく私の思い込みでした。“生理の話をこんなにオープンに聞けるなんて、人生で初めて!”と言ってくれた人や、“痛みは我慢しなくちゃいけないと思っていたけれど、薬を飲んでいいんですね”などの感想を寄せてくれた方もいて、それはマスなメディアであるテレビで生理を取り上げたからこその反応ですよね。逆に“こんなことをテレビで取り上げるなんて!”という意見もあり、それも合わせて、テレビの影響力に対して改めていろいろ学ばされましたね」
放送後、女性からの反応が大きかったのも嬉しかったそうですが、男性からの声が多数寄せられたことに、工藤さんは驚いたそう。
「“まったく知らなかったから、勉強になった”や、“妻ともう一回見ます”など。あと、“大変なんだろうと思っていたけれど、気軽に声をかけたらセクハラになるし。どうケアしていいのかのヒントを貰えた気がする”という感想もありました。男性から反応があるなんて想像していなかったので、本当に嬉しかったです」
なんとなく、口に出してはいけないと、タブー視されてきた生理。番組という形で可視化し、いろんな声を取り上げることで理解が深まり、また知ることで思い込みが崩れ、選択肢が増える、とも。
「オープン度合いは人それぞれでよいと思いますが、生理がバレちゃいけない、と、犯罪のごとく隠して過ごすのは、そろそろやめにしたいですよね(笑)。会社のトイレで“今日生理で辛くて”と言うと、年齢も部署も関係なく、“そうだよね、大変だよね~”と、それだけで相互理解が成立するように、テレビを通じ、日本の女性の間に少しでもそういう空気が生まれたらいいな、と思います。いつかテレビではなく、本当に山や湖に出かけ、みんなで生理について語り合う本物のキャンプができたらおもしろいですよね」
黒沢かずこさんが手にしているのは、膣の中に入れ経血を受け止める「生理ディスク」。他にもさまざまなグッズが登場。
女性向け番組『極嬢ヂカラ』では、世界の生理事情&最新生理用品を紹介。レギュラー番組になった後も、何回か生理を取り上げた。
『生理CAMP2020』 本当のキャンプ場のようなセットの中で、バービーさん、黒沢さん、ゆきぽよさん、そしてりゅうちぇるさんが生理について語り合った!
工藤里紗さん くどう・りさ テレビ東京制作局クリエイティブビジネス制作チーム、プロデューサー。『昼めし旅~あなたのご飯見せてください~』や、赤ちゃん向け番組『シナぷしゅ』などを担当。『ついていけない子さんを愛でる』(1/23放送)も話題に。
※『anan』2021年3月24日号より。
(by anan編集部)