「2020年は異なるキャラクターを演じさせていただいたということもあり、これまでの人生の中で一番成長できた一年でした。俳優としてスタートを切ったばかりの僕は、おろしたてのスポンジのような状態。良いことも悪いことも、この仕事をしていく上で必要とあらば、なんでも吸収したいと思っているんです。『先生を消す方程式。』の現場では、山田裕貴くんのお芝居を裏のモニターで見て脳裏に焼き付けて、こっそり家で真似してましたね。普段の生活の中でも人の所作を無意識に観察するようになってしまって、電車の同じ車両の人が冬なのにサンダルを履いてるのを見たらそれがどうしてなのか勝手に推測したり、座っている人のほんの少しのそわそわ加減から“この人はこの次の駅で降りる!”って予想したりしています(笑)。人の所作の機微って注意して見ると本当に奥深いし、演技を深めていく上で糧になることばかり。小さな“気付き”をいっぱい溜めて、どんどんバージョンアップしていけたらいいなって思ってます。昔から知識や経験を100手に入れたら終わり、ではなく次の日に101にしたいと思うタイプなんです」
そんな彼の役作りは、“役作り”をするのではなくその役として生きること。
「台本を読んで、与えられた役柄のライフスタイルをひもといて、食が細そうな人格だったら食事制限をして見た目を絞ったりしますね。そう話すと周囲の人から驚かれることが多いんですけど、役を与えられた時点でその役になりきりたいタイプなので、僕としては呼吸をするように自然なことなんです」
真っすぐな瞳で、いつか俳優として誰かの生きる源になりたいと語ってくれた。
「窪田正孝さんに心の底から憧れていて。あんなに役によって変わる人を僕は見たことがありません。絶対に追いつけないくらい大きな存在なんですが、役者として、お爺さんになるまでその背中を追い続けたいです」
今日より明日、さらに進化するために雑誌や映像作品、身近な人の何気ない一言など、心に響いた言葉は書き留め、壁に貼るのが習慣。
「最近だと中谷美紀さん主演の『Followers』の中に出てきた『お前が演じる1秒が誰かの1秒になる』って言葉に感銘を受けて、すぐにしたためました」
壁が金言でいっぱいになってきたらくしゃくしゃに丸めて捨てるのもお決まり。
「いいフレーズに共鳴するのは素晴らしいことだけど、同じ言葉にずっと囚われていたら、未来は切り拓いていけないと思っています」
始まったばかりの2021年。抱負を聞いてみると、顔をくしゃっと緩ませながら
「ヤンキーやクズな役がやってみたいです」
と話してくれた、高橋さん。
「でも、基本的に夢や目標はあまり意識しないようにしているんです。今、上っている階段を上り切ったらその先の階段がきっと見えてくると思うから、それを一歩ずつ着実に上っていく方が大事なことなんじゃないかなって思っていて。時々、転がり落ちることもあるかもしれないけれど、そうしたらもう一度上ればいいだけ。気持ちを立て直すのは、結構得意な方なんです」
現在は、和山やま氏漫画原作のテレビドラマ『夢中さ、きみに。』の撮影の真っ最中。
「僕の演じる二階堂明という役はどこか微笑ましいところがあるんです。皆様がクスッと笑って心がほっこりするような作品なので、楽しみにしていてください」
今年は、さらなる飛躍の年になりそうだ。
たかはし・ふみや 2001年3月12日生まれ、埼玉県出身。令和初の仮面ライダー『仮面ライダーゼロワン』の主人公・飛電或人役に抜擢。『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』が公開中。ドラマ『先生を消す方程式。』で好演し、1月7日よりMBS、tvkほかにて放送スタートのドラマ特区『夢中さ、きみに。』にて二階堂明役で出演が決定している。自身初の写真集『架け橋』(ワニブックス)絶賛発売中。話題作への出演が続々決定の期待の大型新人!
ファーコート¥89,000(Needles/NUBIAN 原宿店 TEL:03・6447・0207) ネックレス¥79,000 ブレスレット¥91,000 チェーンブレスレット¥83,000(以上nobu Ikeguchi TEL:03・6438・9036) その他はスタイリスト私物
※『anan』2021年1月13日号より。写真・岡田 潤(BE NATURAL) スタイリスト・吉田ケイスケ ヘア&メイク・岩田美香(mod’s hair) 取材、文・石橋里奈
(by anan編集部)