『ドレス・コード?――着る人たちのゲーム』では、こうした暗黙のドレス・コードを13のキーワードを通して見つめ直す。
例えば「組織のルールを守らなければならない?」「教養は身につけなければならない?」など、下のキーワードの通り。学校や会社で制服を着る、ということはわかりやすいドレス・コードだ。一方でハイブランドを着ることで、高い教養を誇示しようとしたりも。もしそんな思いで服を選んでいるとしたら、あなたはすでにドレス・コードの支配下にあるといえそう。
会場では各キーワードのもと、数多くの衣装コレクションが展示される。ヨーロッパの王侯貴族が宮廷で着た豪華なドレスから『コム デ ギャルソン』『グッチ』『ヴェトモン』など現代の人気ブランドの最新スタイルまで。ドレス・コードの実例としてファッションを眺めてみるのも、新しい発見がありそうだ。
さらに“着ることの自由さと不自由さ”をテーマにしたさまざまな現代美術作品や、注目の演劇カンパニー「マームとジプシー」らによるインスタレーション、写真、映像作品も。私たちを無意識に縛る「ドレス・コード」という暗黙のルール。その正体を改めて考えてみたい。
展覧会を読み解く13のキーワード
00、裸で外を歩いてはいけない?
01、高貴なふるまいをしなければならない?
02、組織のルールを守らなければならない?
03、働かざる者、着るべからず?
04、生き残りをかけて闘わなければならない?
05、見極める目を持たねばならない?
06、教養は身につけなければならない?
07、服は意志を持って選ばなければならない?
08、他人の眼を気にしなければならない?
09、大人の言うことを聞いてはいけない?
10、誰もがファッショナブルである?
11、ファッションは終わりのないゲームである?
12、与えよ、さらば与えられん?
たとえば、こんな展示にはこんなキーワードが…。
【06、教養は身につけなければならない?】
高橋真琴の絵柄を大胆に使った『コム デ ギャルソン』のドレス。このギャップが、「ハイブランド=教養ある人のもの」というドレス・コードを改めて考えるきっかけに。
COMME des GARCONS 2018年春夏 京都服飾文化研究財団所蔵 畠山崇撮影
【08、他人の眼を気にしなければならない?】
ピンクのジャケットを着た人に絞って路上観察したストリートスナップ。皆同じ着こなしに見えてくるコーディネートは「他人の眼」を意識した結果なのか、それとも?
ハンス・エイケルブーム《フォト・ノート 1992‐2019》1992‐2019年 ©Hans Eijkelboom
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【11、ファッションは終わりのないゲームである?】
26人の架空のキャラクターに、設定にふさわしい衣装を選ぶプロジェクトをインスタレーションに。私たちも自分というキャラクターを演じるために、ドレス・コードを利用しているのかもしれない!?
マームとジプシー《ひびの、A to Z》2019年 ©Mum&Gypsy, photo by Sayuki Inoue
『ドレス・コード?――着る人たちのゲーム』 東京オペラシティ アートギャラリー 東京都新宿区西新宿3‐20‐2 4月11日(土)~6月21日(日) ※開幕延期、臨時休館中 11時~19時(入場は閉館の30分前まで) 月曜休(5/4は開館) 一般1200円ほか TEL:03・5777・8600(ハローダイヤル)
※『anan』2020年4月15日号より。文・松本あかね
(by anan編集部)