ユニコーン、再始動から10周年「もう60歳ですよ(笑)」

エンタメ
2019.03.27
撮影は立ち位置を決めるジャンケンから始まり、見本誌を渡せばみんなで星占いのページで盛り上がる。日本のロックを’80年代から牽引してきたキャリアと功績のあるバンドでありながら、今も音楽とバンドに無邪気に向き合うユニコーンの5人。インタビューでは、彼らの楽しい雰囲気の中にある揺るぎない関係性や芯の強さが窺い知れた。
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――今年はユニコーン100周年だそうで、おめでとうございます。

奥田民生:ありがとうございます(笑)。

EBI:嬉しいね。

――その100周年の“内訳”をひもときながら、お話を伺っていきたいんですが。まずは再始動から10周年。この10年で変わったことって何かありますか?

奥田:まず年が違うよね、活動してなかった16年の間に老け込んでるから。

川西幸一:久しぶりに会った時、テッシー(手島いさむさん)なんて誰かと思った!

――1993年の解散以降は、お互いに会ったりする機会はなかったんですか?

奥田:そんなになかったね。時々どこかの現場で見かけるくらい。解散当時は川西さん以外はまだ20代だったんですよ。

EBI:だから30代はまるまるお互いを知らなくて。

手島いさむ:その間に心持ちが広くなったというか。再始動後は以前よりも仲が良くなった感じがします。

奥田:仲が良いっていうか、「助けてくれ」みたいなことですよね。

手島:お互いにね。

――ニュー・アルバム『UC100V』でも5人それぞれが曲を書いて歌も歌い、皆さんがやりたいことをバランスよくバンドの中で昇華している印象を受けました。

奥田:そうですね。昔と比べて今は役割分担というか、誰かが代わる代わる音頭を取る感じが自然にできているので楽です。

ABEDON:それぞれ実力があるので、やる気がある時に力を出してもらうのが一番。やる気を出せる時間はそれぞれに短いので(笑)、「この人が今がんばってるから僕は休んでいてもいいや」とランダムに誰かがやる気を出していればいい。あとの人は、その人が好きにできるようにバックアップをするように心がけています。

――信頼関係のなせる業ですね。そして、今年のもうひとつの節目として、ABEDONさんの加入後初となったアルバム『服部』から30周年です。大事なターニングポイントだと思いますが、その頃バンドはどういう状況でしたか?

ABEDON:僕が加入した時は、すでにユニコーンのメンバーとは一緒にレコーディングしたりしていたんです。

奥田:それでそのままメンバーになってもらった感じ。

ABEDON:ただ、それまで僕自身はユニコーンほど表に出る仕事をしてなかったので戸惑いました。その頃のユニコーンはミュージシャンでもあり、ちょっとタレントみたいな部分もありましたから。でも基本的には5人いるので、そんなに自分が背負わなきゃいけないこともないですし、みんなの胸を借りるようなつもりで加入しました。

――そうだったんですね。

ABEDON:当時、ユニコーン自体は音楽で実験的なことをやりたいという趣があるにもかかわらず、違うイメージに持っていこうとする世の中の流れもあり。でも、本当にみんな音楽が好きで…という雰囲気がその頃はあった気がします。僕はその橋渡しのような役割になるのかなと思っていました。

――アイドル的人気もあったからこその、葛藤。

奥田:そうよ、大変だったんだから(笑)。今は時代の流れも業界自体も変わって環境が違うので、当然、以前のようにできないことも多いですけど。僕らが音楽でやってることはそんなに変わってないです。だから周りのスタッフにも、なるべく環境が変わらないようにお願いしてます。

――音楽と向き合う時の変わらない熱量がやっぱり大事なわけですよね。

EBI:そこが変わったら、やってないですよ僕たちは。

ABEDON:ほんとそうよ!

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――いろんな時代を経て、今年は川西さんが還暦を迎えられたことで60周年。それをプラスして計100周年となります。川西さん、ドラムを始めた当初は60歳まで叩くと思ってました?

川西:いやいや、僕が音楽を始めた頃なんて天才はみんな27歳くらいで死んでたんで。こうしてずっと活動できることが幸せです。

手島:天才じゃなかった、ってことだな!

川西:うん、もう60ですよ(笑)。

EBI:いろんな人がきっと、「こんな60歳もいるんだ」って励まされますよね。

――本当にそうですね。

手島:すごく元気だし、特殊な60歳かも。年下の僕らにとっても、いい見本です。「あそこを通過すればいいのか」って。

ABEDON:もしくは「あそこを通過するまい」。

全員:あははははは!

川西:でも矢沢(永吉)さんも今年70歳であんなすごいステージをするわけでしょ。昔だったらミュージシャンも年を重ねるとどんどんやめていったけど、今は別にそんなこともないですよ。

1枚目写真左から、ABEDON、奥田民生、川西幸一、手島いさむ、EBI。1986年に広島で結成、翌年デビュー。「大迷惑」や「働く男」「雪が降る町」など数々の名曲を生み、’93年に解散。その後はそれぞれ別の活動をしていたが、2009年に再始動を発表。実力と個性を兼ね備えた5人からなる日本屈指のロックバンド。

アルバム『UC100V』は、ヘビーなギターに乗せてジム通いの回数をコミカルにカウントする「365歩のマッチョ」や、ユニコーン史上初となる奥田民生とABEDONのツインボーカル・ソング「OH! MYRAD10」など聴きどころ満載の全11曲を収録。DVDには再始動からの10年を追ったドキュメント映像を収録。【初回生産限定盤CD+DVD】¥4,800 【完全生産限定盤(アナログ盤)】¥3,500 【通常盤CD】¥3,000(Ki/oon Music)

※『anan』2019年4月3日号より。写真・野呂知功(TRIVAL) スタイリスト・小川恭平 ヘア&メイク・国沢 拓 風間麻衣(共にsakura) インタビュー、文・上野三樹

(by anan編集部)

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