
ⒸMagica Quartet/Aniplex,Madoka Project
願いの代償と抗えない運命を描き、多くのファンに衝撃を与えた『魔法少女まどか☆マギカ』。待望の最新作公開を記念し、少女たちが紡ぐ切なくも美しい物語の魅力を大特集! 本作の脚本を担当した虚淵玄さんと異空間設計の劇団イヌカレー(泥犬)さんにインタビュー。
Index
久しぶりにみんなに会えて同窓会のような気分でした(虚淵玄)
僕が『まどか☆マギカ』の脚本を書くことになったのは、新房さんと蒼樹うめさんのコンビで魔法少女ものの企画があるんだけど、その脚本を書いてくれないかとアニプレックスの岩上敦宏さんからお声がけいただいたのがきっかけでした。当時は新しいチャレンジに貪欲な時期だったけど、逆に今の自分には書けない脚本だと思いますね。僕も年を重ねて、13〜14歳の女子中学生をいじめたいと思わないというか(笑)。そういう意味で『まどか☆マギカ』は自分の中の幼心の産物でもあり、青春の思い出たちでもあります。
だから今回、久しぶりに『まどか☆マギカ』のキャラクターたちに出会えて、懐かしかったですね。演者のみなさんにも当時と変わらない芝居をしてもらって、まるで同窓会みたいでした。映像も圧倒的でしたよね。こういう贅沢な映像って今はむしろ珍しいんじゃないかなと思います。コスパやタイパを優先したアニメ作りが主流な時代の中、昔ながらのゴージャスでラグジュアリーなアニメを見させてもらったなという感動がありましたね。シャフトさんは毎回、僕の脚本を3倍、4倍は上回るものを作ってきてくれるので、いつも「なるほど、今度はこうきたか」という満足感があるんですよね。ただ、今作は今までの『まどか☆マギカ』の流れを踏襲した部分が多いので、最新作から観る人には訳がわからないだろうなという不安もありますが…。ぜひ過去作を観て劇場に足を運んでいただきたいです。
今作は劇団イヌカレー(泥犬)さんのアイデアノートを僕が脚本に起こすという形で作っているんですが、イヌカレーさんのノートに今作のほぼ全部の要素がすでに詰まっていたんですよ。僕がやったのは、イヌカレーさんが断片的に描いたスケッチたちをそれぞれ紐づけて、ラストにつながるアイデアを付け足させてもらったくらい。そこにシャフトさんが描き足してくれた要素もあって、さらにキャラクターのバックボーンに深みが増しました。いろんな人のアイデアの集大成ともいえる作品だと思います。昔なじみの遊園地に遊びに行くようなワクワクを感じてもらえたら幸いです。
Profile
虚淵玄
うろぶち・げん ゲームシナリオライター、脚本家、小説家。小説『Fate/Zero』やアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』のストーリー原案と脚本など、多岐にわたり活躍中。
魔女の結界とは非日常が侵食した異空間(劇団イヌカレー)
『まどか☆マギカ』には異空間設計という形で参加させていただいております。仕事としては魔女の結界デザインが主なのですが、アニメーション作品内に存在するキャラクターたちの日常に対して、魔女の結界は魔法という異物が非日常として浸食している異空間である、というアプローチで作成しています。そのため、日常を描くパートの映像とはグラフィック上の表現手法も違いますし、物語の比喩や皮肉といった要素も含んだ、本筋とは少しずれた位置に存在する、道化師のような立ち回りを意識しています。
魔女の結界は、魔法で満たされた異空間です。その内部で個々人の精神と記憶は溶け混じり、本来は他人に話したいと思いもしないような主義主張や願望といったものが、持ち主の意思とは無関係に演劇として上演される。その内面が許可なく、勝手に評論されている、というイメージで作成しております。
率直に言うと、今現在、アニメーションの仕事を続けられている理由の大半が『まどか☆マギカ』の恩恵ですし、恩義を感じているとともにリスペクトもあります。ただ、それはそれとして、仕事を始めた頃よりずっと考えていたことですが、この仕事を長く続けることで自分は正解がわかっていると思ったり、明日も同じ仕事をもらえて当然だなどという勘違いをし始めたら、他の職を探すつもりでした。ですが、明日のこともわからぬまま煩悶するうちに、気づけば15年近く経ってしまっていました。15年は長いですね。
叶うことであれば、映画をご覧になる方に対しては、経験に裏打ちされない盤石でも妥当でもない表現をわずかでもお届けできればと願っております。
Profile
劇団イヌカレー
げきだんいぬかれー 泥犬と2白犬によるアニメーション作家ユニット。『まどか☆マギカ』ではTVシリーズ以降、泥犬のみが異空間設計を担当している。アニメ作品のデザイン作業以外にも、 Plastic TreeのジャケットデザインやBUMP OF CHICKEN「Sleep Walking Orchestra」のMV内アニメ制作など活動は多岐にわたる。
小さなふたりだけの世界。まどか&ほむら特別描き下ろし

コラージュを用いて異質な世界観を表現し、『魔法少女まどか☆マギカ』を彩ってきた劇団イヌカレー。今回、泥犬さんがananのためにとっておきの一枚を届けてくれた。
Information

ⒸMagica Quartet/Aniplex,Madoka Project
『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』
悪魔となった暁美ほむらは、鹿目まどかを見守りながら、この世界をほしいままにしていた。しかし、ある日突然、そんなほむらの日常を揺るがす大きな異変が訪れる…。
anan 2510号(2026年9月2日発売)より
































