
ⒸMagica Quartet/Aniplex,Madoka Project
願いの代償と抗えない運命を描き、多くのファンに衝撃を与えた『魔法少女まどか☆マギカ』。待望の最新作公開を記念し、少女たちが紡ぐ切なくも美しい物語の魅力を大特集! 鹿目まどか役・悠木碧さんと暁美ほむら役・斎藤千和さんの対談をお届けします。
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この作品に出合ったことで人生が大きく変わった
悠木碧(以下、悠木) 私は本当に笑っちゃうくらい人生が変わりました。TVシリーズをやっていた当時はまだ新人だったのに、出演作が突然大ヒットしてしまったので…。映画の続編ができて、展覧会もあって、海外の人からもメッセージが届いたりして。想像もしていなかったことがいっぱいあって、うれしく思うのと同時に怖くもありました。自分のコントロールできないところでまどかが一人歩きしてしまっている気がして、でも自分にはどうしようもできないし、っていう。今はうれしいという感情に収束できていますけどね。
斎藤千和(以下、斎藤) 私も人生がとても変わったな。『まどか☆マギカ』の当初は本当にさりげなく始まったんですよ。でも次第に注目されるようになってみんなの見る目も変わったと思いますし、一番エンタメの力を見せていただけたと言えるかもしれません。自分が携わったこの作品は本当にすごいんだぞって世界に胸を張って言えるし、今も仕事をする上で大きな原動力になっています。挫けそうになった時には作品を観返したりして、自分の支えになっているんですよね。13年も待たせてしまったという気持ちもあるけど、クリエイターのみなさんの底力を見せつけられる作品になっています。
悠木 『まどか☆マギカ』ってTVシリーズの頃から新しいものを作ろうという気概がめっちゃ伝わってくる作品なんですよね。魔法少女という既成概念をぶち壊す内容に、キャラクターや異世界空間のデザインなどすべてにおいてセンスがいい。令和になる前からすでに新しいものを作っていたけど、令和になった今もちゃんと新しいものを出してくるのが『まどか☆マギカ』のすごいところ。だって、『まどか☆マギカ』を観て作られた作品だっていっぱいあったはずなのに、今の『まどか☆マギカ』はちゃんと新しいんですよ。特にバトルシーンは当時もとんでもないと思っていたけど、今の技術で作るとこんなに素晴らしいものが出来上がるんだなって。これ、劇場で観たらとんでもないことになりますよね。
斎藤 人間の世界ではないところでの戦いという感じがしてとても面白かったです。たぶん『まどか☆マギカ』の過去作に衝撃を受けた方が、今作ではクリエイターとして参加してくれたんじゃないかなと感じるくらい、熱量が伝わってきました。
悠木 『まどか☆マギカ』を観て育った人たちが今回の劇場版を作ってる、までありますよね。長らくお待たせしてしまったけど、作り手にもすごく愛されている作品だし、みんながやりたいことを全力で詰め込んでいるのが観ていてわかります。
斎藤 映像を観るだけで、きっと今できる最高のことをやってくれたんだなっていうのがわかるから、感動しかないです。
不安と自己嫌悪…少女たちの繊細な感情に共感
悠木 『まどか☆マギカ』に登場する少女たちってみんな自分の行動が正しかったのか、それとも間違っていたのかを考え続けているんですよね。でも人間って、自分のせいで何か悪いことが起きちゃったんじゃないかということへの答え待ちをしている時の不安感に一番弱いと思うんです。それに耐えかねてみんな魔女になっていくというのがあまりにもリアルで、多くの人が共感できたところではないでしょうか。強い信念を押し通すまでの苛烈さもなくて、もうちょっとやさしくて柔らかいものである、というところが生っぽいなと思いました。だからこそまどかは最後まで答えを出さずに、全員の願いが叶う、みんなの選択が肯定される方法を選びますと言うしかなかったと思うんです。まどかって魔法少女になるための願いをなかなか決められないんですけど、逆に言うと悩み続ける持久力はあった。みんなは悩んでいる時間が怖いから、早々に魔法少女になって願いを叶えちゃうんですよね。自分の行動が正しいのか間違ってるのかわからない不安に弱いのはまどかも同じだけど、心のHPはめっちゃ高かったから、最後まで悩みきれたのかなって。
斎藤 私がリアルだなと思うのは、女の子って一人を好きになるとその人以外を好きになる自分を許せないところがあるじゃないですか。しかも自分の好きに対して見返りを求めすぎてはいけないという謎の操の立て方をするところもあって。例えばさやかは幼なじみの恭介のケガが治るといいなと思ってはいるけど、恭介を手に入れることまでは願わない。逆に、それを願ってしまったら自分の愛は純粋ではなくなるんじゃないかと思ってしまうところがすごく女子っぽいなと思うんですよ。そんな女子のかわいさと純粋さがこの作品には詰まってる。そこが私からするとすごくリアルで、共感できる部分でもあるんですよね。推し以外の人を好きの範疇に入れちゃうと推しに申し訳ない、みたいな(笑)。そういう矜持が女子っぽいなと思うし、悪魔のほむらにもそういう面があるのを感じるんですよね。これは彼女の潔癖さだと思うんだけど、たぶんほむらのことを一番許せないのは彼女自身なんだと思うんですよ。ほむらはある意味すごく純粋でまっすぐで、まどかを救うためだけのヒーローなので。ここまで来たらまどかを救っておくれよと思いますね。最後まで諦めないでほしいし、彼女の諦めなさが、みんながほむらに感情移入する理由の一つでもあると思うから。諦めないほむらを私は持ち続けたいなと思いますし、演じる上でそこを忘れないようにしたいなと思っています。ここまで来たらまどかを手に入れてほしい!
悠木 まどかは、本当に理想の少女だなとつくづく思います。年を重ねれば重ねるほど、まどかという存在がいかに人々にとって理想なのかというのを痛感しますね。理想を背負わされているまどかをしんどくも思うけど、ずっと一緒にいるから、私にとってまどかは一緒に理想を追いかける仲間でもあります。世界で唯一、まどかであることの喜びと苦しさを知っているのはまどかだから、「私と君だけの秘密だよ」と思ってます。そして、ありのままの彼女を受け入れ続けていきたいです。
斎藤 私もほむらとの付き合いが長くなりましたが、彼女のがんばる姿から勇気をもらっているところがたくさんあるので、またみなさんに彼女をお届けできるのがとてもうれしいです。今作も最高のエンタメに仕上がっています。ぜひ劇場の音響と大きなスクリーンでエンタメを浴びていただけたらなと思います。そしてこの物語の結末を見届けてください。
悠木 「言葉にできなかったからアニメーションにしました」という総合芸術にどっぷり浸かっていただける作品に仕上がっております。私たちもまどかたちを丁寧に読み解きながら、芸術の中に溶け込めるようにがんばりました。ここでしか観ることができないものが閉じ込められている作品です。今の『まどか☆マギカ』をぜひ劇場で楽しんでください!
Profile
悠木碧
ゆうき・あおい 千葉県出身。『薬屋のひとりごと』の猫猫役や『戦姫絶唱シンフォギア』の立花響役など出演作多数。絵が得意で、作中に登場するまどかが描いた魔法少女の衣装案を手がけたことでも話題に。
斎藤千和
さいとう・ちわ 埼玉県出身。1999年に『魔術士オーフェンRevenge』のレミ役で声優デビュー。その後、『〈物語〉シリーズ』の戦場ヶ原ひたぎ役や『ケロロ軍曹』の日向夏美役、『暁のヨナ』のヨナ役など多数の作品に出演している。
Information

ⒸMagica Quartet/Aniplex,Madoka Project
『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』
悪魔となった暁美ほむらは、鹿目まどかを見守りながら、この世界をほしいままにしていた。しかし、ある日突然、そんなほむらの日常を揺るがす大きな異変が訪れる…。
anan 2510号(2026年9月2日発売)より
































